こんな所から音漏れ?
近所迷惑になる前に換気口の防音対策を

窓はしっかり閉めているのに室内のペットや子どもの声が外に漏れてしまい、知らぬ間に、ご近所に迷惑をかけているケースがあります。どこから音が漏れているかわからない場合、換気口がその原因になっている可能性があります。
気密性の高い現代の住宅やマンションでは、小さな開口部から音漏れがしたり、逆に換気口から屋外の騒音が入ってきたりすることがあります。
そこで、本記事では屋内外への音の伝わり方と騒音の種類を解説し、換気口からの音漏れを低減する方法をご紹介します。

騒音はどう伝わる?

音の伝わり方は、大きく「空気音」と「固体音」の2つに分類できます。

空気音(空気伝搬音)とは

空気音とは、発生した音が空気の振動として音源から聞き手まで伝わる音で、空気伝搬音とも呼ばれています。
話し声や動物の鳴き声、楽器の音、車の音など、音源に近いほど音量は大きく聞こえてうるさく感じ、逆に音源から遠いほど音量は小さく感じます。
音源のある場所の開口部を閉じる、壁などで仕切ることで、遮音の効果があります。

固体音(固体伝搬音)とは

固体音とは、固体を振動させながら伝わる音のことで、固体伝搬音とも呼ばれています。
人の歩行や物の落下など、建物に加えられた力や衝撃が構造体を振動させて伝わり、空気中に放射されます。トイレで水を流す音や物を落とした音、床に衝撃を与えるような大きな足音、鉄道のレールが「カタンカタン」と聞こえる音などです。大きな声やピアノの音など、空気の振動となって壁や天井を伝わることで、空気音が固体音となるケースもあります。
固体音は床や壁、天井などを介して音が伝わるため対策が難しく、複数の防音建材を組み合わせて低減させるなど防音設計を検討する必要があります。

上記のように固体音の対策はすぐには難しいので、まずは会話の声などの空気音を防ぐ対策をしてみましょう。

空気音の騒音対策は?

空気音は空気が出入りする場所ならどこからでも伝わります。そのため、住まいにある隙間をできる限りなくすことが大切で、まずは開口部(窓、ドア)をしっかり閉めることが基本です。
二重窓、二重サッシなどを導入して窓からの音漏れを防いだり、防音ドアを取り付けたりすることでも空気音は伝わりにくくなります。

もともと気密性の高い現代の住宅・マンションにおいて盲点となりやすいのが、排気口や給気口、換気扇といった換気口の開口部です。近年の住宅には24時間換気システムが設置されているため、空気の通り道となっている換気口からの音漏れが問題になるケースがあります。
とはいえ、換気口の蓋を閉じてしまうと換気面で支障が出てしまいます。それではどのような対策をとれば良いのでしょうか。

換気口の音漏れ・防音対策をしよう

換気口の防音対策には下記のような方法があります。

キッチンの換気扇による音漏れ

キッチンの換気扇は防音性の高いレンジフードに交換することで、騒音を低減することができます。
レンジフードの防音タイプには、吸音材付きで換気口からの音漏れや外からの音を軽減する「防音フード」、同時給排レンジフードのダクト内に設置する給気口などに使われる「防音スリーブ」、ダクト途中に設ける消音装置を上下に2ヶ所取り付ける「防音(消音)チャンバー」、換気口のガラリに消音材を組み込む「防音ガラリ」などがあります。
キッチンの換気扇から屋外の通気口につながる出口部分には、油や熱に強いタイプの防音フードがおすすめです。

24時間換気システムによる音漏れ

24時間換気システムで常に空気の通り道となっている換気口の音漏れ対策としては、『自然給気用サイレンサー』を取り付ける手があります。『自然給気用サイレンサー』とは換気口のパイプ内に設置するもので、消音器やマフラーとも呼ばれています。これを設置することでかなりの防音効果がありますので、ぜひ導入を検討してみてください。
また、給気口や排気口の屋外側フードを防音タイプに交換するのもひとつの方法です。

24時間換気システムは、運転音が静かで結露やカビを防ぐタイプのものや、人感センサー・湿度センサーが搭載されているなど高機能なものもありますので、現状の換気システムに不満がある方はリフォームを検討してみても良いでしょう。

どこからかわからない音漏れがあった場合、空気の通り道である換気口が原因となっている状況は十分考えられますので、近所とのトラブルになる前に早めに防音対策をして、快適な生活を送れるようにしましょう。

※ここに掲載されている情報は2022年11月10日時点のものであり、ご覧いただいている日と情報が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。