大建工業の
サステナビリティ

Daiken Sustainabilities

<span>保育・高齢者</span>施設における<span>安心・安全</span>な空間づくり

保育・高齢者施設における安心・安全な空間づくり

2023年3月17日

お話を聞いた方:森川 大(大建工業株式会社 執行職 住機製品事業部長)
インタビュアー:こにわ(サンミュージック)

☆本インタビューのダイジェスト映像はこちら

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“「建築資材の総合企業」DAIKEN”として、住宅・建築業界ではおなじみの大建工業株式会社(本社:大阪府/本店:富山県)。幅広い分野で活躍している大建工業の事業に取り組む企業姿勢や魅力を伝えていくWEBマガジン「DAIKEN魂!」。
第6弾は、保育の社会課題と高齢化社会をテーマにインタビューしました!!

こにわ:みなさん、こんにちは! こにわでございます。本日なんですけれども富山県にあります、大建工業さんの井波工場に来ております。今回は保育の社会課題、そして、高齢化社会に大建工業さんがどのように立ち向かっているのかお聞きしたいと思います。
お話を伺うのは大建工業の執行職 住機製品事業部長の森川 大さんです。よろしくお願いいたします。

森川:よろしくお願いいたします。

こにわ:この井波工場のまわりは自然が豊かで圧巻の景観ですね。こちらの工場は稼働されてから長いのですか?

森川:そうですね。実は富山県は大建工場の発祥地でして、この井波工場も1945年の創業以来、基幹工場として動いております。

こにわ:へー、そうなんですか! いい場所ですよね。今日、最初に工場を見せていただいた時に、行く先々で木のすごく良い香りがして、ああいう匂いを嗅ぐとやっぱり家を建てたくなるなあと思いますね。皆さんは毎日そうしたことを感じながら作業しているわけですよね。

森川:はい、日々頑張っております。

保育士の方の負担を減らすためのドアを開発

こにわ

こにわ:それでは、まず大建工業さんの住機製品事業ではどのようなことをされているのか教えていただけますか?

森川:はい。私どもの事業部ではドア・収納・階段・造作材といった内装建材の企画・設計・製造を行っております。中でもドアは国内でトップレベルのシェアを誇っておりまして、まさに今日お越しいただいている井波工場で生産しております。
大建工業としては、製品利用者の利便性や安全性、快適性を向上させることを第一に考えていますが、さらに保育や高齢化といったさまざまな 社会課題についてもメーカーとして何ができるのかを常に考えて製品づくりに取り組んでおります。

こにわ:それでは、今のお話にあった社会課題のうち、保育に関してはどのようなものがあるのでしょうか。

森川:よく耳にするのが待機児童の話ですよね。それと同時に保育士さんの不足なども問題となっています。

こにわ:少子化なのに待機児童がたくさんいるんですよね。やはり保育士さんの数も足りていないのですか?

森川 大

森川:少子化で子どもの数は減っているのですが、それ以上に共働き世帯の増加や三世代世帯の減少が顕著なんです。共働きをする世帯では、子どもを保育園などに預けざるを得ず、その結果として待機児童が増えました。それを解消するために政府が保育の受け皿を増やす政策を進めていますが、その実現や達成に必要不可欠な保育士の不足が問題となっているのです。

こにわ:一人で複数の子どもたちを世話する保育士さんのお仕事は、本当に大変そうなイメージがあります。責任が重いうえに業務が多忙ということで、保育士の資格を持っていたとしても、わざわざ保育園や幼稚園の先生になることを避けてしまう可能性は、今のような時代にはありそうですよね。

森川:いろいろなところに気を使わないといけない仕事ですからね。精神的にも肉体的にも非常に大きな負担がかかるお仕事だと思っています。そのため、できる限り保育士の方の負担を減らす努力をすることが大切です。設備面でも子どもがケガをしにくく、メンテナンスしやすい環境づくりが求められますね。

こにわ:なるほど、設備面で保育士さんの負担が発生しないようにするんですね。
保育施設の課題は他にもありますか?

