あえて“樹脂” という選択を生む
『床見切り(金属調化粧シート仕様)』開発エピソード

2024.3.19

DAIKENでは2023年4月に、『床見切り(金属調化粧シート仕様)』を発売しました。
DAIKENの『床見切り(金属調化粧シート仕様)』は「コンパクト」「省施工」「2つの厚さに対応」という特徴を持った商品です。
今回は本製品の開発に携わった担当者に開発までの経緯とこだわり、強みについてインタビューしました。

あえて“樹脂” という選択を生む『床見切り(金属調化粧シート仕様)』開発エピソード

※床見切り…床や壁などに使われている仕上げ材が切り替わる部分に使う化粧材のこと。

開発担当:内装材事業部 内装開発課 石井

商品企画部 デザイン課 岸田

市場の要望に応えながら、デザイン性と施工性を両立させたこだわりの製品

どのような経緯から『床見切り(金属調化粧シート仕様)』の開発がスタートしたのでしょうか?

岸田:

『床見切り(金属調化粧シート仕様)』の開発には、主に2 つの理由があります。
一つ目は、中古マンションの買取再販を手掛けるグループ会社・パックシステム(株)から、「コンパクトで施工性に優れた見切りをつくって欲しい」という要望があったこと、2 つ目は、営業などの部署から長期にわたって、「DAIKEN の特徴的な床材である石目柄に合う床見切りがない」という要望があったことがあります。
これらの要望に答える形で、形状、カラーなどの検討を開始しました。

『床見切り(金属調化粧シート仕様)』の開発にあたって、工夫した点を教えてください。

石井:

まず一つ目は施工性です。これまでの商品はベースをビスで取り付けてからカバーをかぶせていましたが、『床見切り(金属調化粧シート仕様)』は接着剤を床側に塗布して差し込むだけで取り付けられるという特徴があります。

あえて“樹脂” という選択を生む『床見切り(金属調化粧シート仕様)』開発エピソード

左:床見切12T(化粧シート仕様)
右:床見切り金属調化粧シート仕様

岸田:

意匠的にも良い製品にしたいという思いから、コンパクトな部材を開発するため、ベースなしでも問題のない施工方法を考え、カバー部分の形状も試行錯誤を重ねました。複数回の施工試験も行っています。見付け部分が小さ過ぎると施工しにくくなることから、施工性とデザイン性の両立から8ミリという寸法が導きだされました。

あえて“樹脂” という選択を生む『床見切り(金属調化粧シート仕様)』開発エピソード

開発中の試作品

 

さらに『床見切り(金属調化粧シート仕様)』は厚さ12 ミリ・6ミリの床材に対応できる製品にしたいという思いもあり、簡単に長さを変えられる方法を検討しました。思いついたのが、「手で簡単に千切れる形状」というもので、それを実現すべく押し出し成型を得意とする生産先と試行錯誤を繰り返しました。

石井:

その結果見つけた方法が「軟質樹脂部で容易に切り離す」というもので、この技術は現在、特許・意匠を出願済です。
(2023 年11 月現在)

あえて“樹脂” という選択を生む『床見切り(金属調化粧シート仕様)』開発エピソード

そのままの状態だと厚さ12 ミリの床材に対応。の先端側を手で折って千切ると、厚さ6 ミリの床材に対応できます。

岸田:

二つ目は意匠面、特にカラーの部分ですね。モルタル柄や石目柄など木目以外の幅広い色柄に合わせられるカラー且、空間のアクセントとして映える色はどのようなものだろうかと様々な質感や色を検討しました。結果、3色のカラーをラインアップとして持つことに落ち着きました。
〈Tシルバー(サテン調)〉、〈Kシルバー(ヘアライン調)〉、〈ゴールド〉の3 色です。〈T シルバー〉と〈K シルバー〉は以前からDIKENの商品に使われており、木目柄や石目柄、コンクリート調などの幅広い色・柄に合わせやすいカラーです。〈ゴールド〉はモルタル柄やダーク色の床材に映える色として、今回、開発したオリジナルカラーになります。

あえて“樹脂” という選択を生む『床見切り(金属調化粧シート仕様)』開発エピソード
ZT
ZK
ZA
石井:

三つ目は素材です。
「金属調」と言うくらいなので、当初は金属で作ることも検討していました。ですが、施工性、安全性二つの観点から樹脂を選択しました。元々、省施工でコンパクトなものにニーズがあり、樹脂であれば軽く、またカットも簡単にできます。樹脂であることでDAIKENが培ってきたノウハウも活かすことができます。また、金属は端の処理の仕方によっては引っかかり、衣服の破損や怪我の危険性があることから、安全性の問題からも樹脂を選択しました。

床材を貼り分けるという空間創りで選ばれるアイテムに

『床見切り(金属調化粧シート仕様)』のおすすめの使い方はどのようなものでしょうか?

岸田:

『床見切り(金属調化粧シート仕様)』を使うシーンとして、キッチンとリビングダイニングの床材の貼り分け、あるいはリビングダイニングの窓側に使う床材を変えてインナーテラスのような空間の演出を想定しています。

木目調と石目調の床材を貼り分ける際は、従来からある木目柄の床見切りだと石目調の床材には合いません。金属調の細くキラっと光る床見切りが入ることで、床材の雰囲気に合う洗練された空間が生まれます。例えば、『Black+』シリーズのカタログでは、鉄錆調のダーク色〈アイアンブラック〉の床材と木目調の床材に合う床見切りとして、『床見切り(金属調化粧シート仕様)』の使用を提案しています。

くらしの可能性を広げる『ルームウインドウ』―実現できる空間とは
岸田:

実際に木目調とそれ以外の石目調やコンクリート調で貼り分けるという事例は増えていますので、高級感を出したい時などに活用いただける商品と考えています。また、樹脂ですので曲げることもできるため、曲線状に取り付けるなど、樹脂ならではの特性を活かせる面白い商品だとも思っています。

最後に、発売してからの反響や今後の展望を教えてください。

岸田:

『床見切り(金属調化粧シート仕様)』を発売した結果、“樹脂製” という点が受け入れていただけるのかどうか不安がありました。ですが意外にもお客様から評価されています。開発時に考えていた「安全性と施工性のニーズ」これらがかっちりとハマったという感触があります。

石井:

これまで、床見切りは床材の色味に合わせて選択するのが一般的で、積極的に選ぶものではありませんでした。
しかし、今回の反響を得て、そのニーズに改めて気づかされました。
『床見切り(金属調化粧シート仕様)』という商品は、他社の床材を使用するケースを含め、選ばれる床見切りとして育てていきたいと考えています。

『床見切り(金属調化粧シート仕様)』おすすめポイントまとめ

  • 厚さ6mm・12mmどちらの床材にも対応可能
  • 安全性にも配慮した樹脂製見切り
  • 8mmというコンパクトな見た目
  • どんな素材やカラーの床材ともコーディネート可能
  • 曲線を描くような曲げながらの施工も可能