中期経営計画「GP25 2nd Stage」の2年目に当たる2020年度を振り返り、成果と課題について聞かせてください。
新型コロナウイルス感染拡大により、先行きの見通しが全く立たない中でスタートした2020年度は、海外各地でのロックダウンや、国内での緊急事態宣言の発出、東京五輪・パラリンピックの延期、さらには職場での在宅勤務へのシフトなど、事業環境のみならず人々の行動や意識そのものも、大きく変化を迫られる1年でした。
このような中で私たちは何よりも、お客様、お取引先様、従業員とその家族をはじめとするすべてのステークホルダーの安全確保と感染拡大防止を最優先に事業活動を進めてきました。同時に私たちの日々の生活は、医療従事者をはじめ社会生活を支える仕事をされているさまざまな方々によって成り立っていることを改めて実感することになりました。まずはこの場をお借りして感謝の意をお伝えします。
2020年度は、2025年にありたい姿を描いた長期ビジョン「GP25」の実現に向けた第2ステップとなる3カ年の中期経営計画「GP25 2nd Stage」の2年目に当たり、ちょうど折り返し地点を回ったところです。年度初め、特に海外でのコロナ禍の影響が大きく、ニュージーランドの工場がロックダウンで約1カ月間稼働を停止し、米国の工場も6割の減産を迫られるなど、さまざまな制約を受けました。しかしながら、第2四半期以降、徐々に経済活動が再開される中、国内においては、分譲戸建て住宅で存在感を高めるパワービルダー向けの提案を強化したほか、リフォーム関連でも首都圏で手掛けるマンションリノベーションが順調に拡大しました。また米国の住宅市場が急速に回復を見せる中、グループ間連携による安定供給と新製品の投入などが奏功し、2019年度にM&Aで本格展開を開始した北米事業の成果が早期にあらわれるかたちとなりました。
この結果、海外売上高も、長期ビジョン「GP25」スタート時の2015年度から4倍以上に拡大し、売上高全体に対する構成比も6%から23%へと拡大するなど、2nd Stageの基本方針の一つである、事業(市場)ポートフォリオの見直しは着実に進展しました。
一方で2つの課題を認識しています。一つは、素材事業の主力であるMDFの収益力低下です。建材・家具の基材となるMDFは、植林木の製材端材などを主原料に板状に成形した木質繊維板で、当社はニュージーランドの2工場、マレーシアの2工場で生産しています。このMDFにおいて、米中貿易摩擦に端を発する市況悪化に、コロナ禍による需要減が重なり、競合他社との差別化が図りづらい汎用品の売価が戻らず、収益力の改善が急務となっています。もう一つの課題は、非住宅市場として注力している公共・商業建築分野での伸長が、当初の期待を下回っている点です。新型コロナウイルス感染拡大の影響でインバウンドが蒸発したことや外出自粛により、宿泊施設・商業施設向けの需要が急減しました。特に当社の畳関連は、耐久性やメンテナンスのしやすさといった機能面だけでなく、クールジャパン商品としても評価を得て受注を拡大してきただけに、影響が大きく出ています。