ニュースリリース

ニュース

「岡山大学との包括連携協定」の対象期間を更新、対面での運営委員会を初開催

~産学連携活動のモデルケースとして共創を発展~

大建工業株式会社(大阪市北区、社長:億田正則)は、2020年12月から2024年3月までの期間で締結していた「国立大学法人岡山大学との包括連携協定」の対象期間を、2025年3月までに延長する契約へと自動更新しています。先の締結期間中には、活発な相互交流による効果的な人材育成や、相互の技術を連携させた共同研究へと発展させており、両者が対等な関係で、かつお互いにメリットのある共創を実践していることから、本活動は産学連携における模範的なケースになると考えています。

6月28日には、岡山大学において、当社代表取締役社長CEO 億田 正則と、岡山大学学長 那須 保友氏が出席する形で、協定締結後、初の対面スタイルでの運営委員会を開催し、共同研究や人材交流・育成等の今後の方向性について、活発な意見交換を行いました。

『運営委員会の様子』イメージ

運営委員会の様子

『OUXでの記念撮影』イメージ

OUXでの記念撮影
(左)岡山大学那須学長(右)当社代表取締役社長CEO億田

【背景・経緯】

2020年12月、木材の利用促進につながる技術をはじめとする環境関連技術の開発および実用化に向けて様々なステークホルダーとのオープンイノベーションを推進している当社と、SDGsを共通言語にした地域企業などとのパートナーシップの強化に取り組まれている岡山大学は、「共同研究の推進」や、「研究者の研究交流を含む相互交流」、「人材育成の推進及び相互支援」という3方向からの取り組みによって、グローバルな社会課題の解決を図っていくことを目的に、2024年3月までを対象期間とする包括連携協定を締結いたしました。

共同研究においては当社で植林しているアカシアについての研究等を進めており、学会発表など学術的な成果につながっています。また、同大学の産学連携の場である「岡山大学共育共創コモンズ」(OUX)で当社新入社員による研究発表会を開催し、社員教育や学生との交流の場として活用するなど、精力的に相互交流を推進してまいりました。さらに、MOT(技術経営)講座の開催や新規テーマ創出活動支援、基本的な開発スキルの習得を目的とした講座の開催など、両者連携による実効性のある人財育成も行っております。

本来、産学連携では、両者が対等な立場で、お互いにメリットのある共同研究を推進することが理想とされますが、一般的には、大学側からの技術提供やインフラ共有など、一方的な支援に留まるケースが多くみられます。そのような中、本連携協定においては、研究者や連携運営の担当者同士が積極的に交流を図り、フラットな立場での議論を行える関係を構築することで、当社の実情に即した人財育成や、相互の持つ技術を連携させながら現状の課題解決に直結する共同研究へと発展させており、産学連携活動の成功事例と考えています。

今年度についても、大学側の提案のみならず、当社からも研究・技術シーズ等を提供し、“共創”研究を推進するとともに、受託研究員の派遣により企業と大学が“共に育つ”R&D戦略について共同研究を試行するなど、包括連携のスタイルをより一層発展させ、サステナブルな社会の実現に資する事業への展開を目指してまいります。

【取り組み内容と成果】

1.共同研究の推進

2020年から2021年度にかけて、岡山大学の研究者と面談を行い、当社の課題解決につながる共同研究テーマを検討。これにより岡山大学研究者との関係構築ができるとともに、①「環境配慮型新素材の創出」についてはアカシアの共同研究、②「健康社会実現に貢献する空間構築」については、ふく射を活用した当社冷暖房システム『ユカリラ』の温熱快適性評価へと発展しました。

①「アカシア植林木」については、マレーシアにある当社植林地で発生しているアカシアの立ち枯れ病の原因菌を分析し、2024年3月に日本木材学会年次大会でポスター発表を行った他、2024年9月の国際リグニン学会での発表も予定しています。本研究においては、海外植林地でのサンプル採取・分析・学会発表等を両者協力のもとに進めており、相互の成果に繋がる“共創”が実現できている例といえます。

②『ユカリラ』の温熱快適性評価においては、生理反応、心理反応の評価手法について岡山大学の指導を受けながら評価を行いました。この研究成果についても、2023年に日本木材加工技術協会関西支部で技術発表を行いました。

『マレーシア植林地での木片サンプル採取』イメージ

マレーシア植林地での木片サンプル採取

また、2023年からは、技術調査テーマ探索のためのコンサルティング業務契約を結んでいます。初期段階ではコンサルティング内容を定めずに、複数回のコンサルティング契約を一括して結ぶもので、事務手続きが簡略化されるだけでなく、技術相談の垣根を低くする新しい提携のスタイルであり、画期的な取り組みとなります。

2.研究者の研究交流を含む相互交流

2022年に岡山大学環境生命学域2年生を対象に工場見学を実施したほか、2023年8月には社内イベントとして岡山大学のCLT(直交集成板)建築物である「岡山大学共育共創コモンズ」(OUX)の見学会を開催しました。あわせて、新入社員の研究発表会を当施設で開催しています。

また、先述のアカシアの共同研究においては、当社社員が研究員として共同研究に参加しており、定期的に岡山大学に通い、実験および意見交換を行っております。

『「岡山大学共育共創コモンズ」の見学会』イメージ

CLT建築である
「岡山大学共育共創コモンズ」の見学会

3.人材育成の推進と相互支援

2021年には当社開発担当者を対象に、当社向けのオリジナルプログラムで岡山大学の研究者によるMOT講座を6回開催し、のべ300名以上が受講しました。2022年には、岡山大学が当社R&Dセンターの若手所員に対して指導・支援を行う「新規テーマ創出活動支援」も実施しています。

その他、2023年には、当社若手研究員を対象に、報告書の作成方法やプレゼン方法、統計、実験計画、交渉術など開発業務の基本的なスキル習得をテーマに、講義を行いました。本講義は岡山大学の研究推進機構が当事者となる産学連携活動であり、岡山大学としても挑戦的な試みです。研究推進機構のスタッフは過去にメーカーの開発担当者としての勤務経験を有しており、より実務に即した内容となっております。岡山大学との共創による人材育成の取り組みについては、産学連携の分野において学術的にも大きな意義を持つことから、今月に産学連携学会で口頭発表する予定です。

『新規テーマ創出活動支援』イメージ

新規テーマ創出活動支援

※MOT(技術経営)とは、技術を活用して新しく経済的価値を作り出す点に重きを置いた経営手法。MOT講座ではMOT推進に必要な経営、戦略、財務、マーケティングなどの基本知識の関する講義および実習を行いました。

年代別ニュースリリース