ニュースリリース
カナダ単板製造会社、米国LVL製造会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
〜木質素材事業の海外展開を加速〜
大建工業株式会社(大阪市北区中之島、社長:億田正則)は、本日開催の取締役会において、伊藤忠商事の連結子会社で、カナダブリティッシュコロンビア州の単板工場であるCIPA Lumber Co. Ltd.(CIPA社)、及び、米国ワシントン州のLVL(Laminated Veneer Lumber: 単板積層材)工場であるPACIFIC WOODTECH CORPORATION(PWT社)のそれぞれ51%の株式を取得し、子会社化することについて決議いたしましたので、お知らせいたします。
1.背景
当社はこれまで、日本国内の新築住宅市場を主な事業領域として成長してまいりましたが、今後、少子高齢化、人口減、世帯数減などにより、新設住宅着工戸数の減少が見込まれています。そこで当社は、創立70周年を迎えた2015年、10年後のありたい姿を描いた長期ビジョン「GP(グロウプラン)25」を策定。これまでの「住宅用建材のメーカー」から「建築資材の総合企業」へと成長することを目指し、公共・商業建築分野、海外市場、住宅リフォーム市場を今後拡大すべき重点市場と位置づけ、新たな取り組みを推進してまいりました。中でも、海外市場に関しましては、アセアン・中国及びオセアニア地域等での素材、建材販売の拡大を今後の成長戦略として掲げ、マレーシア・ニュージーランドでのMDF製造事業及び中国・インドネシアでのドア製造事業の拡大、さらには中国・シンガポール・インドネシアを拠点とした中国・アセアン地域での販売強化を進めております。
加えて、2018年9月には、海外における素材・建材事業等の強化及び国内外での事業拡大を目的に、当社と協力関係にある伊藤忠商事株式会社(以下、伊藤忠)と資本業務提携を締結。その中で、協働テーマの一つとして挙げたのが「木質素材事業の拡大」です。具体的には、海外において新たな素材事業の展開に向けたマーケティングと研究開発を共同で進め、積極的に投資を進めていくことを方針として共有し、これまで協議してまいりました。
伊藤忠は、1968年に今回買収の対象となるCIPA社をジョイントベンチャーとして設立。さらに1998年には、北米事業拡大のためCIPA社が製造する単板を有効活用できるPWT社を設立し、LVLの製造を開始しています。CIPA社とPWT社の更なる事業拡大と生産性改善による利益拡大のために製造面、開発面を強化したいという伊藤忠の方針と、海外事業拡大に向けた新たな商材の獲得と新たな市場への進出の検討を進めていた当社の方針が一致し、このたび北米市場にて共同事業展開を進めることに至りました。
2.北米建材事業買収の目的
今回買収するCIPA社は、強度に優れたダグラスファー(米松)を原料とする合板及びLVL用の単板を生産しています。PWT社は、CIPA社及び近隣の他単板工場から単板を購入し、LVL※1を製造しています。更には、LVLを加工したI-Joist※2を製造しており、これらの製品は木造建築の床板や天井を支える梁や根太など、北米及び豪州の木造住宅に幅広く利用されております。当社にとっては、両社を長年経営してきた伊藤忠との共同事業展開により、出資リスクをコントロールしながら安定した成長が見込める北米の木造住宅市場に進出できるというメリットを得ることができます。
このたびのCIPA社とPWT社の株式取得により、LVLという新たな“商材”が加わり、世界最大の木造住宅市場である北米市場という“商圏”に進出することになります。今後、これら事業を北米市場攻略の拠点とし、積極的な事業展開を行なうことで、素材事業のグローバル化と、海外市場での販売拡大を飛躍的に進めてまいります。
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※1 LVLとは:丸太を切削した単板(厚さ2~4mmの薄板:ベニヤ)を、繊維方向にすべて平行にして積層・接着して製造される木材加工製品。寸法の安定性と精度に優れる、長尺材が得られる、品質が安定している、用途に応じた寸法の製品が提供できる、などの特長があり、用途としては住宅の柱や梁、家具の枠材、階段セット、ドアの枠・芯材などに使われる。
※2 I-Joist(I型ジョイスト)とは:OSB(Oriented Strand Board:細長い木片を一定の方向に並べて接着し、熱圧成形したボード)とLVLの複合による構造材。OSBの補強板の両端に角材を組み合わせた構造となっており、角材にはLVLが使用される。複合部材化することで、同じ寸法の無垢材よりも高い強度と精度が生まれ、主に床組・屋根組などの構造材として使われる。
I-Joist(I型ジョイスト)施工写真
3.異動する子会社の概要
【CIPA社の概要】 |
( )内は1加ドル85円換算 |
