大建工業の
サステナビリティ

Daiken Sustainabilities

<span>人財価値</span>を最大限に引き出す、あらゆる従業員が働きやすい環境づくり

人財価値を最大限に引き出す、あらゆる従業員が働きやすい環境づくり

2023年6月11日

お話を聞いた方:郷原 秀樹(大建工業株式会社 常務執行役員 本社統括(副)、ISO、コンプライアンス、人財戦略 担当 管理本部長)
※役職は撮影当時のものです。
インタビュアー:こにわ(サンミュージック)

☆本インタビューのダイジェスト映像はこちら

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“「建築資材の総合企業」DAIKEN”として、住宅・建築業界ではおなじみの大建工業株式会社(本社:大阪府/本店:富山県)。幅広い分野で活躍している大建工業の事業に取り組む企業姿勢や魅力を伝えていくWEBマガジン「DAIKEN魂!」。
第7弾は、大建工業の人財戦略をテーマにインタビューしました!!

こにわ:みなさん、こんにちは。こにわでございます。本日なんですけども大建工業さんの大阪本社に来ております。今回は、大建工業さんの人財戦略について色々聞きたいと思います。
私の隣にいらっしゃいますのは郷原さんでございます。郷原さん、よろしくお願いします。

郷原:はい、よろしくお願いします。郷原です。

こにわ:大建工業さんには従業員の方がたくさんいらっしゃると思うのですが、みなさんが働きやすい環境づくりについてどのようにお考えなのか、お聞かせいただけますか。

郷原:いきなり核心なんですが。

こにわ:ど真ん中、直球を(笑)

郷原: やっぱり会社というのは人なんですね。計画を作るのも戦略を立てるのも全て人ですから、そこが一番重要だと僕は思っていますね。その人財を活かすためには、当然、働きやすい環境が必要なんですけど、世の中の環境も変わってきているんですよね。

こにわ:そうですよね。大きく変わっていると思います。

郷原:昔だったら、地域社会や両親、祖父母との同居、あるいは近くに親戚がいるとか、身近に色々サポートをしてもらえる環境があったんですが、今は世の中が変わっていて、そのような環境にいる人は非常に少ないですよね。会社としてはそういった状況で、従業員が本当に安心して仕事と生活の両立ができるような環境を作っていきたいと思っていますね。
そのために、大建工業では「働き方改革」「ダイバーシティ推進」「健康経営の推進」「人財育成」といった観点から環境づくりを進めています。

こにわ:ありがとうございます、それでは、大建工業さんの人財戦略について、順番に聞いていきたいと思います。

PCは19時30分に自動電源OFF! 社長の決意表明から本格始動した働き方改革

こにわ

こにわ:まず、働き方改革についてよろしいでしょうか。建築業界はこれまで長時間労働が問題視されてきたようですが、大建工業さんがはじめに取り組んだのはどういうところですか。

郷原:本格的な取り組みを始めたのは2017年です。それ以前もノー残業デーや20時の一斉消灯など、長時間労働対策をしていたんですが、どうしても旧態依然のやり方や考え方のまま業務が行われていることも多くて、目立った成果が出ていなかったんです。

そこで2017年2月に社長の億田が、「働き方改革」を実現する決意表明メッセージを全社員に向けて発信して、その翌月には「働き方改革」推進プロジェクトが発足しました。現在は、働き方改革推進室という専門部署ができています。
そして改革の第一歩として、業界に先駆けて長時間労働を抑制するために、強制的に「夜19時30分以降と朝7時以前のパソコンの自動シャットダウン」をできるシステムを導入したんですよ。

こにわ:それすごいですね(笑) 遅くまでパソコンで作業していたら、19時30分を過ぎた瞬間にいきなりパツンと電源が切れちゃうんですか?

