DAIKENとSDGs:研究開発

大建工業グループはR&Dセンターを中心に「木材などの持続可能な資源を活用した素材の開発」と「安全・安心・健康・快適な空間を創出する技術開発」を重点テーマと位置付け、社会課題解決につながる新たな価値創造と次世代を担う新技術・新事業への展開を目指した研究開発を進めています。また、未来を見据えた研究開発のスピードアップと領域拡大を図るため、さまざまなステークホルダーとの共創活動にも積極的に取り組んでいます。

研究テーマ

R&Dセンターでは、「エコ」と「空間の質的向上」の観点から、社会課題の解決、持続可能な社会に貢献する研究開発を推進しています。

研究開発テーマ:素材

既存素材の改良と
新規市場攻略の伴となる
素材の開発

  • 12:つくる責任つかう責任
  • 13:気候変動に具体的な対策を
  • 15:陸の豊かさも守ろう
  • 未利用資源の活用技術開発
  • 環境負荷の低い素材の開発・市場投入
  • 建材以外の新市場へ向けた素材の研究開発
研究開発テーマ:建材

これからの社会に
必要とされる安全で安心な
新しい建材の開発

  • 7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 12:つくる責任つかう責任
  • 15:陸の豊かさも守ろう
  • 省施工建材・工法の開発
  • 意匠と性能を両立した建材の開発
  • 製造、運搬、施工を含む製品ライフサイクル全体でのCO2削減
研究開発テーマ:空間環境

快適な暮らしを実現する
空間の創造

  • 3:すべての人に健康と福祉を
  • 7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 11:住みつづけられるまちづくりを
  • 12:つくる責任つかう責任
  • 13:気候変動に具体的な対策を
  • 温熱、湿度、通風環境のシミュレーションによる解析
  • 省エネ、室内環境改善技術の開発
  • ウイルス、カビ等を低減させる研究
研究開発テーマ:分析評価

研究開発で培った
ノウハウによる
各種測定・分析

  • 3:すべての人に健康と福祉を
  • 11:住みつづけられるまちづくりを
  • 12:つくる責任つかう責任
  • 空気質の測定
  • 建材の発熱性試験
  • 防音性能評価
  • アスベスト分析
DAIKEN R&Dセンターで行っている研究の図

国内初の「WELL Performance Rating」取得

2024年4月、R&Dセンターにおいて「WELL Performance Rating(WPR)」を取得しました。本認証は、人の健康とウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好であること)に影響を与えるさまざまな機能を測定・評価するWELL認証から派生した、建物の室内環境品質に特化した評価制度であり、室内空気質、水質管理、照明測定、温熱条件、音響性能、入居者体験の6つの視点で構成されています。今回認証を取得したR&Dセンターは、当社が訴求する空間環境ソリューションの実証実験の場としても活用しており、「音」と「空気測定」の分野において、実際のオフィスにおける環境性能の測定知見を深めることができました。

WELL Performance Rating2024

従業員自身がウェルビーイングな職場環境で働くことにより、さらなる研究開発力の向上やアイデアの創出機会を図り、顧客や社会のニーズを先取りした製品・サービスの開発に努めていきます。

重点テーマ1

木材などの持続可能な資源を活用した素材の開発(環境配慮型MDFの開発)

大建工業では、創業当時から木材を余すことなく有効活用する素材・建材の技術開発に取り組んでいます。新分野への挑戦として、木材をナノレベルで繊維化した「セルロースナノファイバー(CNF)」を活用する技術開発を進めています。CNFは木質繊維板に使われる木繊維にはない特徴を持っており、環境に配慮した新規用途などへの切り口につながります。また、既存事業における挑戦として、「石化原料を使用した接着剤」などを一切使用しない環境配慮型MDF(中密度繊維板)の製造技術確立に向けた取り組みを進めています。

①アカシア樹皮②接着剤原料粉末③木質由来の接着剤
  • アカシア樹皮
  • 接着剤原料粉末
  • 木質由来の接着剤

2022年度には「木質由来成分からなる接着剤」を用いたMDFの試作に成功し、現在は2025年度の生産開始に向け、原材料の安定調達を進めています。最終的には植林木を活用し、天然素材比率100%のMDFの開発・発売を目指していきます。今後も「木質資源の有効活用及び循環利用する技術」を軸に、環境配慮やSDGsに貢献する研究開発への取り組みを強化します。

重点テーマ2

安全・安心・健康・快適な空間を創出する技術開発(新たな音の設計開発拠点)

素材の可能性の追求に加え、素材や建材に新たな機能を付与するための研究開発も進めています。分析評価技術をベースに空間環境を把握し、人々が心地よく過ごすうえで欠かせない、温度、湿度、音環境といった視点での深掘りを進めると同時に、アスベストやホルムアルデヒドなどの有害物質の対応評価に向けた分析評価を行っています。2025年10月の運用開始を見据え、新たな音響設計の開発拠点となる音響実験棟の建設が決定しました。JIS規格に基づく高精度な測定をはじめ、吸音・遮音性能や床衝撃音などの性能値を解析予測するなど、機能・性能の実験・評価を行います。1982年から40年以上建築音響製品の開発・製造・販売を続けてきた当社の強みを活かし、オフィス等の音環境改善提案を行うための「音環境ソリューション事業」の構想もスタートしており、本開発拠点を基幹施設として、さらなる音響事業の拡大を進めます。

岡山工場
岡山工場
音環境測定システム
音環境測定システム

知財戦略強化に向けた組織体制及び経営資源の投入

2022年4月、中期経営計画「GP25 3rd Stage」のスタートにあたり、新規事業への取り組み強化と新たな技術開発、商品開発の加速を目的に「開発本部」を新設し、その傘下に技術開発の中核となる「R&Dセンター」、次世代に向けた新規事業の具体化を担う「次世代事業開発部」、事業・開発戦略をより効果的なものにするための知財戦略を行う「知的財産部」を置くことで、組織体制の強化を図りました。現在、この新体制のもとさまざまな技術チャレンジが行われ、新たな事業・開発の芽が生まれています。引き続き、大建工業グループの強みの源泉である「研究開発力」を確固たるものにするため、経営資源を積極的に投入し、中長期的な企業価値向上につなげていきます。

研究開発費・権利者スコア・特許保有件数の推移のグラフ