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(1)名称 | CIPA Lumber Co. Ltd. | ||
(2)所在地 | カナダ ブリティッシュコロンビア州デルタ市 | ||
(3)代表者の役職・氏名 | Bryan D. McGladrey(President & CEO) | ||
(4)事業内容 | 単板製造業、木材仕分け業 | ||
(5)資本金 | 23,000千加ドル (1,955百万円) | ||
(6)設立年月日 | 1968年4月30日 | ||
(7)大株主及び持株比率 | 伊藤忠商事 (100%) | ||
(8)上場会社と当該会社との間の関係 | 資本関係 | 該当事項はありません。 | |
人的関係 | 該当事項はありません。 | ||
取引関係 | 該当事項はありません。 | ||
(9)当該会社の最近3年間の経営成績及び財政状態 | |||
決算期 | 2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 |
純資産 | 90,057 千加ドル ( 7,654 百万円 ) |
87,954 千加ドル ( 7,476 百万円 ) |
107,195 千加ドル ( 9,111 百万円 ) |
総資産 | 101,166 千加ドル ( 8,599 百万円 ) |
96,955 千加ドル ( 8,241 百万円 ) |
127,589 千加ドル ( 10,845 百万円 ) |
1株当たり純資産 | 68.05 加ドル ( 5,784.87 円 ) |
65.95 加ドル ( 5,606.09 円 ) |
85.19 加ドル ( 7,241.62 円 ) |
売上高 | 144,294 千加ドル ( 12,265 百万円 ) |
139,544 千加ドル ( 11,861 百万円 ) |
183,861 千加ドル ( 15,628 百万円 ) |
(注)1.経営成績及び財政状態については、CIPA社より開示された数値であり、当社の会計監査人による監査は受けておりません。
2.営業利益及び当期純利益については、CIPA社の同意を得られていないため公表を控えさせていただきます。
【PWT社の概要】 |
( )内は1米ドル110円換算 |
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(1)名称 | PACIFIC WOODTECH CORPORATION | ||
(2)所在地 | 米国 ワシントン州バーリントン市 | ||
(3)代表者の役職・氏名 | James J. Enright(President & CEO) | ||
(4)事業内容 | 構造用LVL及びWood I-Joistの製造・販売 | ||
(5)資本金 | 26,000千米ドル (2,860百万円) | ||
(6)設立年月日 | 1998年1月7日 | ||
(7)大株主及び持株比率 | ITOCHU International Inc. (100%) | ||
(8)上場会社と当該会社との間の関係 | 資本関係 | 該当事項はありません。 | |
人的関係 | 該当事項はありません。 | ||
取引関係 | 該当事項はありません。 | ||
(9)当該会社の最近3年間の経営成績及び財政状態 | |||
決算期 | 2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 |
純資産 | 34,179 千米ドル ( 3,759 百万円 ) |
37,322 千米ドル ( 4,105 百万円 ) |
41,512 千米ドル ( 4,566 百万円 ) |
総資産 | 83,757 千米ドル ( 9,213 百万円 ) |
92,565 千米ドル ( 10,182 百万円 ) |
98,620 千米ドル ( 10,848 百万円 ) |
1株当たり純資産 | 112.71 米ドル ( 12,399.11 円 ) |
125.28 米ドル ( 13,781.78 円 ) |
142.04 米ドル ( 15,625.41 円 ) |
売上高 | 126,321 千米ドル ( 13,895 百万円 ) |
133,249 千米ドル ( 14,657 百万円 ) |
168,258 千米ドル ( 18,508 百万円 ) |
(注)1.経営成績及び財政状態については、PWT社より開示された数値であり、当社の会計監査人による監査は受けておりません。
2.営業利益及び当期純利益については、PWT社の同意を得られていないため公表を控えさせていただきます。
3.PWT社の株式については、伊藤忠商事が当社への株式譲渡実行日までにITOCHU International Inc.から全株式を取得する予定です。
4.株式取得の相手先の概要
(1)名称 | 伊藤忠商事株式会社 | ||