郷原:そうなんです。時間の5分前になると、画面にカウントダウンの秒数が表示されるんですよ。300からスタートしてどんどん数字が減っていって、0になったら強制的にパソコンの電源が落ちちゃうんです。

パソコン

パソコン自動シャットダウン(イメージ)

こにわ:なんかメジャーリーグのピッチクロックみたいな(笑) 焦っちゃいそうですね。

郷原:はじめのうちは、仕事をしている中でカウントダウンが始まるとほんとに焦りますよね。作業中のデータ保存とかをすべて済ませてしまわないといけないので。
ただ、19時30分で強制的に終わらせるようにすると、その時間に合わせて効率の良い作業をするなど、仕事に対する考え方が変わっていくんですよ。

こにわ:やっぱりそうなんですね。

郷原:もちろん年度末など、どうしても忙しい時はありますので、そういう場合は事前に申請して延長できるようにしています。
他にも、海外出張に行く人は時差もありますし、国内でも海外とのビジネスを担当している人は相手と時間を合わせる必要もありますから、ケースバイケースで調整できるようにしています。
ただ、それらの申請も、このような業務をこの期間にやる、ということを明記してもらって、期間限定で作業をしてもらっているんですよ。

こにわ:なるほど。ダラダラさせないと。うわー、すごいなあ。やっぱり働く場面において、ある程度枠とかルールを決めていくことってすごく大切なんですね。

郷原:そうですね。僕の若い時の話なんですけど、昔商品開発をやっていた時は休んだのが1年に2日か3日で。正月の元旦とお盆休みぐらいですね。
ただ、これが良くなくて、休まずに仕事をすると、それが癖になるんですよ。

こにわ:おお、それすごくいい言葉ですね。

郷原:癖になるというか、慣れっていうんですかね。だから、休まずに仕事をすることを癖にしちゃうと駄目なんですよ。逆に言うと、19時30分までに業務を終わらせる癖を付けないといけないんです。

こにわ:なるほど。今のって何か宝のような言葉ですね。休まないことが癖になるって、僕のまわりにいる売れっ子の芸能人はみんなそんな感じです、ほんとに。

郷原:それが当たり前になっちゃうから。

こにわ:なっちゃいますね、ほんとに。ただ、はじめは戸惑う人も多かったんじゃないでしょうか。

郷原:システムの導入直後は、やっぱり社内ですごく抵抗がありましたよ。特に営業などはお客さんのところを回って夕方に帰って来て、それから事務処理とかをするじゃないですか。
そうするとやっぱり19時30分じゃ終わらないんですよ、従来のやり方でやっていたら。それが強制的に19時30分にパソコンの電源が落ちるようになると、もうそこを目指してやるしかないので、日中の仕事のやり方とかも変わってくるんですよね。

こにわ:まさに働き方改革ですね。

女性社員の働きやすい環境づくりを目指した取り組み

郷原 秀樹

こにわ:このような働き方改革でもう一つの大きなキーになってくるのが、女性の活躍推進をはじめとしたダイバーシティですよね。大建工業さんではどのような取り組みを行っているんですか。

郷原:最初に取り組んだことは、従業員の女性比率を上げていこうということでした。本来はそれだけじゃなくて幅広い年齢であったり、あるいは国籍であったりといったところも考慮しないと駄目なんですけど、当社の場合はまず女性が活躍できるように、女性の比率を上げて行こうという取り組みからスタートしましたね。

建築業界は長く男性社会だったこともあり、当社でも2010年の時点では新卒女性の採用比率が約8%ほどでした。その後、2011年ぐらいから約20〜30%ぐらいに引き上げられまして、社長が億田になり、GP25が策定された2015年からは女性の新卒採用比率50%を目標に設定して、性差のない採用・配属を目指しています。ですから、今の30歳ぐらいまでの社員は男女半々ぐらいなんですよ。

こにわ:いや、半々ってちょっと郷原さん、簡単に言っていますけど、多分簡単なことじゃないです。そういう環境にいるとそれが当たり前になるけど、外部では驚いている人もたくさんいると思いますよ。

郷原:そうですね。特に建築業界はまだまだ男性社会のイメージが強いですからね。びっくりする方もいると思います。

こにわ:女性社員さんたちの悩みなどを共有できる女性交流会というものを、2018年3月から実施しているとお聞きしたのですが、どのようなものなんですか?

