環境経営:グリーンボンド
環境への取り組みを推進するため、グリーンボンドを国内建材業界で初めて発行しました。グリーンボンドとは、地球温暖化対策や再生可能エネルギーなど、環境改善効果のある取り組みに限定した資金を調達するために発行される債券です。
大建工業グループでは、持続可能な社会の実現と、経済的・社会的価値の創造に向け、独自の強みを活かした事業活動を展開しています。その中でも、機能性の高い素材を開発・提供する素材事業は、未利用資源や再生資源、循環利用が可能な木質資源などを主原料として有効活用することで、環境負荷の低い循環型社会の形成、さらには地球温暖化の防止に貢献したいと考えています。
グリーンボンド概要
名称 | 大建工業株式会社 第1回無担保社債 (社債間限定同順位特約付) (グリーンボンド) |
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発行日 | 2019年9月20日 |
発行総額 | 50億円 |
発行年限 | 3年 |
利率 | 0.20% |
資金使途 | 未利用資源、再生資源及び循環利用が可能な木質資源などを主原料とする素材であるダイライト、ダイロートンおよびインシュレーションボードを生産する岡山工場、高萩工場における改修のための新規の投資資金およびリファイナンス資金に充当 |
主幹事 | 大和証券株式会社 |
取得格付 | BBB+(株式会社日本格付研究所) |
適正性に関する第三者評価
当社は本グリーンボンド発行に関して、「グリーンボンド原則(Green Bond Principles)2018」及び環境省が定める「グリーンボンドガイドライン2017年版」に即し、グリーンボンドフレームワークを策定しました。
グリーンボンドに対する第三者評価として、株式会社日本格付研究所(JCR)から「JCRグリーンボンド評価」の最上位評価である「Green1」の評価を取得いたしました。
グリーンボンドフレームワーク
1.当社の環境に関する取り組み
当社はグループ企業理念の中で、「私たちは、豊かな社会と環境の調和を第一に考え、期待を超える新たな価値を提供し、あらゆる人に愛される企業であり続けます」を目指す企業像としています。また、グループ行動指針の一つに「5.企業活動を通じて環境課題に積極的に取り組み、地球にやさしい、人にやさしい持続可能な社会の実現に貢献します。」を掲げています。
具体的な取り組みを推進するにあたり、当社では環境方針を定め、企業活動を通じて環境課題に取り組み、地球にやさしい、人にやさしい持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指しています。環境方針の実現に向け、当社では中期環境計画を策定し、環境活動を推進しています。中期環境計画には、環境配慮製品の開発、木材利用による炭素固定化の促進、エネルギー起源CO2排出量の削減をはじめとした取組テーマを設定し、各テーマに基づき各年度における目標、年度末には過年度の目標に対する実績を公表しています。
当社は、長期ビジョン「GP25」(2025年に目指す姿)における、当社の存在意義・志の一つとして、「限りある資源の有効活用を通じてサステイナブルな社会の実現に貢献する」を挙げています。2019年から始まる3年間を中期経営計画「GP25 2nd Stage」と位置づけ、「『建築資材の総合企業』に向け成長戦略を加速させる」期間としています。事業活動を通じた社会課題解決を追求することにより、経済的・社会的価値の創造を目指すとともに、事業を支える財務、事業インフラ、ESGの3つの視点からの経営基盤の強化を図ることで、当社の価値創造の基盤の構築および強化に努めていきます。この中で中期環境計画を含む形でESGに関連した特に重要な項目を「中期ESG計画」として策定し、中期経営計画「GP25 2nd Stage」と連動性を高め、一体で取り組んでいきます。
2.調達資金の使途
未利用資源、再生資源及び循環利用が可能な木質資源などを主原料とする素材であるダイライト、ダイロートンおよびインシュレーションボードを生産する岡山工場、高萩工場における改修のための新規の投資資金およびリファイナンス資金に充当します。
なお、当社のグリーンボンド発行に際して、資金使途の対象となる適格プロジェクトは以下の適格クライテリアを満たすものから選定するものとします。
〈適格クライテリア〉
- ① 未利用資源である火山灰等を利用した素材の生産設備
- ② 廃材等の再生資源を再利用した素材の生産設備
(グリーンボンド原則2018のカテゴリー:汚染の防止及び抑制(廃棄物の削減・リサイクル)、環境に配慮した生産技術およびプロセス)
ダイライト |
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岡山工場 | 未利用資源であるシラス(火山灰)を主原料に用い、軽量、高強度、高耐久、防耐火、加工性の性能を備えた世界初の新素材「ダイライト」を生産し、木造住宅用耐力面材として供給することで住宅の耐震性能向上に貢献します。 |
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ダイロートン |
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岡山工場 | 再生資源(製鉄時の副産物であるロックウール)を主原料に、不燃性、軽量、吸音性、加工性の性能を備えた板状に成形した素材「ダイロートン」を生産し、主に住宅・建築物の天井材として供給することで、廃棄物抑制に貢献します。 |
インシュレーション ボード |
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岡山工場 高萩工場 |
従来は廃棄もしくは燃料として使用されていた建築解体古材を再利用したインシュレーションボードを生産することで木質資源の有効活用を図っております。木質資源を長期間にわたってマテリアルとして循環利用することで廃棄物を減らし、炭素の固定化を継続することでCO2の排出抑制にも繋がり、地球温暖化防止にも貢献します。 |
上記の資金使途は、持続可能な開発目標(SDGs)と一致しております。
目標12:つくる責任、使う責任 | |
ターゲット12.5. 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。 |
3.プロジェクトの評価と選定のプロセス
調達資金の使途となるプロジェクトは、当社の財務部の担当者により適格クライテリアへの適合を検討し、評価および選定を行いました。選定に関しては、コーポレート・コミュニケーション部(現:ESG推進部)の担当者が、対象となるプロジェクトについて、総合的に分析・検討し、財務担当役員が最終決定を下しました。
4.調達資金の管理
調達された資金は、改修のための新規の投資資金及び、リファイナンス資金に全額を充当し、管理します。
調達資金の充当と管理は当社財務部が担当します。入出金管理は社内の管理表により行うことを予定しています。調達資金の充当が決定されるまでの間は、調達資金は現金または現金等価物にて管理します。
5.レポーティング
資金充当完了まで、資金充当状況並びに環境改善効果について年次で当社ウェブサイト上にて公表します。グリーンボンドが償還されるまでの間、JCRより資金の充当状況並びに環境改善効果としての開示内容等のレポーティングの状況を主としたレビューを受け、その結果を公表します。
資金充当レポーティング
岡山工場及び高萩工場における改修のための新規の投資資金に充当 | 16.5憶円 |
岡山工場及び高萩工場の改修のために借り入れたローンのリファイナンス資金に充当 | 33.5憶円 |
よって、改修のための新規の投資資金及びリファイナンス資金とも、全額を充当完了
インパクト・レポーティング
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||
未利用資源 | シラス(万t) | 1.3 | 1.1 | 1.2 | 1.2 |
再生資源 | ロックウール(万t) | 3.5 | 3.1 | 3.3 | 3.2 |
木材チップ(万t) | 8.1 | 7.0 | 7.4 | 6.8 | |
炭素固定量(千t-CO2) | 140 | 136 | 138 | 113 |