大建工業の
サステナビリティ

Daiken Sustainabilities

顧客にDAIKENの価値を伝えて<span>信頼関係</span>を構築! デジタル時代における営業の取り組み

顧客にDAIKENの価値を伝えて信頼関係を構築! デジタル時代における営業の取り組み

2023年7月31日

お話を聞いた方:上田 浩二(大建工業株式会社 常務執行役員 国内営業本部長)
インタビュアー:こにわ(サンミュージック)

☆本インタビューのダイジェスト映像はこちら

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“「建築資材の総合企業」DAIKEN”として、住宅・建築業界ではおなじみの大建工業株式会社(本社:大阪府/本店:富山県)。幅広い分野で活躍している大建工業の事業に取り組む企業姿勢や魅力を伝えていくWEBマガジン「DAIKEN魂!」。
第8弾は、大建工業の営業活動をテーマにインタビューしました!!

こにわ:みなさんこんにちは。こにわでございます。本日は東京秋葉原にあります大建工業さんの東京事務所にお邪魔しています。今回は大建工業さんの営業活動についてお聞きしたいと思います。
それでは上田さん、よろしくお願いします。

上田:どうぞ、よろしくお願いします。

営業提案に求められるものとは?

こにわ

こにわ:大建工業さんにはたくさんのお客様がいらっしゃると思うのですが、営業としてのお仕事はどのようなことをされているのですか?

上田:営業の仕事のことを語る前に、僕もずっと営業をやっていましたけど、常に多くの競合会社と戦っているわけで、お客様からは、よく「大建さんは他のメーカーとはどこが違うんですか」ということや、「大建工業さんの製品を採用するメリットを会社にどう説明したらいいですか」といったことを聞かれましたね。
そういった場合、私は今までずっと次のように答えているんですよ。
「大建工業は1945年の創業当時から素材関係や木材の有効活用、未利用資源を使った独自の素材開発などを得意としている会社で、そこから展開した製品が脈々と受け継がれて販売されているところが大きなメリットです。それらの素材はいろいろな機能を持っているので、お客様からどのような要望を受けても、我々には不燃や調湿、防音や吸音などに関する多くの引き出しがあるので、ご採用いただいたら必ずお役に立てますよ」というようなことをお話するんですね。
これは多分、我々の先人である営業の先輩方も、ずっとそのような形で大建工業を支えてきていて、その中でお客様との信頼関係を築くためにやってきたことなので、そこは変えてはいけないことだと思います。

ですので、今の営業も基本的にはそこを大事にしてお客様に相対しています。それに加えてデジタルマーケティングなど、新しい時代に合わせた新しい営業方法なども取り入れているのが現在の営業です。

こにわ:今の話を聞いていて感じたんですけど、「創業当時から」とか「脈々と」とか「こういうことを大事にしています」といった言葉から、大建工業さんの商品にストーリーを感じてもらうことが採用の決め手になる大事な要素になっていると思いますね。
例えばパンだったら、「このパンめちゃくちゃうまいです」ってだけじゃなくて、「このパンを作るまでに、実はいろいろな土地に行って自分で何種類もの小麦を食べて、それで一番おいしいと思ったものを使っている」と伝えたほうが、バックグラウンドが見えてストーリーを感じられますもんね。
大建工業さんって、大企業で長い歴史を持っていますので、そのようなストーリーを伝えていくことも非常に大事なんじゃないかなと思いました。

上田 浩二

上田:そうですね。例えば建具だと我々は結構なシェアを持っているんですけど、競合他社がものすごく多くて参入しやすい業界だといわれてきました。やはり、こだわっている部分とか、採用する側のメリットなどをきっちり伝えていくことができないと、価格だけの判断になってしまうので中々生き残っていけない。そういうふうには思っていますね。

こにわ:なるほど。時代の変化でお客様が求めるものは変わると思うのですが、情報量が増えた今、家を建てたり、買ったり、リフォームする際などで、お客様の心構えや行動は昔と変わらないものなんですか?

