愛犬の鳴き声が騒音に?
ペットとの暮らしには犬の無駄吠え改善や防音も大切

犬はペットとしてとても人気がある動物です。癒されたり、笑顔が増えたり、様々なメリットをもたらしてくれます。
しかし、犬を飼っていて気になることの1つが鳴き声。家から漏れる犬の鳴き声が、騒音として近隣の迷惑になってしまうことも少なくありません。ご近所から苦情を寄せられるかもしれない、と不安に思っている方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、しつけとしての犬の鳴き声対策と、リフォームを含めた防音環境づくりについてご紹介します。
家族の一員である愛犬と楽しく暮らすため、しっかりと鳴き声トラブルへの対策を行いましょう。

犬がずっと吠えるのは、なぜ? 無駄吠えの理由を考える

犬が吠えるのは、なぜ?

犬がずっと吠え続ける、無駄吠えの理由にはどのようなものがあるでしょうか。
考えられるものとして、主に【警戒】【要求】【興奮】の3つが挙げられます。

警戒吠え

飼い主や自分の身の危険を感じて吠えるのが「警戒吠え」です。
犬はもともと番犬としての習性があるため、自分のテリトリーに知らない人が入ってくることを嫌います。そのため「家のチャイムが鳴ったとき」、「散歩ですれ違ったとき」、「自身の視界に見知らぬものが映りこんだ時」などは警戒心から吠えてしまうのです。

要求吠え

人間に何かしてほしいときや自己主張があるときに吠えるのがこの「要求吠え」です。
自分の要求を聞いてもらうため、吠えてアピールします。「ごはんが欲しい」、「散歩に行きたい」などの意思表示が該当し、犬が吠える理由で最も多いのがこの要求吠えです。

興奮吠え

うれしくて気持ちが昂ったときに吠えるのが「興奮吠え」です。
興奮した状態の犬は刺激に過敏になり、吠えやすくなります。例えば「飼い主が帰ってきた」、「好きな食べ物が目の前にある」などで興奮して吠えてしまいます。

よくある光景で「あの子と遊びたい!近付きたい!ワンワン!」と吠えてしまう犬は、相手の犬に呼びかけながら、同時に飼い主さんへ要求を伝えるために吠えています。

またこの場合はリードをぐいぐい引っ張ってしまっているケースがほとんどだと思います。

ぐいぐい引っ張ると余計興奮して吠えやすくなり、吠えているとさらに興奮して…という悪循環になってしまうことも。

興奮しやすい犬は刺激に過敏になっていることが多いので、吠えやすくなります。

また興奮状態だと狩猟本能が全開になっていることも多く、手作りのおもちゃなどを破壊したりする子も多いです。おもちゃならまだしも、家具やコンセントをかじられるのはまずいですね。

興奮しやすい状態は、犬自身の心身の健康にも影響が起きやすいです。

興奮している状態とは「イライラしている」状態と同じ。

人もイライラしていると気分が良くないですがそれと同じで、非常にストレスが溜まりやすい状態です。(※1)

(※1)一般社団法人 盲導犬総合支援センター「他の犬と遊びたい!近付きたい!で吠えちゃう対策」「興奮しやすい犬の落ち着かせ方!」より

犬がずっと吠えるのは近所迷惑? 飼い主に無駄吠え改善・しつけの義務はある?

犬がずっと吠えるのは近所迷惑? 飼い主に無駄吠え改善・しつけの義務はある?

このように、犬の鳴き声は人間が言葉で意思表示をしているのと似ていて、無駄吠えといいつつも、何かしらの原因があることが考えられます。「気持ちを表現するための言葉を禁止するのはかわいそう」と考える飼い主もいるかもしれません。それでは「犬が吠えてうるさいのは仕方がない」と、そのままにしてもよいのでしょうか?