郷原:要は職場環境などを含めてどのような問題があるのかとか、どのような悩みを持っているかとか、そういった話を女性同士で交流して話をしてもらうことで、より女性が働きやすい環境を作るための参考にさせてもらっています。

こにわ:そこで出た意見を吸い上げて、みんなで共有していく感じなんですね。

郷原:そうですね。一度、女性交流会で記念の写真撮影をする際に、女性が何十人もいる中に億田社長が一人で入ったのですが、その際に「これがいつも皆さんが受けている感覚なんですね」と言っていたのがすごく印象的だったと部下から聞いています。

女性社員

こにわ:おーっ、めちゃくちゃ面白いですね、それ(笑)
このような取り組みを始めることで少しずつ環境が変わっていって、今度は2019年5月から職種別女性交流会という、進化したものがまた次のステップとして開始されたわけですよね。この職種別っていうのはどういうものなのですか。

郷原:職種って色々あるんですけど、当社なら例えば営業や営業事務、受注センターなどがあって、それぞれ抱えている問題や悩みが違うんですよね。同じ職種じゃないと分からない部分って結構多いので、それをざっくばらんに話してもらってどのような環境に変えて行けば働きやすくなるのかとか、そういう話をしてもらっていますね。

こにわ:同じものを共有して吐き出す場があるって、働く場所としては非常に大事なことですよね。

郷原:そうですね。おそらく女子会などでそういう話をしているかもしれませんが、会社としては分からないわけです。これらの会を開催することで、女性社員の苦情とか悩みとかを知って、より良い環境づくりを目指していると理解していただいたらと思いますね。

こにわ:昔のドラマには、女性社員がお茶汲みで給湯室に集まって会社の噂話をするシーンがよく入っていましたけど、今の若い子には伝わらないんでしょうね。

郷原:そもそも今は女性社員が給湯室でお茶を淹れる、という習慣がないから。

こにわ:そういうことですね。これが時代は変わったということですよね。

郷原:そうなんです。僕らも若い頃は、仕事が終わってから同僚と飲みに行ったりして会社に対する文句を色々言って鬱憤を晴らしていたんだけど、女性交流会というのは会社としてオフィシャルで行っているので、様々な意見を吸い上げることができて、より良い環境づくりに活用できる、そういう機会にはなっていますね。

こにわ:本当にそうだと思いますね。それで、女性もそうですが、国籍や人種などもフラットに見ていくということがダイバーシティの推進になってきますよね。

郷原:そうですね、必要だと感じています。ただ、募集しても応募が少ないので、外国籍の方はまだまだ少ないですね。

こにわ:でも、大建工業さん的にはウェルカムだし、入ってきてくれたらどんどん視野が広がるという感じですか?

郷原:いや、その通りです。当社も海外で多くの事業を展開していますからね。海外と日本の間を取り持ってくれる人財は必要ですので、今後に期待しています。

共働き世帯でも安心して育児ができる育休制度を充実

こにわ:そして現在ですけれど、日本の共働き世帯が全世帯数の約7割にまで増えているというデータがあって、従業員の育児などに関しても何か取り組まれているのでしょうか。

郷原:そうですね、女性が中心になるとは思うのですが、育休やそれに関する制度は充実させています。2021年には男性従業員も該当者の約3分の2が育休を取るようになりました。

育休

こにわ:それはすごいですね。子育ては本当に大変ですし、みんなが助け合うという仕組みを会社が作ってくれるのはすごく心強いと思います。

郷原:育児だけでなく、介護・病気などのライフイベントと仕事の両立も支援しています。
具体的には「仕事と育児の両立支援」「仕事と介護の両立支援」「仕事と病気の治療の両立支援」があって、両立中であっても単なる就労継続にとどまらず、中長期的なキャリアアップができるように支援を行っています。また、情報提供やセミナーなども実施し、安心して仕事とライフイベントが両立できる環境づくりを目指しています。

