【第3回】設計前におさえておきたい「庁舎・公共施設への愛着」について考える

庁舎

庁舎や公共施設ができる「地域貢献」とは

私たちの暮らしとも密接な関わりのある庁舎(役所・役場など)や公共施設。普段何気なく利用していることが多い公の施設に対して、どのような印象をお持ちでしょうか。

●地域の庁舎・公共施設へ愛着を感じる方はさほど多くない

DAIKENは、お住まいの地域の庁舎・公共施設(図書館・公民館・美術館・市民ホールなど)へ年に数回以上通う方へ独自調査を実施しました。それぞれ最も頻繁に足を運ぶ施設への印象を聞くと、愛着を感じているのは3割以下ということがわかりました。

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庁舎や公共施設への「愛着」は、主な利用者である地域住民との結びつきと言い換えることができるでしょう。それは、設備選定や施設設計においても重要な指標のひとつでもあります。

●注目すべきは地域資源を活かした設備やサービス

庁舎も公共施設も、主な利用者は地域住民です。近辺に住む方から愛着を持たれるような存在になるには、「地域貢献」という観点がヒントになるかもしれません。お住まいの地域にある庁舎や公共施設で実際に採用されている設備やサービスのうち、利用者が実際に「地域の活性化に貢献している」と感じているものへの回答を見てみましょう。

最も多いのは「地域の木材を活用した内装・インテリア」「地産地消の飲食店」で、いずれも20.8%。次いで「地域の特産品や作業所製品が買える売店」との回答が20.8%でした。なお約半数の方が「特にない」と答えているのも興味深い点です。今後の設備・サービス設計においては、「地域貢献」という観点も意識する必要があると考えられます。

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●地域貢献していると感じるのは特産品販売所や地産地消の飲食店

実際の庁舎、公共施設には無いものの、あれば地域活性化に貢献していると感じられる設備・サービスについては、「地域の特産品や作業所製品が買える売店」「地産地消の飲食店」という回答が共に31.1%。次いで、「伝統工芸品を活用した内装・インテリア」という回答した方が22.6%でした。

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●国も推進している木材利用を通じた地域貢献も

その地域ならではの特産品・農産物などの活用以外にも、地域貢献の方法はあります。
そのひとつが、地元の木材を使うこと。近年、国も庁舎や公共施設などの公共建築物への木材利用を推進しており、平成22年には「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が制定されました。法制定時から令和元年までの10年間で、公共建築物の床面積ベースの木造率は、8.3%から13.8%へ上昇しています。これは民間建築物よりも高い割合です。

※参照: 林野庁「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(令和3年10月1日更新)

●地域住民から身近に感じてもらえる庁舎・公共施設となるために

アンケートの回答からは、多くの人が現状の庁舎や公共施設にそれほど愛着を感じていないことがわかりました。地域住民との距離をより縮めるため、庁舎や公共施設へ地域の産業や伝統を取り入れるのもひとつの方法です。例えば、地域特産品の販売や地産地消の飲食店、地域の木材や伝統工芸品を活用した内装・インテリアを採用することで、地域活性化に貢献していると感じられる方は多いようです。特に公共建築物への木材利用は国も推進しており、比較的取り入れやすい取り組みだと言えるでしょう。ぜひ、設計の際に検討してみてはいかがでしょうか。

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