大建工業の
サステナビリティ

Daiken Sustainabilities

<span>植林木100%</span>の建材開発で持続可能な社会の実現を目指す<span>海外市場</span>

植林木100%の建材開発で持続可能な社会の実現を目指す海外市場

2023年2月17日

お話を聞いた方:永田 武(大建工業株式会社 取締役 常務執行役員)
※役職は撮影当時のものです。
インタビュアー:こにわ(サンミュージック)

☆本インタビューのダイジェスト映像はこちら

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“「建築資材の総合企業」DAIKEN”として、住宅・建築業界ではおなじみの大建工業株式会社(本社:大阪府/本店:富山県)。幅広い分野で活躍している大建工業の事業に対する取り組み姿勢や魅力を伝えていくWEBマガジン「DAIKEN魂!」。
第4弾は、国産材に関する社会課題をテーマにインタビューしました!!

こにわ:みなさんこんにちは! こにわでございます。今回は、“大建工業さんの海外市場展開”に迫っていきたいと思います。海外でどのような社会課題を解決されているのか気になりますね!
今回お話を伺いますのは取締役 常務執行役員の永田武さんです。よろしくお願いいたします。

永田:よろしくお願いいたします。

熱帯林の持続可能性を維持すべく、2002年から植林を開始

こにわ

こにわ:それでは早速、大建工業さんの海外市場展開についてお聞きしたいのですが、まずはどのようなことをされているのか、教えていただいてもよろしいでしょうか。

永田:はい。大建工業では2015年の時点で、10年後の2025年に向けた「GP25(Grow/Glow Plan25)」という長期ビジョンを策定しています。
その中で大建工業は従来の「住宅用建材メーカー」から「建築資材の総合企業」に成長するため、建材に加えて素材の供給から施工・工事まで行い、住宅だけでなく公共・商業建築分野、産業資材分野まで幅広く展開して、海外への展開もより拡大することになりました。
もともと大建工業は東南アジアに支店がありまして、合板などの取り扱いを行っていました。現在はそこからさらにエコ事業の中核として、世界各地で需要が高まっているMDF(表面が平滑で化粧基材に適した木質繊維板)製造のほか、カナダ、北米で生産する単板・LVL(単板積層材)を中心とした北米木質素材の生産拡大や、中国、インドネシアでの展開も始めています。

こにわ:海外ではどういった社会課題の解決に取り組まれているか、教えていただけますか。

永田 武

永田:やはり、木材を扱う上で熱帯林の問題が非常に重要となっています。熱帯林は地球の肺といわれるほど気候を維持するために重要な役割を担っているのですが、森林破壊や森林火災、温暖化などによって、その存在が失われる可能性も危惧されています。熱帯林が失われた場合、大気の調節機能や地球が持つ炭素の貯蔵庫としての機能などが損なわれて、ますます温暖化が加速する恐れもあります。
そのような状況において、大建工業グループではサステナブルな社会実現に貢献すべく、熱帯林の持続可能性維持と木材の安定調達を実現するため、マレーシアのサラワク州で2002年から植林を開始しています。

こにわ:なるほど! 熱帯林ですか。たまに森林火災のニュースも見たりしますので、維持していく努力はとても大切ですよね。ちなみに何を植えているんですか?

永田:植林を始めた当時はいろいろな樹種を試したのですが、その結果、成長も含めて一番適しているということで、現在はアカシア・マンギウムの植林を続けています。

こにわ:アカシアですか。材質的にはどういった木なんですか?

永田:アカシアは成長が早く、持続可能な木質資源としても知られています。一方では非常に耐久性が高いということもあって、MDFの資材としても扱いやすいということで選びました。

こにわ:アカシアのほかに試した木もあるんですよね。

永田:はい。例えばユーカリなども試しました。どちらも何百もの種類があるのですが、その中でいろいろ研究したうえで、MDFに適していると思われるアカシア・マンギウムでいこうということになりました。

こにわ:ちなみに大建工業さんではどれくらいの量を植林されているんですか?

永田:2002年から始めて、今までの累計植林面積は9,500ヘクタール強ですね。

こにわ:すごい数字ですね。もう、何かわけ分かんないぐらいのでかさですよね。

永田:東京ドームに換算すると、おおよそ2,000個以上入る広さになると思います。

こにわ:いやいや、本当にすごいですね(笑)!

MDFに使用する植林木比率を2025年度までに100%に高めたい

こにわ:大建工業さんが植林して育てた木材ですが、これ、御社で製品に使われているということですか?

永田:はい。マレーシアの植林活動で得た木材は主にMDFの生産に使用しています。MDFは木材の製材加工時に発生する端材を原材料にしたエコ素材の木質繊維板で、主に床、ドア、家具の基材、あとはキッチンの背板やエンドパネルなど、幅広い部分に使われています。

こにわ:先ほどお話にあった植林したアカシアもMDFに使用されているんですか?

