

すべての住宅に設置義務ありの火災警報器。
我が家に合った製品は?
住宅火災による死者数は年間約960人、火災による死者の約74%が65歳以上の高齢者とされており、死亡原因の約5割は逃げ遅れとされています。(※消防庁:令和4年版 消防白書 より)
火事から命を守るには、早期発見、早期避難が重要です。早めに通報できれば、近隣に火事が広がるのを食い止めることもできるでしょう。火災が発生したときは、目で煙や炎をみたり、鼻で焦げ臭いにおいを感じたり、耳でぱちぱちという音を感じたり・・・と五感によって気づくことがほとんどだと思います。しかし、それだけでは、就寝中や仕切られた部屋などで物事に集中している時などには、火災に気づくのが遅れてしまいます。
そんな火事の早期発見に役立つのが火災警報器です。住宅用火災警報器は、火災により発生する煙や熱を感知し、音や音声により警報を発して火災の発生を知らせてくれる機器です。
一般的には、感知部と警報部が一つの機器に内包されていますので、機器本体を天井や壁に設置するだけで、機能を発揮します。大切な家と家族の命を守るため、住宅用火災警報器の設置は法律で義務化されています。新築の場合はもちろん、既存の住宅や基準に当てはまるアパートなどにも住宅用火災警報器を設置しなければなりません。また、住宅用火災警報器には寿命があるため、定期的な機器の点検や交換が必要となります。新築・中古物件を手に入れたものの住宅用火災警報器が設置されていない、と慌てて購入を考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、住宅用火災警報器には様々な種類があることをご存じでしょうか?
住宅用火災警報器を設置すべき場所や警報器の種類、取り替え時期についてそれぞれどのようなものがあるのでしょうか。それぞれ解説していきます。
目次
住宅用火災警報器の設置は法的義務
住宅用火災警報器を設置することは、消防法により定められた法的義務です。2006年には全国の新築住宅が、そして2011年6月1日からは全ての住宅に火災警報器の設置が義務付けられ、現在では新築中古物件を問わず、火災警報器の設置が必要となっています。
火災警報器の設置義務は、マンションなどの集合住宅に関しても定められていますが、設置すべき火災警報器の種類は延べ床面積を基準として異なります。延べ床面積が500㎡未満の場合は住宅用火災警報器等の設置が義務付けられており、延べ床面積500㎡以上の場合は自動火災報知設備の設置が必要となります。火災警報器と火災報知器は混同されがちですが、一般のご家庭で必要なのは火災警報器です。
火災警報器の設置義務がある全国共通の場所は、寝室および寝室があるフロアの階段です。多くの人が眠っている深夜の火事は、逃げ遅れて死亡するケースが多いためです。また、煙は階段を通り道にして上階に登っていく性質があり、階段に火災警報器を設置しておくと火事に気が付きやすくなるのです。寝室や寝室のあるフロアの階段には、原則として煙式の火災警報器(詳しくは後述します)を設置しなければなりません。
そのほか、住宅内のどこに火災警報器を設置するかという詳細な設置基準は市町村条例で定められていますので、お住まいの地域を管轄する消防署に確認しましょう。
住宅用火災警報器にはタイプがある

住宅用火災警報器には、様々なタイプがあります。
まず、火災警報器の電源には電池式のものとAC電源直結式(電源コードをコンセントに差し込むタイプ)があります。
電池式のものは設置時の電気工事が不要ですが、AC電源直結式は電気工事が必要です。
火災を知らせる方法にも違いがあり、単独型は火災を検知した機器だけが鳴りますが、連動型は家の中の1つの機器が火災を検知すると、接続されているすべての警報器が連動して鳴り、家中に危険を知らせることができます。
火災の感知方式では、煙式(光電式)と熱式(定温式)があり、煙式というのは煙に反応する火災警報器で、炎が上がるまでに時間がかかる燻焼(くんしょう)火災を初期段階から感知することが可能です。初期火災の発生を検出することができるため、基本的な火災警報器としては煙式のものが採用されます。
しかし、調理で頻繁に湯気や煙が出るキッチンなどに設置すると、煙式は誤作動を起こしやすくなってしまいます。そのような場所に向いているのが熱式(定温式)の火災警報器です。周囲の高温を感知して警報音が鳴るため、通常の生活で煙が出やすい場所にも設置できます。
また、住宅用火災警報器と連動する補助警報装置を設置すれば、視覚や聴覚の障害がある人に光や文字、振動などによる音以外の方法で火事を知らせることができます。
住宅用火災警報器は取り替え時期に注意

住宅用火災警報器は、取り付けたら終わりではありません。火災警報器自体の耐用年数はおよそ10年であり、また、電池式火災警報器には電池の寿命もあります。使用環境などにより火災警報器自体の耐用年数以前に電池の寿命が尽きてしまう場合もあるので、注意が必要です。
火災警報器が故障していないか、電池が切れていないかは、火災警報器のボタンを押す、あるいは紐を引っ張って正常に音が鳴るかどうかの動作確認をすることで判別できます。
電池式、電源直結式、どちらのタイプでも機器の交換は必要になります。住宅用火災警報器を設置してから年数が経っている場合は、早めの交換を心がけましょう。
これから火災警報器をつけるなら

これから住宅用火災警報器を設置するなら、工事不要で設置できる電池式がおすすめです。無線式の連動型なら、子機への配線をせずに家中に火事を知らせることができます。なお、煙式タイプには設置する部屋の状況を学習する機能があって誤作動が少ない製品もあり、「日常的に発生する煙」と「火災に発展する可能性のある煙」の違いを区別するため、たばこの煙や湿気の多い場所にも設置しやすいでしょう。
普段から煙が出やすいキッチンなどの場所には、熱式タイプの火災警報器がおすすめです。煙式と熱式が連動する製品を使えば、家庭内の幅広い火災対策になります。市区町村によっては、キッチンへの火災警報器設置義務がない自治体もあります。しかし、料理を原因とする火災の早期発見に備えたいなら、自主的にキッチンへ火災警報器を設置するとよいでしょう。
※ここに掲載されている情報は2023年2月10日時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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