実は、犬が吠えることを飼い主が放置すると、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)の努力義務違反になる可能性があります。
この法律の第七条では「飼い主は動物の安全や健康を保持するとともに、動物が人に害を与えたり、迷惑をかけたりすることのないよう努めなければならない」としています。飼い犬がずっと吠えるのに対して何の働きかけもせずに放置して近所迷惑になれば、この項目に対する努力義務違反になると考えられます。

さらに、民法第七百十八条「動物の占有者等の責任」では、飼っている動物が誰かに損害を与えたときの損害賠償請責任について規定されています。犬がずっと吠えるのでうるさいと感じた近所の人が「精神的苦痛などの損害を与えられている」として、あなたに損害賠償請求をするかもしれません。

ただし、民法第七百十八条には損害賠償責任について「ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない」という一文があります。近所に迷惑がかからないよう犬の吠える声に対して放置せず、しっかり管理するなど対策が必要です。

犬の鳴き声が何らかの意思の表現なら、それに応答する飼い主の態度で犬の次の行動も変わってくるはずです。無駄吠えを放置するのではなく、愛情をもってしつけに努めましょう。また、犬の鳴き声が外にできるだけ漏れないような防音対策も、飼い主側でできる対策の一つです。

記事の後半では、犬の無駄吠えを改善するためのしつけのポイントや犬の鳴き声を近所に漏らさないための防音対策について紹介するので、ぜひ参考にしてください。

参考:動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)第7条第1項 民法第七百十八条(動物の占有者等の責任)

犬の鳴き声は意外にうるさい?

意外にうるさい?犬の鳴き声

犬の鳴き声は、騒音と捉えられてしまうことがあります。
環境省の環境基準では、人の健康のためには、一般的な住宅地域で、昼間は55デシベル以下、夜間は45デシベル以下の音の大きさが望ましいとしています。一方、犬が吠えたときの音の大きさは約90~100デシベルで、環境省による環境基準を大きく上回ります。掃除機の音は約60~76デシベル、ピアノの音は約80~90デシベルですから、犬の鳴き声はピアノに匹敵、もしくはそれ以上の大きさの音となります。犬が苦手な人なら特に不快と感じるので、近隣とのトラブルに発展してしまうこともあるかもしれません。

(※出典:環境省「騒音に係る環境基準について」の環境庁告示について東京都環境局「生活騒音」

基本的なしつけはもちろんのこと、室内飼いの場合は、犬の鳴き声が外に漏れない対策をとることも大切です。

犬の鳴き声対策は、まずしつけを

犬の鳴き声対策は、まずしつけを

犬の鳴き声の対策として、とても重要なのがしつけです。しっかりとしつけることで、愛犬が吠える頻度を大きく減らせます。
犬が吠える主な理由【警戒】【要求】【興奮】の3つについて、効果的なしつけの方法を紹介します。

警戒心から吠える場合

家の中での対処法は、吠えやむまで反応しないことです。
静かになったら褒める、を繰り返すようにしましょう。家の外で警戒吠えをしてしまう場合、人とすれ違うまでおやつやおすわりで気をそらし、吠えずにいたら褒める方法が有効です。

警戒吠えをする犬は、その対象物に怖い、怪しいという気持ちがあります。

なので「怖くない、怪しくないな」という気持ちを持ってもらうことが最終的な目標となります。

そして、犬が吠えるのはごく自然な行為であることを再認識して肩の力を抜き、「吠えても犬に構わない・反応しない」を心がけましょう。(※2)

(※2)一般社団法人 盲導犬総合支援センター「【警戒吠え】あの犬が怖い、こっちにくるな!で吠えちゃう対策」より

要求や意思表示で吠える場合

基本的に要求にこたえないことがポイントです。
吠え続ける声がうるさいからと愛犬のお願いにこたえてしまうと「吠えれば要求が通る」と認識して、エスカレートする恐れがあります。吠えても反応せずに吠え終わったらほめる、おすわりや伏せなどで気持ちを切り替えさせるなどのしつけをしましょう。

興奮して吠える場合

飼い主が落ち着いて愛犬の相手をすることが効果的です。
高いトーンで大げさに褒めたり、慌ててしまったりすると、余計に興奮させてしまいます。
興奮してきたらおすわりをさせて気分を変え、低いトーンでゆっくり褒めるなど落ち着いた対応をしましょう。

一番に、まずは飼い主さんが落ち着くことが大事です。

愛犬が興奮しやすい場合は、飼い主さんが落ち着いていることが何よりも大切です。

人が慌ててしまい「ダメ!ダメ!」と繰り返し言ったりわちゃわちゃと動いてしまったりするのはよくあること。

でも余計に興奮を引き出してしまうので要注意です!

