【第3回】設計前に押さえておきたい「歯科クリニックのニオイ」について考える

歯科クリニック

保護者が感じた「歯科クリニックのニオイ」について

●緊張や不安感を招く「歯科特有のニオイ」

歯の治療は大人であっても緊張し、なんだか不安に感じてしまうもの。歯医者を苦手に感じる理由のひとつとして、歯を削る機械音や唾液を吸う吸引音があることを「【第1回】設計前に押さえておきたい『歯科クリニックの音環境』について考える 」ではご紹介しました。

もうひとつの理由として、歯科特有のツンとした薬品臭を苦手に思う方は多く、そのニオイを嗅ぐとかつて歯の治療で経験した嫌な記憶が呼び起される、という方もいらっしゃるでしょう。特に子どもが多く通う歯科クリニックにおいては、歯医者=嫌な場所というイメージを与えてしまわないよう、しっかりとニオイ対策を行うことが求められます。

●4割弱の保護者が薬品臭を気にしている

子どもが通う歯科施設の「気になるニオイ」についてDAIKENが独自調査を行ったところ、未就学児の保護者のうち37.8%の方が「消毒剤などの薬品臭」と回答しています。

◎これまで診察室で気になったことのある「ニオイの種類」について教えてください

歯科クリニック

私たちが一般的に「歯科独特のニオイ」と感じているのは、消毒薬や歯に被せ物・詰め物を行う際の薬品臭だと言われています。かつてはレントゲンの現像液やホルマリン系のニオイを強く感じることもありました。しかし、レントゲン技術がデジタル化したことや、歯科医が刺激臭をもつ薬品の使用を避けるなどといった配慮もあり、以前よりもニオイについては改善されつつあります。ただ、歯の治療内容によっては刺激臭を持った薬品を使わざるを得ないケースもあり、完全に無臭化するのはまだ難しいようです。

「ニオイが記憶を呼び起こす」とはよく言われていることですが、診察室に入り歯科特有の薬品臭を嗅いだ瞬間、かつて体験した歯を削られる怖さや痛かった記憶が呼び起され、歯医者=苦手なイメージが浮かぶでしょう。ましてやニオイに敏感な子どもにおいては恐怖のあまり、治療前・治療中に泣いたり暴れたりしてしまうかもしれません。

●芳香剤やアロマオイルでニオイ対策する歯科も増えている

同調査では、26.1.%の保護者が「芳香剤やアロマオイルなどの香り」が気になったと回答しています。これは先にご紹介した「歯科特有のニオイ」を和らげるための対処法であることが考えられます。

【第4回】第一線で活躍する建築デザイナーが語る『医療環境づくり』 」でもご紹介しましたが、嫌な臭いを患者さんやスタッフにとって心地よい匂いに変えるためには、

・ニオイの元をなくす
・臭いを吸着する素材を導入
・天然成分の自然な香りを導入する

ことが重要です。特に芳香剤などを導入するにあたっては、匂いの好みには個人差があることや、強い香りで頭痛や咳き込むなど不調を感じる方もいらっしゃることに配慮し、なるべく天然成分の自然な香りを選ぶなどの工夫が求められます。

【設備面での備えの例】
施設面においては、臭いを吸着する建材を取り入れることで「24時間365日」、常に診察室を消臭し続けることが可能になります。

・消臭効果のある天井材

歯科特有のツンとした薬品臭は、子どもの歯科嫌いに拍車をかけてしまいかねません。たとえ楽しい映像や音楽を流していても、子どもが一度感じた不安感や恐怖心を払拭するには時間がかかりますし、クリニックのスタッフや保護者にも負担が発生してしまいます。どんな小さな不安の芽もなるべく摘んでおけるよう、設備面からも不快臭に備えておくことが望ましいでしょう。

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