森川:他には保育現場で働いている方に実施したアンケートで、自分が働いている施設が老朽化していると感じている方が全体の約68%に上るという結果が出ています。老朽化を感じる具体的な場所を聞いたところ、子どもたちが園内生活をする際にメインで使用する「保育室」と答えた方が約61%もいらっしゃいました。

保育施設 老朽化

※保育士・幼稚園教諭681人に実施したインターネット調査より。(調査期間:2022年6月1日〜6月8日)

保育施設 老朽化

※保育士・幼稚園教諭681人に実施したインターネット調査より。(調査期間:2022年6月1日〜6月8日)

保育の社会課題

こにわ:そんなにですか!? 確かに老朽化している保育園や幼稚園は多そうですねぇ。でも、建物を丸々変えるというのは、すごく難しいことじゃないですか。もちろんお金が掛かることですし、それぞれの場所ごとに老朽化を改善して、少しずつ安全で安心できる方向に持っていくのも大事ですよね。

森川:そうですね。ですから本来の保育に携わる時間に加えて、その後の事務処理などで負荷が掛かっている職員にとって、一番の心配事というのは子どもがケガをしたりせず、安全に過ごせるかというところですね。そうした配慮の負担を少しでも減らすことが非常に重要だと思っています。私どもはそういった部分での安全性が確保できて、メンテナンスの部分で少しでも負荷が減るような製品を提供していきたいと考えております。
そして、その一つが『おもいやりキッズドア』という製品です。

こにわ:もう名前からして素敵ですけど、いつ頃から発売されているんですか?

子どもの安全性に配慮した『おもいやりキッズドア』

おもいやりキッズドア

森川:『おもいやりキッズドア』は、2016年に発売いたしました。実はそれ以前の2012年に高齢者向けのドアとして『おもいやりドア』を発売していまして、その経験とノウハウを活かして開発したという経緯がございます。
一番の特長はやはり安全面への配慮で、ケガをしにくいような仕様にしております。もう一つはメンテナンス性ですね。掃除も非常にしやすいですし、衛生面にも配慮しています。

こにわ:保育園などでは子どもたちがドアに落書きしちゃったりしそうですよね。

森川:そうですね。そのような場合でも拭き取りしやすい仕様になっていますので、子どもたちは伸び伸びと活動できて、保育士の方の負担軽減にもつながるだろうと考えています。

おもいやりキッズドア

こにわ:実際に製品を見せていただけるということで、まずこれが『おもいやりキッズドア』ですね。ちょっと開けさせてもらいますが、ドアが軽い、軽〜い!

森川:ドアが吊り戸形式になっていますので、滑走性も十分で軽いですね。あと、ドアが持つ一番のリスクは指が挟まってしまうことですので、そのような危険性にも配慮した設計となっています。ドアがゆっくりやさしく閉まるようになっていて、指を挟みにくいというのがまず一つ。そして万が一指が挟まっても痛くないように、子どもが触れる高さの戸先をふわふわのクッション材でカバーしているのでケガをしにくくなっています。

おもいやりキッズドア

こにわ:このドアは床との隙間もほとんどないですね。

森川:隙間に関してもこだわっています。子どもの足の指が挟まりやすい隙間は5mm〜10mmぐらい言われているのですが、吊り戸形式のドアは一般的に隙間が7mm前後になりがちです。しかし、『おもいやりキッズドア』はフラットレールとガイド車でドアの揺れを抑えつつ、隙間を4mmにすることで足の指が挟まるのを防いでいます。

おもいやりキッズドア

こにわ:すごい、足の指がまったく入らないですよね。
さらには、この大きな3つの採光窓。向こう側にいる子どもの姿がはっきり確認できるので、見守りの際にも便利ですし、出会い頭にぶつかる事故を防ぐこともできますね。

森川:優しいデザインの丸い窓は保育園や幼稚園などと相性が良く、見守りしやすいという機能面のメリットも備えています。さらに、この丸窓は熱処理が施された強化ガラスになっていまして、飛散防止フィルムも貼られているので、万が一強い衝撃を受けた場合でもケガをしにくい配慮がされています。

おもいやりキッズドア

こにわ:完璧! まさに思いやりが詰まったドアですね。

こにわ:このような形で施設の安全性を高めることが保育士さんの負担軽減につながるんですね。

森川:保育士の方が気持ち良く働ける環境となることが、結果として関係者すべての幸せにつながると考えています。今後も幼保施設のような住宅以外で使用される内装建材に対する取り組みにも注力していきたいです。

介護士・利用者双方の利便性を高めるドアで超高齢化社会に貢献

こにわ

こにわ:次に、高齢化社会の課題についてお聞きしたいと思います。日本の高齢化社会問題といえば、皆さん注目のワードだと思いますが、いかがでしょうか?