永田 武

永田:はい。大建工業では業界で初めてアカシアの植林木を100%使用した耐水性の高いMDFを開発しました。これはサステナブルな材料というだけでなく、従来の汎用MDFに比べて曲げ強度の高さとか、寸法安定性、平滑性があって、更にMDFの中でトップクラスの耐水性も備えています。

MDF

アカシア(植林木)100%のMDF

こにわ:なるほどねえ。アカシアと聞くとおしゃれなカフェなどの食器に使われているイメージがありますけど、高機能でサステナブルな製品って素晴らしいですね。 植林木は他のMDFにも使用されているんですか?

永田:大建工業でMDFに使用している木質原料の植林木比率は現状でも約50%あります。これを2025年度には100%にすることを目指して、持続可能な原料調達を行っています。

こにわ:100%ですか!? まさにサステナブル、持続可能な社会の実現に役立つ製品開発って感じですけど、正直不可能じゃないかって思っちゃうぐらいの数字ですね。大建工業さんとしてはできると踏んでいるんですか?

永田:できます。できますし、社会の流れからいっても植林木への対応は必ずやっていかなければいけないことだと思っています。

こにわ:いやーすごい! 力強いですね!! ちなみにMDFは海外市場ではどのぐらい供給されているのか、ちょっと教えていただけますか。

永田:海外市場ではマレーシアに2工場、ニュージーランドに2工場の4工場体制で、年間合計約55万立方メートルのMDFを供給しています。

こにわ:これはまたすごそうな数字ですが……。

永田:いや、これは業界的にはそこそこなんですが、まだまだ上を目指していきたいと思っています。

こにわ

こにわ:いやもう、この数字でまだまだって! 私、本当に今、松岡修造さんとしゃべっているのかと思いましたよ。
「もっと上に行くんだよ! ウィンブルドンベスト8じゃないんだよ!」って。すごいですね。

永田:いやいや(笑) 大建工業はMDFについては長年の技術の蓄積がありますので、いわば得意分野の製品ですからね。さらにMDFの開発を頑張っていきたいです。

こにわ:何だかワクワクしますね。さらに高いポテンシャルを秘めた地域で、自分たちはどのようなことができるんだろうという挑戦は、大建工業さんにとってものすごく楽しみですよね。

永田:そうですね。世界は広いので、まだ進出できていない市場もたくさんありますから、そういった中でまだまだやることはたくさん残っているのかな、と思っています。

海外市場の売上は4年で6倍に成長! さらなる展開を目指して

こにわ:MDF以外についての海外展開はどうでしょうか。

永田:北米市場に向けた単板やLVLなどの木質素材事業を軸に、世界最大の木造住宅市場である米国への展開も進めています。これまで培ってきた当社の技術や素材・建材事業との親和性もあって今後の拡大が期待できますね。

こにわ:MDFと単板やLVLでは事業展開の仕方は変わってくるのですか?

永田:MDFは主に床やドアの面材、家具といった内装建材として使われ、単板やLVLは住宅の構造用に使われますので、扱いが少し異なりますが、いずれにせよ木造住宅で使用するという意味では同じ分野になると思います。

こにわ:なるほど。北米のほかにはいかがでしょう。

永田:他にも巨大な市場規模を誇る中国や、今後の住宅需要が見込まれるインドネシアにおいても拡大を図っていきます。

こにわ:世界の各地で展開を進めているんですね。ちなみに大建工業さんの海外市場における売上は現在どのくらいなのでしょうか。

永田:海外での事業展開はMDFをメインに持続可能な資源を活用した素材・建材製品の普及を通じて進めているのですが、2017年度は海外市場の売上が約123億円だったのに対し、2021年度は約720億円まで伸びていて、すでに「GP25」(2015年の時点で、10年後の2025年に向けた大建工業の長期ビジョン)で設定した2025年の目標数値を上回る成長を続けています。

市場別売上

大建工業株式会社 市場別売上高推移(2017年〜2021年)

こにわ

こにわ:720億ですから、4年で約6倍ですか! いやー、6倍はすごいですね。たった4年で、6倍近く増えたということは大建工業さん、海外市場でも大好評なんですね。そうなんですよね?

永田:非常に評価していただいています。ありがとうございます。

こにわ:すごいですね、本当に。それでは最後になりますが、今後の海外市場展開で大建工業さんが目指す未来、展開などありましたら、教えてください。

永田 武

永田:まず、製品という切り口では、技術の蓄積のあるMDFを軸にして東南アジア・オセアニア地区でのさらなる展開・拡大を目指し、業界内でのプレゼンスを高めていきたいと思っております。
市場という切り口では、世界最大の木造住宅マーケットであり、先進国の中でも安定して人口・世帯数が増加している北米市場での売上拡大を目指し、単板・LVLに加えて新たな基材を投入することで、さらなる成長を目指していきたいと思っております。

こにわ:いやー、可能性だらけで話を聞いただけでもうワクワクしますね。大建工業さんの未来を、私はまた応援させていただきます。本日も本当に貴重なお話を聞かせていただいてありがとうございました。

永田:ありがとうございました。

こにわ:最後にいつもの台詞、一緒にいきますよ! せーの!

こにわ・永田:『DAIKEN魂!』

DAIKEN魂!