仕事と育児の両立支援

こにわ:素晴らしいですね。両立支援をしてくれるのもありがたいし、先程の女性社員交流会とか職種別女性交流会につながる話で、育休の取り方とか、「子どもが生まれた後みんなどういう子育てをしていたの?」というような情報を共有できるから、育休を取りやすくなってくるということで、これはほんとにいい循環になっていますよね。

郷原:そうですね。昔話をすると、僕らが若い時っていうのは、結婚して子どもが生まれると女性社員の多くは退職していたんですよね。

こにわ:そうか。人財がいなくなっていたわけですね。

郷原:そうですね。それが現在では共働きが70%となり、女性社員は子どもが生まれた後も仕事を続けるというふうに変わりました。世の中の構造が変わってきたことで、育休という制度が必要になってきたということでしょうね。

こにわ:育休関連の制度だけでなく、介護や病気なども両立を支援することで、昔なら退職していた人が会社に残れるというのは本当に大事なことですよね。例えば7〜8年会社に勤めていた社員が子どもの誕生を機に退職してしまったら、経験豊富な人財を手放すことになってしまいますからね。7〜8年の経験は、大建工業さんにとってものすごく価値の高いものじゃないですか。

郷原:その通りですね。

こにわ:そういった大建工業さんの取り組みが外部からもちゃんと評価されていることは、2016年11月の大阪市による女性が働きやすい職場整備に取り組む企業を認証する「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」や、2017年5月の厚生労働省による子育てサポート企業を認定する「くるみん認定」、さらには2018年6月の大阪府による男女が働きやすく女性活躍を推進する職場を認証する「男女いきいきプラス」などの認定を受けていることで分かりますね。加えて、「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」の認証は 2022年7月に星3つに、そして「くるみん認定」は2023年に星2つに昇格したそうで、やっぱりこういう積み重ねが外部から認められるということも大建工業さんにとっては大きいですよね。

くるみん認定

郷原:そうですね。会社の将来を考えると、若い世代の声をどうやって吸い上げて、その意見をどうやって制度に落としていくか、働きやすい会社の環境を作っていくか、それが重要ですから。だって、僕らはもういなくなるから。

こにわ:えーっ、そんな、そんな(笑)

郷原:いや、ほんとに。

コロナ禍以前から準備していた在宅勤務 働き方を選べる時代に

こにわ:コロナ禍でテレワークが一気に普及したと思うのですが、大建工業さんでもやっぱり働き方は変わりましたか?

郷原: 変わりましたね。職種によってはもうずーっと家でできる仕事もあります。ただ、社員同士のコミュニケーションが取りづらくなることがストレスになるケースもありますので、バランス良く制度を活用してもらうなど、働き方を従業員の皆さんに考えてもらい、会社としてはそれをサポートしていくという形がいいような気がしますね。

こにわ:サポートの部分でいうと本当にすごいと思うのは、コロナ禍前の2018年4月からサテライトオフィス勤務を可能にしていたとか。

郷原:営業は外に出ると会社に戻ってこない限り事務処理ができないというのが非効率的だったんですね。それが、ノートパソコンや様々な営業ツールの導入で会社以外の場所にいても事務処理ができるようになったので、サテライトオフィスをいくつか用意することで、わざわざ会社に戻らなくても事務処理を終わらせて、直接自宅に帰ってゆっくりしてもらうことができるようになりました。

在宅勤務

こにわ:この導入はやっぱりかなり評判が良かったんですか。

郷原:僕は直接聞いてないんですけど、サテライトオフィスの利用度はすごく増えましたので、やっぱり便利だったんじゃないですかね。

こにわ:あと、すごいのは在宅勤務をコロナ禍が始まってすぐの2019年の11月から始めたというとことですね。

郷原:在宅勤務についてはコロナ禍に入る前から導入準備を始めていましたので、取り組みは業界の中で結構早かったんですね。

こにわ:だって1回目の緊急事態宣言時には大阪本社では9割、首都圏では8割の社員の皆さんが在宅勤務に切り替えたそうですから、これはすごい数字だと思いますよ。

郷原:そうですね。2020年の4月7日緊急事態宣言が出た後、従業員を集めて在宅勤務の指示を出しました。パソコンなどを全員持ち帰らせてね。

こにわ:うわっ、そうなんですね。

郷原:ただ、自宅にWi-Fiの環境がない場合は在宅勤務ができないので、徐々にそういう環境も整えていって、在宅勤務が可能な対象者を増やしていきました。

こにわ:コロナ禍ではオンラインミーティングも活発に行われたと思いますが、一般的に聞かれる苦労したという点はWEB会議ツールの使い方や設定の仕方がわからないという話で、大建工業さんの場合は結構スムーズだったんじゃないですか。