森川:そうですね。日本の総人口は2021年10月時点で1億2,550万人いて、65歳以上の高齢者人口は3,621万人、総人口に占める割合は28.4%と、現時点でも4人に1人以上が高齢者という状況です。

こにわ: 4人に1人が高齢者!? この日本は高齢者の国なんですけれども、やっぱり介護者の数は足りなくなりますよね、これだけ高齢者の方がいると。

森川:はい。介護業界は慢性的な人材不足という状態にあります。厚生労働省の発表した資料によると必要な介護職員は2019年には約211万人でしたが、2040年には約280万人必要になるというような試算もされております。

介護人材不足

出典:厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について(令和3年7月9日)」別紙1より

こにわ:これもまた先程の保育施設と話が似てきますが、介護士さんの負担軽減が大切ってことですよね。介護士さんの仕事で大変な業務はどういったものなのですか?

森川:三大介助と呼ばれている、食事・入浴・排泄の介助は肉体的にも精神的にも大変です。レクリエーションの準備や介護記録の書類作成など、事務作業を負担に感じている方も多いそうです。
そして、やはり何をするにも人手不足の影響が一番大きいようです。介護労働安定センターが行った2021年の「介護労働実態調査」において、約63%の施設が介護職員が不足していると回答しています。
ただでさえ大変なのに人手も不足しているため、できるだけ無駄をなくし、負担を減らすことが大切です。

こにわ:そして、そのための環境づくりが必要であると。

森川 大

森川:そうですね。介護をする職員の方と利用者さん、両方に優しいような環境じゃないといけないと思っています。特に介護される側の利用者さんには移動がしやすい、介護職員の方には介護しやすい、といった環境づくりが必要だと思います。

ひいて、ひらく。新発想から生まれた大開口ドア『ひきドア』

ひきドア

こにわ:高齢者施設の課題は他にもあるのですか?

森川:高齢者施設のスタッフに、これまで室内ドアで危ないと感じたことをアンケートしたところ、半数以上の方が扉に指を挟むことを挙げていました。その他、高齢者の方が移動しやすいように、車椅子でも出入りがしやすく、少しの力で閉められるドアが求められています。

こにわ:森川さん、『ひきドア』の前に来ましたが。

森川:ドアの開閉をぜひお試しください。

こにわ:3枚引き戸の状態で閉まっていますけど、まずは2枚扉を引き戸として横にスライドさせて開けます。この状態でも通常のドアぐらい開きますね。

森川:ここからさらに開き戸として開けることができるので、間口の狭いトイレも大開口で使用することができます。一般の引き戸プラス開くドア。このコンビネーションで出来上がっているんですね。世界でも大建工業のみの独自開口形態となります。

ひきドア

こにわ:うわっ、あーすごい、すごいこれ! ちょっと待ってください、今近くに車椅子があるんですけど、便器の横まで車椅子を持ってこられるなんて最高ですね。これは喜ばれているんじゃないですか?

森川:そうですね。施設の利用者さんがトイレにすごく近づけて、介護士の方は移動する距離が短くなるので、どちらからも非常に楽になったと言ってもらえます。間口が広いので掃除も奥まで行き届くなど、衛生面にも配慮しやすくなっています。

ひきドア

こにわ:車椅子に乗った状態でも開けやすくて便器のすぐ横まで行くことができるので、この『ひきドア』を導入すれば、サポートなしに一人でトイレに行ける利用者の方も増えそうですね。自分一人でトイレを使える、という達成感はすごいと思います。