上田:昔は住宅会社さんが提案した建具の中で選ぶケースが多かったですが、現在は自分で情報を集められる時代ですから、お客様自身が各メーカーのショールームなどを見たり、事前に勉強されて目的を持ってショールームに来られることが多いですね。
うちのショールームも昔は住宅会社さんとお施主さんが対になって来ていたんですけど、今はほとんどお客様が単独で来て資料選びをされるんですね。そして、ショールームに来ていただいたことで、ちょっと夢が広がってグレードアップするとか、その辺は随分変わってきたと思いますね。

こにわ:そうなってくると、ちょっと深い質問をしてくる人も増えてきそうですね。そういう部分では営業の方がアップデートすることも必要になってくるってことですよね。

上田:そうですね。他社の勉強もしなきゃいけないですし、その辺りは当社のショールームを担当するアドバイザーなどはいろいろ勉強をしていると思いますよ。

上田 浩二

こにわ:なるほど、すごいなあ。ただ、現在はコロナ禍が終息傾向にありますが、少子高齢化や人口減少もありますし、まだまだ先行き不透明な中、家を建てる人が減っているんじゃないかと思うのですが。そのような状況において大建工業さんにはどのような営業課題があったりするんですか?

上田:おっしゃる通り、人口減少の影響もありまして、住宅の新設に関する着工数はなだらかに落ちてきています。ただ、何年か前に予想されていたより減りは少ないんですよ。やはり日本人の中には新しいものが欲しいという考え方も根強く残っていますし、新設住宅の着工数がそこまで急激にガクンと落ちていくっていうことはないと想定しています。ですので、引き続き新築住宅に対するシェアを拡大するという方針も重要だと考えています。

今後は「リフォーム・リノベーション市場」と「公共・商業建築分野」にも注力

上田 浩二

こにわ:それでは今後、新築住宅以外で営業としてどの分野に力を入れていく予定なのかお聞きしたいのですが。

上田:もちろん新築住宅が最重要なんですけど、それ以外で今後の方針として注力していく分野は3つあります。

1つ目は「リフォーム・リノベーション市場」と「公共・商業建築分野」、
2つ目は「ダイロートン」「ダイライト化粧板(不燃建材)」「防音建材」、
3つ目は「新しい価値伝達の強化」です。

こにわ:その辺りを一つずつ聞いてみたいんですが。
まず1つ目の「リフォーム・リノベーション市場」と「公共・商業建築分野」はどのように考えていますか?

上田:先程の新築住宅はなだらかに減少するっていう話と逆に、リフォーム・リノベーション市場っていうのは今後なだらかに良くなっていくと思っていますし、今年もリフォーム・リノベーションを活性化させるような国策が出ていますので、やはりそこの市場について販売拡大を見出していきたいと、そういうふうに考えていますね。

こにわ:それに関することで、「TDYコラボレーション ショールームフェア」というイベントを開催するという話を聞いているのですが、これはどういったものなんですか?

TDYコラボレーション ショールームフェア

上田:TDYを構成するTOTO、DAIKEN、YKK APの3社で、リフォーム関係におけるアライアンスを組んでいまして、一緒にショールームの運営やイベント、営業活動、製品開発など、いろいろなことを20年以上協力してやってきています。

こにわ:えーっ、そんな大企業の皆様が20年も一緒にやるってすごいことですね。

上田:それぞれに特色のある3社なので、コラボレーションして一緒にショールームを運営するってことはものすごいメリットなんです。もう集客能力も全然違いますから。
今年は6月から各地のショールームで「TDYコラボレーション ショールームフェア」(開催期間:2023年6月26日〜10月22日 ※ショールームによって開催日が異なります)という名前のイベントを展開しています。コロナ禍で来場制限されていたショールームが再始動することで、お客様の購買意欲も活性化していくと思われるリフォーム・リノベーション市場の需要にどう応えていくかというところです。最近では各ショールームも進化していますので、お客様にその辺りをご覧いただいてニーズを感知していくというところが今回のプロジェクトだと思いますね。

こにわ:TDYではリフォーム情報サイトも運営されていて、「十人十家(じゅうにんといえ)」というコンテンツもあるとか。

リフォーム情報サイト  十人十家

上田:十人十家、十人いれば十通りの家づくりがあるということですが、住まい方を空間でイメージできるような提案をしていくという試みをずっと続けています。それを見て部屋の雰囲気を決めていただいたり、商品を決めていただいたりということが非常に重要なんで、そういった提案をずっとしているサイトということですね。