郷原:そうですね。事前に準備をしていたので、ほとんど混乱もなく移行できましたね。ただ、当初はオンラインで接続できる回線数に限界があって、中々つながらないという物理的な課題があって、それを強化するのに若干時間がかかりました。

こにわ:でも、それは全員在宅勤務をすることで見つかったことですから、前向きな課題解決につながったということですよね。
あと、大建工業さんでは、時差出勤についても2015年9月から試行されていたということで、これも早いですよね。

郷原:時差出勤は岡山にある研究開発拠点のR&Dセンターで、フレックスタイムを導入するに当たって時差出勤にトライしたという経緯がありますね。

こにわ:僕らみたいな芸能界の仕事をしている人間にとって、出勤する時間帯は電車が混んでいるから乗りたくないなと思うんですが、改めて企業にとっての時差出勤導入はどのような利点があるんですか?

郷原 秀樹

郷原:企業というより個々の作業効率に関わる話ですね。通常9時から17時45分までが定時の勤務時間なんですが、例えば朝7時から出社すると9時までは電話も少ないし、その2時間で効率良く仕事ができるんですよね。その日にやることの整理や前日の仕事を整理するなど、集中して作業ができるので帰りの時間も早くできるんです。

こにわ:なるほど。電車が混むのを避けるためだけではなかったんですね。郷原さんの話を聞いて納得しました。自分がどう働きたいかという選択肢の一つに時差出勤も入っているということですね。

郷原:そうですね。それで、早く出社して早く帰れるようになると、夜の時間も長く使えるので、自分の趣味の時間に充てるとか色々できますから。

こにわ:時差出勤も選べることで、個人の考え方とか生き方やライフワークまで提供できるというのは素晴らしいですね。

従業員の健康を第一に考えて、さまざまな健康サポートを実施

こにわ:最近注目されている健康経営についてはいかがでしょうか? 従業員の健康は会社を成長させるための基盤ですよね。

郷原:そうですね。健康経営の推進に関しては2021年に健康経営方針というものを制定して、健康増進手当の支給や従業員に卒煙を促す「卒煙チャレンジ」の実施、2022年には健康管理ポータルサイトの運用開始などを行っています。

こにわ:へぇーっ、すごいですね。

郷原:すごいのかなあ(笑) 従業員ありきの会社ですから、やっぱり健康が一番ですしね。

こにわ:卒煙チャレンジっていうのは、禁煙する時にみんな段階を追ってやったりするじゃないですか。まさにそのような感じなんですか?

郷原:タバコを吸っていて卒煙に挑戦したい人に宣言してもらうんですね、「卒煙します」って。そこで署名をさせてチームを作ってその中で相互監視をするんです。で、「あいつが吸っていた」って報告されたら、その人はもうアウト。

こにわ:「あの方吸っていましたよ」みたいな(笑) でも、みんなが愛を持って見守るわけですよね、それは同じチームだから。そこも助け合いなんですね。

郷原:ええ。それで、ちゃんとある期間ずーっと禁煙できたら、金一封じゃないですけど……。

こにわ:ご褒美があるわけですね。

郷原:それが社長のポケットマネーで出たんですよ。

こにわ:えーっ、すごい。大建工業さん、面白いことをたくさんしていますね、本当に。
ちなみに「大健康 Action!!!」っていうのはどのようなことなんですか。

郷原:肩こりとか腰痛に悩んでいる人が多いので、ちょっとした時間でできるストレッチ動画などを配信していますね。会議の終わりに全員でやったりとか。

大健康 Action!!!

