【セミナーレポート 2021年7月29日】
sound40.0
~音の実績40年のDAIKENが、音の悩みを“ゼロ”に~
後編

2021.10.7

【セミナーレポート 2021年7月29日】sound40.0~音の実績40年のDAIKENが、音の悩みを“ゼロ”に~後編

快適な音環境のためのソリューション

前編では、オンライン化が進んだことに伴うオフィスや学校での音に関するお悩み、そして音をデザインする必要性についてなど、様々な視点から音にまつわる課題が取り上げられました。
こうした課題を受けてDAIKENでは、ここまで提起された問題意識のもと、オフィス、学校、公共施設といったそれぞれの場に最適 なソリューションを若杉教授や他社と共に開発し、各地でその効果を実証中です。
取り組みの一部をここでご 紹介します。

前編はこちら

【セミナーレポート 2021年7月29日】
sound40.0~音の実績40年のDAIKENが、音の悩みを“ゼロ”に~前編

大人数の空間で音を聞き取りやすくする -公共空間での取り組み

【セミナーレポート 2021年7月29日】sound40.0~音の実績40年のDAIKENが、音の悩みを“ゼロ”に~後編

東京メトロ(東京地下鉄株式会社)

地下鉄通路の一角に携帯電話での会話コーナー。ここでのポイントは、地下通路というさまざまな音が混在する騒音空間において「音を遮る=防音する」のではなく、会話している「自分の声」がよく聞こえるように、つまり「音質をよくする」ことを目的としてデザインされていることです。個室スペースにしなくても、一定範囲内の音を調整することで聞き取りやすさが向上する例です。

学校施設に最適な音空間提案 -武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスにおける音質実証実験

【セミナーレポート 2021年7月29日】sound40.0~音の実績40年のDAIKENが、音の悩みを“ゼロ”に~後編

実証実験では、日本音響エンジニアリングが開発した拡散体と吸音材を若杉教授の研究室に設置。隣室のセミナールームは、研究室と同じ作りながら、音響調整が入っていません。

※拡散体…音の反射をうまく調整する材料
※吸音材…高い音から低い音までバランスよく吸音するよう設計された材料

point 音響調整をした部屋は何が違うのか?

若杉教授の部屋を訪れた人は「音がいい、音が綺麗に聞こえる」と評価しています。 その要因は以下のように考えられます。

自分の声がよく聞こえる

大声で話す必要がない

部屋に嫌な低音の響きが残らない

クリアな音になる、音の質が変わる

美術大学は、加工機械や映像、オンライン講義など音のバラエティーが幅広いのが特徴です。これを生かして、さまざまな実証ができそうです。

欄間オープン個室の音漏れ解消 -コワーキングスペース「point0 marunouchi」

【セミナーレポート 2021年7月29日】sound40.0~音の実績40年のDAIKENが、音の悩みを“ゼロ”に~後編

ワーキングスペースでのウェブ会議時、音の悩みに対してはどのような対策が求められるでしょうか?個室需要とコスト対応的な面から、今後はコワーキングスペースでの欄間オープン個室の計画増加が見込まれています。

その場合に課題となる音漏れ、反響の解消について、先に紹介した「point0 marunouchini」で、TOA(株)の自然音マスキングシステムと DAIKENの吸音パネルの組み合わせによる効果を実証実験中です。電気音響と建築音響の融合によって、心地よい、ストレスを受けにくい音空間を目指しています。

※「point 0 marunouchi」…「未来のオフィス空間」を実現していくためのコワーキングスペースであり、実証実験の場です。
TOA(株)…業務用・プロ用の音響機器と、防犯・監視カメラなど映像機器の専門メーカーです。1934年に創業し、現在では国内外に拠点を構え、世界120ヵ国以上に商品を供給しています。
※自然音マスキングシステム…スピーカー内蔵の音パネルから鳥のさえずりなどの自然音をもとに、周波数や指向性をチューニングしたマスキング音を流すシステム
※吸音パネル…室外の音を遮るのではなく、室内の音の反響を抑えるパネル

ウェブ会議時代の音響調整 -DAIKEN秋葉原テクニカルスペースにおける音質実証実験

ウェブ会議が増えたことに伴い、とくに個室内の音環境への悩みが寄せられるようになりました。

課題

  • 個室内の音が反響してウェブを通すと聞きづらい・話しづらい
  • 音が割れる

会議室のような広い空間においては反響音が問題になります。吸音材を設置すると、たとえば拍手したときや何か操作したときの反響音が抑えられ、それによって話し声が明瞭に聞こえる空間を実現しています。

※「DAIKEN秋葉原テクニカルスペース(住友不動産秋葉原ビル)」には遮音性能や音の響き方の違いをご体感いただける防音室を設け、音に関するさまざまなご相談を承っております。
詳細はこちら→DAIKENサウンドデザインルーム

まとめ ‒音は対処療法からデザインへ

本セミナーでは、各登壇者から音やデザインについてのさまざまな問題が提起され、DAIKENがそれらの問題に対して、どのように取り組んでいるかをご紹介しました。ポイントとなるのは以下の点になります。

  • 1. 新しいクリエイティビティを高めるには情感力やエンパシーと呼ばれる共感力が重要となる
  • 2. コロナ禍で、ウェブ会議、オンライン授業が増え、音の悩みが顕在化した
  • 3. 空間における音環境の重要性を多くの人が認識した
  • 4. 音響マーケットでは、公共・商業施設のジャンルが空白
  • 5. 防音・遮音だけでなく、「音質をよくする」設計が求められていく
  • 6. 音響設計の世界に足りないのは可視化である
  • 7. その空間の音の特性を理解し、それに合わせた音響調整をすることで空間自体の質も向上する
【セミナーレポート 2021年7月29日】sound40.0~音の実績40年のDAIKENが、音の悩みを“ゼロ”に~後編

登壇者コメント

―若杉教授
音の世界はこれまで、うるさいからふさぐ、という対症療法的な面が強く、デザイン発想が貧困だったのではないでしょうか。音は建築や電気など複合技術でもあるので、総合的なデザインが求められます。その際に騒音特性などの基準ばかり重要視されがちですが、大切なのは数値化することではなく、その空間を快適な音にすること。今後は業界同士が歩み寄って、空間にクオリティを与えるようなデザインを作っていく時代になると思います。

―藤原
今日の話をきっかけに、皆さんが音を多少なりとも気にしだしたら私としては成功です。ここは響いている、ここは音がクリアに聞こえる、などの気づきから、快適な音環境というものにつなげていきたい。それには可視化するためのデザインの存在が必要で、さらにそのデザインが作らんとしている働く場、働く人の価値観を変えていくところまでつなげていきたいと考えています。

DAIKENでは、コンソーシアムでの共創作業、また実証実験やショールームを通じて、今後ともより豊かな音環境へのデザイン提案をしてまいります。「快適な音環境」とは?と気になった方は、ぜひ DAIKENにご相談ください。

DAIKENのサウンドデザイン商品を多数ご紹介しています!

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