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木質由来の接着剤を用いた環境配慮型「MDF」の製造技術を確立 “天然素材比率100%”に向けた実用化フェーズに移行

~エコ素材「MDF」の更なるサステナビリティを追求~

大建工業株式会社(大阪市北区中之島、社長:億田正則)は、2019年より、「石化原料を使用した接着剤」等を一切使用しない、究極の環境配慮型MDF(中密度繊維板)の製造技術確立に向けた取り組みを進めており、この度、その第1ステップとなる「木質由来成分からなる接着剤」を用いたMDFの製造試作に成功いたしましたので、お知らせします。
当社初となる、今回の製造試作の成功により、これまでの研究レベル段階から、発売に向けた実用化フェーズへと大きく前進します。引き続き、同MDFに関する研究開発を継続し、最終目標として、植林木や天然由来成分を活用した、天然素材比率100%・石化原料ゼロのMDFの発売を目指します。

※MDF:製材端材などを主原料とし、それらを繊維状にしたものを板状に成型して製造される木質ボードの一種。家具や建具、内装製品などの面材や基材に用いられる。

「天然素材を活用したた環境配慮型MDF開発のステップ」図

【背景】

当社は“社会・地球環境のサステナビリティへの貢献”と“当社事業のサステナビリティ”との連動性を高めることで、さらなる企業価値の向上を目指しており、木質資源や未利用資源を有効活用した「エコ素材」の開発・製造・販売を中核事業の一つとして展開しています。
中でも、昨今の合板不足の影響などから、国内外での需要が増加傾向にあるMDFは、当社素材事業の軸となる製品であり、現在、海外の4つの製造拠点にて、年間約55万m3を生産しています。このMDF事業において、脱石化原料の製造技術を確立すれば、これまで以上の環境負荷低減やカーボンニュートラルなど、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)に関わる取り組みとして、グローバルな社会課題解決へとつながります。
また、海外の4製造拠点のうち2工場があるマレーシアでは、持続的な森林資源の育成に向けて、2002年よりアカシア樹種の植林活動も行っており、当社MDFの原材料の一部として、これら植林木を活用することで、MDF事業を通じた木材の循環利用にも継続的に取り組んでおります。

【天然素材比率98%のMDFについて】

MDFの製造では、原材料となる木材チップの他に、接着剤等を混合しており、一般的にその接着剤には、安価で性能が良い石化由来のものが使われることから、製品としての天然素材比率は85%ほどに留まっています。そのような中、素材事業におけるより一層の環境負荷低減を目指す当社は、2019年より、研究開発部門「R&Dセンター」にて、脱石化原料かつ木質資源のさらなる有効活用に向けた研究をスタート。これまで使用されずに廃棄されていた「樹皮」に着目し、樹皮から抽出された木質由来成分を接着剤として活用する手法を模索しました。そしてこの度、木質由来成分を接着剤化するレシピを独自開発し、同成分を接着剤として用いた上で自社品質規格を満たした、天然素材比率98%のMDFの製造試作に成功しました。
今後、2025年度中の生産開始を目標に、木質由来の接着剤を用いたMDFの量産試作検証等を続けてまいります。

木質由来の接着剤を用いたMDF試作品

「木質由来の接着剤を用いたMDF試作品」画像

なお、その後の第2ステップとして、よりサステナブルな社会の実現に貢献するため、自社のアカシア植林木樹皮からの成分抽出、および抽出した成分の接着剤化に取り組み、次なる第3ステップでは、木材を余すことなく有効活用すべく、樹皮集材から接着剤合成までを一貫した製造プロセスを構築し、安定した調達・生産体制を整えることを目標に掲げています。そして最終的には、植林木をできる限りフル活用しながら、環境に配慮した天然系素材も有効利用し、「天然素材比率100%のMDF」の開発・発売を目指してまいります。

当社は今後も、「木質資源の有効活用および循環利用する技術」を活かしたSX展開を軸に、環境配慮やSDGsに貢献する研究開発への取り組みを強化し、成長戦略と環境戦略とを一体化させた事業活動を進めてまいります。

<参考>MDF原材料構成イメージ

「MDF原材料構成イメージ」図
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