(2)所在地 | 大阪市北区梅田三丁目1番3号 | ||
(3)代表者の役職・氏名 | 代表取締役社長COO 鈴木 善久 | ||
(4)事業内容 | 総合商社 | ||
(5)設立年月日 | 1949年12月1日 | ||
(6)資本金 | 253,448百万円(2018年12月31日現在) | ||
(7)資本合計 | 3,638,169百万円(2018年12月31日現在) | ||
(8)総資産 | 10,833,192百万円(2018年12月31日現在) | ||
(9)大株主及び持株比率 (2018年9月30日現在) |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 6.29% | |
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) | 6.02% | ||
CP WORLDWIDE INVESTMENT COMPANY LIMITED (常任代理人:株式会社みずほ銀行決済営業部) |
4.09% | ||
日本生命保険相互会社 | 2.19% | ||
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口9) | 2.15% | ||
株式会社みずほ銀行 | 2.01% | ||
SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT (常任代理人:香港上海銀行東京支店 カストディ業務部) |
1.89% | ||
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口5) | 1.81% | ||
STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234 (常任代理人:株式会社みずほ銀行決済営業部) |
1.51% | ||
朝日生命保険相互会社 | 1.51% | ||
(10)上場会社と当該会社との間の関係 | 資本関係 | 伊藤忠商事が当社の発行する株式を9,103,100株保有しております。 | |
人的関係 | 伊藤忠商事の生活資材第一部長である清洲忠洋氏は、当社の取締役(非常勤)に就任しております。また、伊藤忠商事の従業員2名が、当社に出向しております。 | ||
取引関係 | 当社は、伊藤忠商事から商品を購入しております。また、伊藤忠商事の連結子会社である伊藤忠建材㈱に対して当社製品を販売しております。なお、当社と伊藤忠商事は、2018年9月3日付で資本業務提携に関する契約を締結しております。 | ||
関連当事者への該当状況 | 当社は、伊藤忠商事の関連会社に該当いたします。 |
5.取得株式数及び取得前後の所有株式の状況
【CIPA社】 | |
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(1)異動前の所有株式数 | -株 (-%) |
(2)取得株式数 | 622,200株 |
(3)取得価額 | CIPA社の株式の取得価額 約109億円(約99百万米ドル) |
(4)異動後の所有株式数 | 622,200株 (51.0%) |
【PWT社】 | |
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(1)異動前の所有株式数 | -株 (-%) |
(2)取得株式数 | 165,750株 |
(3)取得価額 | PWT社の株式の取得価額 約21億円(約19百万米ドル) |
(4)異動後の所有株式数 | 165,750株 (51.0%) |
(注)1.両社株式の取得価額については、公平性・妥当性を確保するため、第三者機関による株式価値の算定結果を勘案し決定しております。
2.両社株式の取得価額については、クロージング時点の純有利子負債及び運転資本の過不足が調整される予定です。
6.日程
(1)取締役会決議日 | 2019年2月25日 |
(2)契約締結日 | 2019年2月26日 |
(3)株式譲渡実行日 | 2019年4月上旬(予定) |
(注)本株式譲渡につきましては、関係当局による承認を条件としております。
7.今後の見通し
買収対象会社の損益連結開始は2020年3月期第1四半期となる見込みであることなどから、本件が2019年3月期の連結業績に与える影響につきましては軽微であります。なお、2020年3月期の連結業績に与える影響につきましては、2019年3月期決算短信において開示する2020年3月期の連結業績予想に織り込む予定です。※ここに掲載されている情報は発表時のものであり、ご覧になられている日と情報が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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