また褒め方も、高いトーンで大袈裟に褒めるのではなく、低いトーンでゆっくり褒めるなど、人が落ち着くことは大変重要です。(※3)

このようなしつけを試みても、吠え続けたりして、不安や強いストレスが疑われる場合には、しつけの専門家に相談してみましょう。

(※3)一般社団法人 盲導犬総合支援センター「興奮しやすい犬の落ち着かせ方!」より

しつけをしながら、防音環境も整える

しつけをしながら、防音環境も整える

犬の鳴き声対策として、押さえておきたいもう一つのポイントは「防音対策」です。
しつけの期間中、または吠える頻度が減ってきた場合でも、やはり近隣への配慮はとても大切です。また防音対策では、救急車やパトカーの音に犬が反応してしまうといったことも防ぐことができます。ここからは、おすすめ防音対策をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

窓に簡単な防音対策をする

犬の鳴き声が外に漏れる原因として多いのがです。
簡単にできる方法として「防音カーテン」や「遮音カーテン」と呼ばれるものを設置することがおすすめですが、「内」をつけるとより効果的です。

リフォームで防音対策をする

リフォームでしっかり音漏れを防ぐ対策をする場合は、「」と「換気扇や給排気口」がポイントです。音が漏れやすいを二重にすることや、空気が出入りする換気扇や給排気口からの音漏れが大きいため、遮音性能を備えた換気設備へのリフォームが音漏れを防ぐ対策としておすすめです。

家の中から音漏れを軽減する

家の中で鳴き声の音漏れが気になるときは、音漏れを防ぐ性能を備えたドアを検討してみましょう。特殊構造のドアにすることで家の中の音漏れを軽減し、より快適な生活空間となるでしょう。費用が許すようでしたら、間仕切り壁内部に、遮音シートや吸音ウールなどの遮音材を取り付ける「防音壁」工事が効果的です。

室内の反響音を軽減する

犬の足音やケージの中での動き・ジャンプの着地時に発生する衝撃音、鳴き声などは、上下の階にも聞こえてしまいます。集合住宅やマンションに住んでいる場合は特に注意が必要です。
簡単な対策として、衝撃音やペットの鳴き声をやわらげるカーペットやマットを敷くのが効果的です。反響音を抑える性能がある天井材に変えることも有効な対策の1つです。

昔ながらの日本家屋は、気密性が低いため室内の音が逃げやすくなっていました。
また、内装は漆喰などの塗り壁やなど、いずれも吸音効果の高い内装材や建具で構成されていました。
吸音とは、壁や天井に反射する音を吸収し、反響を抑えることです。

これに対し、現代の住宅は気密性が高いことから室内で発生した音の逃げ道がなく、音が大きく反響しやすくなっています。加えて、内装に使われることが多いビニールクロスフローリング材も音が反響しやすく吸音効果の低い建材です。

気密性の高い部屋を吸音性の低い内装材で仕上げると、ますます音が反響しやすい空間になってしまいます。

そのため、ちょっとした生活音が騒音になり聞きたい音が聞きづらかったり、赤ちゃんの泣き声がうるさく感じたり……。「音」は一度気になりだしたら、とてもイライラするものです。これではストレスになり、心地よい住空間とはいえないですね。

DAIKENが行った、リフォームするならコストをかけても改善したい「音」についてのアンケート調査においても、外からの音よりも家の中にあふれるさまざまな生活音がストレスの原因になっていることが結果としてあげられています。

家族の一員として人気のある犬ですが、その鳴き声は「騒音」となってしまうこともあります。
犬だから無駄吠えをするのは当然とは考えずに、愛犬が吠える理由を観察し、しっかりとしつけることが重要です。それに加えて、近隣トラブルを未然に防ぎ、愛犬と楽しく暮らせるように、ご自身の状況に合った音漏れを防ぐ対策を取り入れてみましょう。

※ここに掲載されている情報は2024年8月時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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