【建築家監修】湿気に悩まない家づくりを!
調湿対策3つのポイント

これから快適な居住空間を作りたいと考えているあなたにとって、家を建てた後の湿気問題は気になるところでしょう。
日本は多湿な環境であるうえ、花粉や黄砂の飛散、共働きなどのライフスタイルの変化により、洗濯物を部屋干しすることも増えてきています。
湿気対策をしないとジメジメして不快感が出るだけでなく、カビの発生による健康被害や、肌の乾燥などを引き起こす可能性があります。
本記事では、家づくりにおいて湿気対策で留意すべきポイントをお伝えします。
目次
湿気対策を考えないと起こる2つの危険

家の設計時に予め湿気対策を考えておかないとどのようなことが起こるのでしょうか。
「湿度が高すぎる場合」「湿度が低すぎる場合」の2つについて解説します。
湿度が高すぎるとカビなどの細菌による健康被害のもとに…
最もイメージしやすいのはカビの発生だと思います。
カビは「温度」「湿度」「栄養」の3条件が揃うことで発生します。例えば、以下のような状態です。
- 室温が5~35℃の場所
- 水分が溜まりやすい場所(浴室の床や壁、窓など水回りや結露が発生しやすい場所)
- ホコリや髪の毛、食品など、カビの栄養となるものが溜まりやすい場所
上記を見ると、温度やホコリなどはどうしても私たちにはコントロールが難しいですから、いかに湿度を一定以下に保ったり、水分をこまめに拭き取ったりできるかがカビの発生を抑えるコツとなります。
もしカビを放置してしまうと、ハウスダストはもちろん、アトピーや喘息の原因にもなり、特に免疫力の弱い子どもは将来を左右する一大事となってしまいます。
その他、ペットを飼われている方であれば、ペットの毛に付着する細菌やノミも繁殖しやすくなり、ペットの健康にも悪影響を与える可能性があります。
湿度が低すぎると肌や器官が乾燥し、風邪のもとに…
そのため、湿度が低ければ低いほどよいのかというと、そういうわけでもありません。湿度が低い状態、いわゆる乾燥状態でも健康に悪影響を及ぼすことがあります。
例えば、肌の乾燥やかゆみが発生したり、乾燥することで喉や鼻が痛みやすく、風邪にもつながってくることが考えられます。
そのため、「調湿」。すなわち湿度を調整することを考えた設計が、家づくりにおいて重要です。
家づくりの際に考えるべき3つの湿気対策

では、具体的にどういったことを考えればよいのでしょうか。
家づくりにおける湿気対策は大きく以下の3つにわかれます。それぞれ、簡単に解説します。
- ①:間取りにおける対策
- ②:設備における対策
- ③:建材における対策
①:風通しの良い設計をする
湿気対策として最初に考えられるのは、風通しをよくすることです。
雨の時期でなければ、窓を開けることで風の通り道を作ることができるので、窓や換気設備の配置や形状を工夫しましょう。
引き違い窓だけでなく、突き出し窓や内倒し窓も活用し、間取りや隣地の状況に合わせた様々な開き方の窓を選択することができます。
大前提として、どんなに多くの窓を配置したところで、よく風が吹いてくる方向と合わなければ意味がありませんので、家の立地における風の向きについては知っておきましょう。
湿気を1か所に留めず、室内で空気が循環するように仕切りを減らすことも、風通しの向上に一役買うでしょう。
②:換気設備を取り入れる
間取りで解決できない場所は、設備を取り入れることも1つの方法です。
わかりやすい例は換気設備。特に湿気がたまりやすいキッチンや浴室には必須です。
他には、水分を残さないように浴室乾燥機能をつけたり、除湿ができるエアコンを採用するなどの方法もあります。
特に気密性の高い住宅の場合、屋外から湿気を取り込みにくい一方で、室内からの湿気が逃げにくい構造になってしまうため、エアコンなどで除湿することが大事になります。
③:「壁材」「天井材」などに調湿建材を選ぶ
そもそも調湿機能がある素材を選んで使うことも、湿気への根本解決になります。
たとえば「壁材」「天井材」などです。また、湿度を20%下げると体感温度が約1度下がるとも言われており、建材にこだわることはエアコンなどの節電にもつながります。
例えば、壁材を珪藻土にする方法。珪藻土は湿度が高い場合に湿気を吸収し、逆に湿気が高いと水分を放出して湿度を調節する効果があります。
天井材の中にも、同様の効果で調湿を助けてくれるものがあります。
建材は一度決めてしまうと、変えるには一定規模のリフォームが必要になってしまうこともあるため、事前によく考えるようにしましょう。
湿気対策の盲点、天井材選びにこだわってみよう

これまで家づくりにおける湿気対策のポイントについてお伝えしてきましたが、最後に建材選び(特に天井材選び)のポイントについて簡単にまとめます。
天井材は手で触れることも少なく、視認性が高いわけでもないことから、設計時点では特にこだわることもなく、設計担当者にお任せしたり、場合によっては天井を高く見せるために天井材を使用しない…といったことも少なくないです。
しかし、機能的な天井材が増えてきたこともあって、最初にこだわることで湿気対策に大きな役割を果たします。
以下では、湿気対策はもちろん、それ以外に天井材がどのような機能を持つのか解説します。
天井材の4つの種類と特徴
一般的な天井材には、以下4つの種類があります。
- ビニルクロス仕上げ(壁紙)
- 岩綿吸音板(ロックウール)
- 板張り
- 左官(珪藻土・漆喰)
ビニルクロスは、一般的に壁紙とよばれるものを天井に貼った仕上げです。他のタイプと比べると最もコストは安く済みます。なかには、調湿の機能もついた製品もあります。
岩綿吸音板や板張りは、吸音や調湿の機能を持つ製品があります。クロスの上からでも施工を行うことができ、家を建てる前だけでなく、リフォームでも手軽に施工できます。
壁に塗るタイプの漆喰や珪藻土なども自然素材として人気です。
機能・場所から天井材を選ぶ方法
天井材には調湿機能はもちろん、消臭・抗菌や防音などの機能を持つものもあります。
たとえば、クローゼットや収納など湿気がたまりやすい場所には調湿機能を持つもの、お手洗いやパントリー、ペットのいる空間には消臭機能を持つもの、ピアノ室には吸音性や遮音性を持つものなど、うまく使い分ける考え方もあります。
すべての機能をバランスよく備えている天井材もあるため、その場合は統一することも選択肢になります。
デザインにこだわりたい方にとっても、天井材は直接手で触れたり、常に視界に入っているものでもないので、模様や色味よりも、機能や光の反射等を意識した選び方が重要です。
空間が広く見える白色系またはベージュ系が人気の色となっています。
また、天井以外の壁紙や床材との相性も重要になるため、セットでイメージしましょう。
家づくり時の湿気対策には設計の段階からこだわろう

湿気対策について、「設計」「設備」「建材」の観点から解説してきました。
DAIKENの天井材『クリアトーン12SⅡ』は調湿性能はもちろんのこと、吸音・消臭機能も持ち合わせています。
湿気対策として天井材を気にしてみたいあなたは、ぜひ下記よりニーズやテイストに合いそうなものを探してみてください。