こにわ:素晴らしいですね。工場や工事現場ではラジオ体操をやっていたりしますけど、その応用形みたいな感じですね。

郷原:ラジオ体操は僕も若い頃やっていましたね、今でもうちの工場では毎朝必ずやりますし。
実は、大阪でずーっと事務ワークをしていた人が工場勤務に変わってラジオ体操に参加したことがあったんですね。そうしたら、2日目で筋肉痛になった、ラジオ体操で(笑)

郷原 秀樹

こにわ:面白いですね(笑) 体が教えてくれているんですよ、「運動不足ですよ」って。でも、ラジオ体操で筋肉痛は初めて聞きましたね。

郷原:そういう人もいるんです。みんなそうなんでしょうけど、普段いかに体を使ってないか、ということだと思いますね。

こにわ:福利厚生の面では「Femtech(フェムテック)」活用の一環として、「ルナルナオフィス」を導入しているとのことですが。

郷原:はい。女性特有の健康課題をテクノロジーで解決したり、サポートしたりして、女性社員が働きやすい環境づくりに役立てていますね。

こにわ:こういうものが導入されているから大建工業に入りましたという人もこれから増えてくるでしょうし、安心して働いてもらうためにも非常に大事な要素ですよね。

郷原:採用面接をしているとやっぱりこのような制度とかをちゃんと見ている子がいますよね。その辺を重視して会社を決めるっていう子もいますからね。

こにわ:ですよね。さらに先ほどはラジオ体操で筋肉痛になっちゃうという話がありましたけど、運動が中々継続できない人のためにゲーム感覚で続けるウォーキングアプリも提供されているとか。

郷原:これは一般にもう出回っているアプリなんですけど、期間を設定して参加登録すると、その期間で歩いた歩数によって参加者がランク付けされるわけです。

こにわ:そうなんですね。デスクワークの多い方がメインなんですかね。ちなみに郷原さんは……?

郷原 秀樹

郷原:参加したことないです(笑)

こにわ:ちょっと(笑) 私が松岡修造さんだったら怒りますよ。
「もっと本気出せよ、おいっ。郷原、本気出せよ」みたいに(笑)
でも、今月は誰がランキングに入っているのかを見たりして、もっと自分も運動しないと、と思わせてもらえたりしそうで、ある意味社内共有としてはいいですよね。

郷原:そうですね。実は、うちの副社長が一番張り切ってやっています。

こにわ:すごい(笑) いいですね。でもそういう方々が張り切ってやると「副社長に負けないように」と思いますもんね。例えばちょっと飲みに行った時に「やばい。歩数が稼げてないから、じゃあ、一駅分歩いて帰っても」とかも含めて、楽しみながら健康を促進していくっていう部分ではすごくいい取り組みですよね。

郷原:すごくいいことですからね。僕も毎朝5時から6時まで1時間歩いていた時期があったんですよ。やっぱりその時はすごく体調が良かったですからね。

こにわ:僕も毎日1時間ぐらい彼女と体を動かすと決めていますけど、やっぱりやらないと、「うわ、この1時間の罪悪感やばい」と思ったりするんで。運動が習慣化することで自然と健康になっていくのはすごいいですよね。

郷原:そうそう。習慣化していくことが大事ですね。

こにわ:そして、こうした様々な取り組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人」の大規模法人部門で、2022年、2023 年と2年連続で認定されました。
ただ、先ほど郷原さんがおっしゃったように人財は宝というのが大前提で、この宝が健康でいられるためにはどうすればよいかという取り組みが評価につながったんじゃないかと思うんですけど、その辺はいかがですか。

郷原:おっしゃる通りで、やっぱり企業にとっては人財が一番重要なので、いかに在籍している従業員に働きやすい環境を提供して、その人が健康でずっと仕事が続けられるようにサポートしていくということも会社の仕事だと思いますから、それが評価されたのは嬉しいですね。

