研究者のインタビュー

人のいるところを
優先的に、涼しく暖かく

井口 雅登さん
日本大学
理工学部建築学科
准教授 井口 雅登

さまざまな建物・空間に対応できる冷暖房というと一般的にはエアコンを利用することになるかと思います。『ユカリラ』はエアコンの冷気・暖気を床下に通すといった、近年になって登場した冷暖房システムなのであまり知られていませんが、対流式のエアコンにはないメリットが数多くあります。

例えば冷房時なら風が当たって体が冷えたり、暖房時なら温かい風で肌が乾燥したりという心配が少なく、特に健康への配慮が求められる幼稚園や高齢者施設などに適しています。

天井の高い空間を冷暖房するときにも、床から冷気・暖気を吹き出すことで、床面から2メートルくらいの活動エリア(居住域)を優先的に冷暖房できます。無駄なく必要最小限のエリアを冷暖房できるというのは大きな魅力ですね。

また、建築設計の視点としては、天井の裏に空調機を設置するためエアコンが見えません。そのため、店舗や施設、住宅でも、すっきりした空間をつくることができるのも魅力のひとつです。多様な特長を持つ空調として、今後の普及が期待される冷暖房システムだと思います。

「暑くも寒くもない」足元を
実現できる冷暖房システム

准教授 佐藤 理人さん
高知工科大学
システム工学群
准教授 佐藤 理人

温熱心理量測定風景

現在、大建工業と共同で、空気式床放射パネルを用いた暖冷房システムに関する研究を進めており、実験用木造戸建住宅に『ユカリラ』と対流式空調(エアコン)を設置し、男性15名・女性12名による体感実験を行っています。

『ユカリラ』の特長として、エアコンの風や音が苦手な方にとって、気流感が少なく静音で温度ムラのない環境が提供できるというのは優位性の高いメリットだと言えます。

また、今まで床暖房のように室温とある程度大きな温度差のある床表面温度の快適性への影響はわかっていたのですが、『ユカリラ』のように室温と床表面温度の差がかなり小さい場合、果たしてどれくらい快適性に寄与するのかが興味深いポイントでした。

実験から分かったことは、床の表面温度を暑くも寒くもないところで制御でき、被験者からは足元の温度差を気にせずに過ごせるという声が多く聞かれました。
これは冬だけではなく夏も同様である点が床暖房とは異なるところです。

さらに、屋内環境に求められる性能として、風の影響が少なく温熱的な快適性が確保できるという点で、住宅や幼稚園、高齢者施設はもちろん、風の影響を受ける競技も行う体育館などにも適しており、『ユカリラ』ならではの魅力と感じています。

ユカリラ総合パンフレット

ユカリラ
総合パンフレット

『ユカリラ』に関するお問合わせは

大建工業株式会社 快適空間部

03-6271-7782

(受付時間 平日10:00~17:00)