特集:地域連携による国産木材の新たな用途展開
大建工業グループでは、「持続可能な木質資源活用の追求」を重要課題(マテリアリティ)として位置付けています。これまでの発想にとらわれない新分野への事業展開を目指す長期ビジョン「GP25」を起点として、適切に管理された豊富な森林資源を持つ地域の方々と連携を深めながら、伐期が到来し活用促進が求められる国産木材を余すことなく活用するための新たな用途展開に挑戦しています。
創業以来培ってきた木材を有効活用する技術
- ①木材の弱点を克服し良さを引き出す技術
- ②木材を余すことなく使い尽くす技術
木質繊維を活用した素材・建材を開発
木材総合利用の取り組みを他の地域に展開
2016年 地域と連携した木材総合利用を開始
2016年11月、鳥取県日南町、日南町森林組合、地元LVLメーカーの株式会社オロチとの間で、「日南町『木材総合カスケード利用』事業化検討プロジェクト」を設立。当社の木材加工技術を用いて日南町の豊富な森林資源を総合的に、無駄なく活用するとともに、森林の維持管理などを通じて、林業の再生化や地域産業の活性化にも取り組んでいます。
地域連携による木材総合利用の展開イメージ
淡路産竹資源活用プロジェクトに参画
2020年10月、兵庫県淡路島の竹資源の活用推進を目的とする「淡路産竹資源活用プロジェクト」に参画しました。参画する産官学5者の連携により、淡路島の竹資源を活用したファイバーの開発・製品化を目指しています。当社グループとして、DWファイバーの樹種展開を図るだけでなく、竹混合ファイバーの利用拡大を図ることで、竹資源の供給から消費までの竹資源循環システムの構築に寄与し、地域創生にも貢献していきます。
木質繊維の可能性を引き出し、新たな分野に用途展開
2017年 土木・造園分野に進出土壌改良材『DWファイバー』
(1)土壌改良材『DWファイバー』
2017年5月、「木材総合カスケード利用」の事業化検討プロジェクトの第一弾案件として、土壌改良材『DWファイバー』の提案を開始しました。
DWファイバーは、木材を無駄なく活用するという考えのもと、日南町森林組合が切り出した木材を用いて、(株)オロチがLVLを製造する際に発生する端材を解繊処理し、植物の生育促進効果のあるフルボ酸を添加した土壌改良材です。DWファイバーによって当社は初めて土木・造園分野に進出し、土壌の緑化をはじめ、農作物の生育促進や、塩害を受けた防潮林の再生などの災害復興にも貢献しています。
登録番号:KT-170110-A


2021年 農業・園芸資材分野に進出木質培地『グロウアース』
(2)木質培地『グロウアース』
2021年1月、DWファイバーで培った木材加工技術を応用した第二弾の案件として、木質培地『グロウアース』の提案を開始しました。グロウアースは、植物の生育促進作用を持つDWファイバーと異なるアプローチにより技術確立したもので、植物の生育を阻害する要因物質を無害化することで、最適な栽培環境を整えることができる木質培地です。
森林から切り出された木が培地となり、農業・園芸資材として次なる植物の生育を助け、再び土に還るという資源循環を実現しています。グロウアースによる農業・園芸資材分野への初参入は、事業領域の拡大につながる芽として、今後も育成を図っていきます。
国産木材の積極活用でトレーサビリティも確保日本の森林資源の健全な保護を目的に国産木材の積極活用が求められる中、国産の木材チップ原料ならではの品質の安定性や軽量さといった特長を持ち、出材元や加工経路などのトレーサビリティも確保しています。

国産木材の積極活用でトレーサビリティも確保
日本の森林資源の健全な保護を目的に国産木材の積極活用が求められる中、国産の木材チップ原料ならではの品質の安定性や軽量さといった特長を持ち、出材元や加工経路などのトレーサビリティも確保しています。
採用事例
大和ハウス工業(株)が展開するミニ胡蝶蘭『COCOLAN※』事業において、『グロウアース』が国産材ならではの品質の高さと安定性、軽量で手触りも良く、扱いやすい点などから培地として採用されました。
※『COCOLAN』栽培事業:大和ハウス工業(株)が、兵庫県三木市の同社住宅団地内に、独自技術を用いた栽培施設を建設し、ミニ胡蝶蘭(『COCOLAN』)の栽培を通じて、地元雇用の創出をはじめとする地域との新たな関係構築を目的とするもの。

『COCOLAN』
サントリーグループが行っている全国の「天然水の森」活動から生まれた「育林材※」を一部使用した『グロウアース』が、サントリーフラワーズ(株)の野菜苗商品『本気野菜Ready To Harvest』の培地として採用されました。
※育林材…サントリーグループは、持続可能な水と森を育むための活動から生まれた木材を「育林材」と呼んでいます。

『本気野菜Ready To Harvest』