人財育成の方針も時代に合わせて見直しを

こにわ

こにわ:次は人財の育成についてお聞きしたいのですが、大建工業さんが人財育成方針として掲げているのは、「挑戦する心」「探求する心」「成し遂げる心」を持った自律型人財の育成とのことで、この辺はいかがでしょうか。

郷原:大建工業では、自分で考えて行動できる自律型人財を求めていて、そのために「OFF-JT(職場外教育)」や「OJT(職場内教育)」、「自己啓発」という3つの要素に個人が成長するために必要な「キャリア形成」の視点を加える形で人財の育成を行っています。

こにわ:なるほど。

郷原:現時点ではおそらくこれが正解だと考えていますが、今は世の中が急速に変わってきているので、先を見据えた方針の見直しも始めています。
キーワードは本当にそれだけでいいのか、これからの世の中に対して求められる人財像、そして大建工業として求める人財とは、というところからスタートして、現在は人財戦略プロジェクトというものを立ち上げているんですよ。人財の育成方針も時代に合わせてどんどん見直していく必要があると思っています。

こにわ:キャリア形成というものの考え方自体も徐々に変わってきている感じがしますよね。

郷原:変わってきているでしょうね。仕事重視の考えもあれば、やっぱり自分の生活中心の考え方もあるし、家族中心とかいろいろ考え方がありますから。価値観が多様化しているので、それぞれが考えるキャリアはやっぱり違うでしょうね。
全員が同じスキルを身につける必要はないですし、人それぞれにやりたいことは違うと思いますので、会社としてその人に伸ばして欲しいスキルを明示した上で、本人にどうしたいかを選択してもらい、それぞれに応じた教育メニューを個人個人で作って行く必要があるように思いますね。

こにわ:こにわ:それがまさに本当の意味の人財育成、今後の人財育成になっていきそうですよね。
あと私は今、40歳なんですけど、時代に合わせてマインドを変えていくことも必要なのかと考えたりするんですが、その辺は課題になっていたりするんでしょうか。

郷原 秀樹

郷原:必要ですね。それこそ重要な課題です。ちょっと論点がズレるかもしれませんけど、例えば22〜23歳で会社に入っても若いうちはがむしゃらに仕事するだけなので問題ないのですが、ある程度年齢を重ねてくると、役職につく人もいればそうでない人も出てくるので、40〜50歳になっていかにモチベーションを維持してもらうかとか、60歳以上のシニアにどのように活躍してもらうか、その環境を提供できるのか、その辺のことを考えていく必要があると思いますね。

こにわ:そうですよね。若い人だけではなく、会社を支えてきてくれた方々が大建工業に30年、40年、50年関わってきて良かったと、幸せを感じてもらえるようにすることも非常に大事な課題なんでしょうね。

郷原:そうなんですよ。逆に若い人を積極的に登用することは比較的簡単なんですよね。加えて、ベテラン陣にどう活躍していってもらうかを考えていくのも僕らの仕事になります。

人財のパフォーマンスを最大化する人的資本経営を推進

こにわ:最後になりますが今後の人財戦略について、改めて目標や展望をお聞かせいただけますか。

郷原:同じような話の繰り返しになるんですけど、やっぱり“人的資本経営”ですね。
現在、世の中でも盛んに言われていますが、従業員一人ひとりの人財価値を最大化させるということが、中長期的な企業価値の向上に一番重要なんです。
機械はインプットした情報で全部アウトプットが決まるので簡単ですが、人間はインプットした情報に感情が加わりますからね。気持ちよく働いてもらうことが大切です。
人財価値の最大化=パフォーマンスの最大化ができる環境を用意して、皆さんに一生懸命働いてもらい、それが一つの集合体となって企業価値を向上させる、そういったところをこれからの大きな課題として取り組みたいと思いますね。

こにわ:全くその通りですね。いやー、長時間すみません。ご飯よりおしゃべりが楽しすぎて。改めて今日は貴重なお話をありがとうございました。

郷原:ありがとうございました。

こにわ:それでは最後に一緒によろしいですか?
大建工業で働く人は、みんな宝だ!!

こにわ・郷原:『DAIKEN魂!』

郷原 秀樹