こにわ

こにわ:公共・商業建築分野についてはいかがでしょうか。

上田:大きな建物をつくる際には、後で紹介する不燃建材が必要になってくるんですが、現在の傾向として、昔の施設のように無機質でいかにも施設、というような内装ではなく、木質化したいといった見た目も重視した要望が多いんですよ。
例えば自分の親を高齢者施設に入れる際、天井や壁が昔の病院みたいな施設に入れるより、内装が木質の落ち着いた施設を選びたいというニーズが働くというところで、意匠性の高い不燃建材のラインアップがある当社にとってはチャンスなんですね。そのように当社の強みである建材を提案することで、公共・商業建築分野にも注力していこうと考えています。

大建工業の強みである3つの機能製品を重点製品に

こにわ

こにわ:なるほど。今お話いただいた建材も含め、2つ目の「ダイロートン」「ダイライト化粧板(不燃建材)」「防音建材」はどういったものでしょうか。

上田: 当社を代表する3つの機能製品を重点製品と位置づけて、販売について特に注力していくということです。

まず「ダイロートン」という天井材は、60年ほど前の1964年からある製品なんです。
コロナ禍では巣ごもり需要という言葉がありましたけど、実際に自宅で作業や仕事をすることになった時、自宅に対しての課題やもっとこうしたいという要望を考える機会があったと思うんですね。それらの需要に対して、ダイロートンで提供できる吸音・調湿・消臭といった機能性は、まさに提案するタイミングだったと考えています。昔からある商品なんですけど、住まい手の方も実際に採用した部屋と採用していない部屋の違いを感じていただくことができると思うので、価値をもう一度きっちり訴求することで採用していただきたいですね。

ダイロートン

天井材:ダイロートン

上田: 「ダイライト化粧板」は、先程お話した不燃建材です。ダイライトという素材があるのですが、それが非常に木質の化粧材と相性がいいんですよ。ライトっていうだけあって軽くて扱いやすく、当社なら表面材に地元の地域産材を採用するといった、他社ではできない提案も可能です。特に公共施設や図書館などは地域産材を使用したいというニーズがあるので、積極的に訴求をしていきたいです。

ダイライト化粧板

ダイライト化粧板(天井材:グラビオルーバーUS)

グラビオルーバーUS

上田:「防音建材」もDAIKEN魂!第2回、専務の野村の回の時にお伝えした通り、2022年に音響製品事業が40周年を迎えた当社の強みである製品です。
現在の一般的な建物の内装は壁や天井がクロス仕上げ、床はフローリングが多いので、音に対しての配慮があまりされておらず、そのままでは音が反響しやすい状態になっています。「防音建材」は公共・商業物件において、2年前と比較して1.5倍の売上となっており、今後も商業施設やオフィスを中心に採用していただけるよう努めていきます。

●防音建材ラインアップ

OFF TONE

上田:これらの重点製品は、カタログ掲載のものだけでなく、公共商業分野においてはお客様の様々なニーズに対応し、カスタマイズも行っています。

加えて、新製品である住む人の個性を黒のアクセントカラーで演出する『Black+』や、マンションリフォーム・リノベーション専用の防音床材『トリニティオトユカ』、公共商業分野では不燃壁材『グラビオ』、不燃造作材『グラビオルーバー』などの拡販も進めていきます。

トリニティオトユカ

デジタルとのハイブリッドによる「新しい価値伝達の強化」

こにわ

こにわ:これでもか、というぐらい多彩な機能を持った製品が目白押しですね。でも、お客様に知ってもらえなければ意味がない、ということで特徴をしっかり伝えていく必要があるということですよね。
そこで、注力したい分野3つ目の「新しい価値伝達の強化」なのですが、これはどのようなものなのでしょうか?

上田:DAIKEN製品の価値をメールやWEBなどによるデジタルマーケティングの活用などで、いかに効率良くお客様に伝達できるか、その強化ですね。
今後、注力するリフォーム・リノベーションや、公共・商業建築分野における仕様決定者の方との接点をもっと増やしていく必要があります。特に公共・商業建築分野は、今まで我々がメインとしていた住宅と提案の仕方を変えていかないといけないんですよね。