森川:このドアがそのきっかけになれば、すごく嬉しいですね。

こにわ:ですよね。すっごいドアです、これ。ほんとにすごい。

※本製品は居室向けとして設計しています。不特定多数の方が使用される共用部には使用しないでください。

森川:私たち建材メーカーとしては、社会課題を解決するために、製品を通じてどのように貢献していくか、どう取り組んでいくのかが、これからの課題となります。
多忙な介護士の方が本来の業務に集中できるように、建材で安全性や利便性を高めることで、その他業務の負荷を軽減するお手伝いにつなげたいと考えています。

こにわ:すばらしいですね。実は私、仕事柄いろいろな介護施設を見せてもらったりしているんです。その中で、職員の笑顔が溢れてる介護施設っていうのは、やっぱりそこにいる皆さんが楽しそうに仕事をしているんです。それって非常に大事で、今回ご紹介いただいたようなドアなどのパーツが、その環境づくりを手助けしてくれているんだなっていうのは私もすごく感じるんです。
ですので、大建工業さんがやっていらっしゃることは、結構すごいことだと思っていますし、結構どころじゃないなとも思います。だから、そのパーツがあるおかげで全員が幸せになるというすごいことを、皆さんはされてるんだなと感じますね。

森川:ありがとうございます。

建材で社会課題の解決に挑戦! 細やかな要望にも対応!

こにわ:森川さん、今までお話を聞いてきた中で、保育や高齢化社会の課題解決に貢献する製品を見てきましたけど、やっぱり設置する場所のサイズや必要な機能は施設ごとに違うと思うんですよ。メーカー品ということでどこまで対応できるのかなぁという点が気になるのですが。

森川:そうですね。私どもはこうした規格品の場合、カタログであらかじめイメージが湧くような形で提供させていただいていますが、規格品ってなかなか融通が利かないんじゃないかとよく聞かれます。

こにわ:そうそう、普通はそう思いますよね。

森川:実を言うと弊社の場合は全く違いまして、ご要望に応じて細やかな対応をさせていただいています。例えば『ひきドア』や「自閉式の吊戸、引込戸、2枚連動吊戸、3枚連動吊戸、受付窓etc」などの多彩な開口部、1mm刻みの幅・高さ・枠の大きさといった特注サイズ、鍵の特注加工、マスターキーなどにも幅広い対応をさせていただいています。もちろん、デザイン面や採光窓の数なども変更できますし、設計士さんのこだわりや施工される方、事業主様の要望にも十分対応できるように、大阪と東京に専門の部隊を配置しておりますので、どんどんご相談いただければと思っております。

製品のカスタマイズ

こにわ:いや、すごいですね。今から大建工業さんに就職したら、僕も融通の利く人間になりますかね? 全然融通が利かないんで(笑)

今回お話を伺った子どもたちの保育施設や介護施設の製品もまだまだアップデートされていきますよね。それってかなり大変なことだと感じているのですが、最後に大建工業さんが展開する住機製品事業の今後について教えていただけますか?

森川:住宅の内装建材についてなのですが、そこで毎日触れるものが私どものドアだったり、手摺だったり、収納だったりするわけです。それらには流行り廃りなどもありますが、やはりそこで一番求められているのは、安全性や快適性だと思います。
私どもの会社が掲げる企業理念の一つに、「安全・安心・健康・快適にこだわります」というものがあります。私どもが今まで培った経験をそこに組み込んで、これからの製品開発に取り組んでいきたいと考えております。

そして、その製品を設置した施設や関係する人たち皆の幸せにつながって欲しいということですね。「使って良かったなぁ」とか、私は大阪ですけれども「いや、楽やわぁ」「助かるわぁ」「いやー、よう考えてはりますねぇ」、そういったお言葉をいただけるような製品づくりができたらいいなと思っています。

こにわ:いや、今回はこれまで建物の一部分としてしか見ていなかったドアが、実は多くの人の幸福を生んだり、いろいろな社会課題を解決することもできるという、新たな一面を教えていただきました。今日からドアをものすごく大事にしていこうかなと(笑)
森川さん、あらためて本当に貴重なお話をありがとうござました。

森川:ありがとうございました。

こにわ:それでは最後に一緒によろしいですか?
大建工業さんのドアは人を幸せにします! せーの!

こにわ・森川:『DAIKEN魂!』

DAIKEN魂!