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【第1回】設計前に押さえておきたい「歯科クリニックの音環境」について考える

子どもが治療前・治療中に不安を感じる音

■歯の治療で発生してしまう不快音

歯を削る「キーン」という機械音や、唾を吸う「ゴゴゴ」という吸引音を想像するだけで、歯医者へ通うのが憂鬱になる……、なんて方は多いのではないでしょうか。大人であっても耳をふさぎたくなるほどであり、子どもは更に強い不安感やストレスを感じています。こういった歯科治療で発生する不快音について、歯科クリニックは十分な配慮が求められています。

■4割以上の子どもが診察前から不安を感じている

子どもが通う歯科施設の「待合室へ漏れ聞こえる治療音」についてDAIKENが独自調査を行ったところ、未就学児の保護者のうち42.3%の方が「歯を削る『キーン』という音に子どもが不安を感じていた」と回答しています。次いで、40.5%の保護者が「他の子どもの叫び声・泣き声」に不安がっていた様子を感じています。

◎待合室へ漏れ聞こえる治療音について、「お子さんが不安を感じていた様子のある音」を全て選んでください

歯科クリニック

■「キーン」という治療音は常に子どもへ不安感を与えている

「診察中に聞こえる音」についても同様の質問をしたところ、43.2%の保護者が「歯を削る『キーン』という音を不安がっていた」と回答しています。ただ、「他の子どもの叫び声・泣き声」は36.9%と、待合室での状態から6.3%減少しました。

◎診察室で発生する音について、「お子さんが不安を感じていた様子のある音」を全て選んでください。

歯科クリニック

■歯科で子どもがリラックスして過ごせる工夫

また、待合室や診察室で子どもがリラックスして過ごせるよう施されていた工夫について111人の保護者に質問したところ(複数回答可)、以下の項目へ「印象に残っている」との回答が集まりました。

◎待合室に施されていた工夫

・遊べるスペースがある(56人)
・子どもが喜びそうなインテリアになっている(52人)
・絵本や映像など子どもが集中できるアイテムが置いてある(36人)
・保育園のような飾りつけが施されている(28人)
・子ども向けのBGMが流れている(24人)
・治療が終わったらカプセルトイで遊べる(2人)※自由回答より

◎診察室に施されていた工夫

・子どもが喜びそうなインテリアになっている(36人)
・子ども向けのBGMが流れている(36人)
・映像など子どもが集中できるアイテムが置いてある(35人)
・保育園のような飾りつけが施されている(28人)
・耳栓やヘッドホンを貸し出している(15人)

このように、多くの歯科クリニックが子ども向けのインテリアや音楽などを使い、できるだけリラックスしてもらえるよう工夫を凝らしている様子が伺えます。施設面においては、機械音や叫び声をはじめとする「人が耳障りに感じる中・高音域を吸音材で抑える」ことで、より不快感を和らげることができます。

【設備面での備えの例】
待合室においては、治療音や子どもの泣き声などの音漏れを防ぐことが重要です。診察室においては、治療音が反響しない吸音効果のある天井材の使用が理想です。また、子どもが隣の治療の様子や音から遮断され、ご家族も周囲を気にする必要がない「完全個室」の診察室を設置する歯科クリニックも増えています。

・待合室と治療室の防音ドア等による防音対策
・診察室では吸音効果のある天井材で反響を抑える

子どもの歯はむし歯になりやすく、早期発見のためには定期的な検診が必要です。乳歯から永久歯に生え変わり、一生使っていくことになる大切な歯を守るため、子どもが楽しみながら通える歯科クリニックであることが求められます。そのためにも、視覚・聴覚・嗅覚など、あらゆる面から子どもの不安を取り除くことが重要となるでしょう。

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