設計事務所に日参して「何かないですか」と、昔ながらの営業をしたところで、そのタイミングで製品を必要としている設計担当者に出会えることは奇跡に近いわけですよ。
こういう時代なのでセミナーを開催して、そこに来ていただいた方の名刺をいただいて「メールマガジンを送らせていただいてよろしいでしょうか」と確認したり、いろいろなイベントに出展したりして、そこで知り合いになった設計の方にメールマガジンを送らせていただく目的でメールアドレスを獲得して、現在登録者が2万人にまで増えているんですね。その方々に「DAIKEN Architect News」っていう設計のヒントになるような、ちょっと気軽に見ていただけるメディアのようなものを定期的にお届けして、今、検討されている方に興味を持っていただけたら我々にご連絡いただく、といった形をとっています。

DAIKEN Architect News

上田:また、当社のマーケティング部にはインサイドセールス、いわゆる電話営業がありまして、実際にそのインサイドセールスをする中で接点が多い人を見出してもらい、先方が「ぜひ来てください」という状態になったらセールスフォースオートメーションなどに情報開示して、前線の営業が動くという方法も実践しています。これは現在検討中の方を効率良く見出して、その方に欲しいと思うタイミングで、お客様が必要としている情報を提供するような体制づくりを今強化しているということですね。

こにわ:効率化できるところは効率化、ということですね。他にも情報伝達で大切にしていることはありますか。

上田:日本の企業でいろいろな同業他社が切磋琢磨する際、やっぱり最後はこうした伝えるという部分や「あなたから買う」というのが非常に大事なんですね。だから、そことデジタルを活用した部分をきっちりハイブリッドで対応していくとこが、やはりちゃんと注文をいただける会社として生き残ると思っていますので、この部分はもっともっと強化していかないといけないと思いますね。

やっぱり最後は、お客様との信頼関係

上田 浩二

こにわ:やはり、伝える部分が大事ということですね。その辺の技術や知識の伝承というか、営業の教育については、現状どのようなことをされているんですか?

上田:我々の頃は結構手厚い新人研修もありましたし、その後のフォロー研修もたくさんあったんですが、実はコロナ禍もあってここ5年ぐらいの社員は中々そういった機会に恵まれていなかったんですね。そこで私も昨年会場に行ったんですけど、昨年からまずは5年目までの営業マンを対象に井波工場で研修会を再開したところかなりの盛況で、やはりみんないろいろ知りたかったわけですよ。

こにわ:やっぱりそういう意欲があったわけですね、皆さん。

上田:そうですね、今までも定期的なオンライン研修などは開かれていたんですけど、やはり商品を提案する上でもっと自信を持ちたい、知りたいという欲求は今の人も昔の人も全然変わらないので、みんな熱心に研修を受けていたし、好評でしたね。今年も岡山や三重の工場で研修がありますので行く予定です。

ちなみに、12年目で重要なポジションにいる営業から、「僕らもあんまり研修を受けていないんですけど……」って言われて。

上田 浩二

こにわ:(笑)

上田:「5年目までの営業って話ですが、僕らも行きたいんですけど」といわれたもので、出られそうなら出てくださいと。
この件もそうなんですが、知識を得るだけでなく、部署の違う同年代で同じような境遇の人と情報交換できる機会を持つことって非常に大事ですよね。自分の部署の先輩方としか接点がないと、悩んだ時にそこでその人の感性が決まってしまうので。大建工業は営業が300人以上いるので、大きなフィールドで仲間と情報交換する機会にもなればと思っています。研修の場で他のエリアの同期と久しぶりに話したり、「ずっと公共・商業の専門担当をしてるけど、あなたもそうでしたね」みたいな形で成功事例を共有し合ったりとか、そういった交流の場は大事なんで、そのためにも研修会を開いていますね。

こにわ:なるほど、ありがとうございます。最後に、大建工業の営業の今後について一言いただいてもよろしいですか。

上田:もちろん会社に所属していますので、今まで未開拓だった市場を攻略・拡大していきたいという思いはありますが、営業としてはやっぱり最後はお客様との信頼関係ですね。
「あなたから買ってよかった。あなたじゃなきゃ買わなかった」とか「大建工業じゃないと困るんですよ」といった声をお客様からいただけるようになることが基本だと思いますので、住まい手のことを考えて提案するっていうのは非常に大切ですね。そういうところを大事にし続けることで、これからもっと市場を拡大していけると考えています。

こにわ:本日は本当に貴重なお話をありがとうございました。

それでは一緒によろしいですか?

お客さんにおうちを売るっていうのは愛を売っていくこと!

こにわ・上田:『DAIKEN魂!』

上田 浩二