

子どもの声を騒音にしない 音漏れと室内の反響音対策とは
近年、仕事は会社へ出社して行うもの、 という認識が改められつつあります。テレワーク、リモートワークの体制も着々と整い、社会を挙げて自宅と職場の垣根が取り払われるようになってきました。しかし、こうした変化によって在宅時間が増えると、近隣の「音」が気になってきます。楽器の演奏音や車のエンジン音、雨戸やシャッターを開閉する音といった一時的な物音については深夜や早朝を避けるなど、以前から配慮していたという方も多いでしょう。しかし社会全体で在宅時間が増えている今、何気ない生活音も迷惑になっているのでは?と感じている方が多いのではないでしょうか。特に小さなお子さんのいるご家庭では、子どものはしゃぐ声や足音、赤ちゃんの泣き声などでますますナーバスになってしまうかもしれません。近隣の迷惑になっていないか、という「外」への配慮とともに、自宅で過ごす際にも心地良く過ごせるよう「内」への配慮も必要になってきます。そこで「音」環境について考えるとともに、外への音対策と内への音配慮を建材でサポートできないか、探ってみましょう。
目次
開口部の防音をしっかりと

音は伝わる仕組みによって2つに大きく分けられます。1つめは空気の振動による「空気伝搬音」で、話し声や泣き声などがこれにあたります。もう1つは物の振動によって伝わる「固体伝搬音」。建物の床や壁などを通じて伝わるため、集合住宅では足音や物を落とした音、家電の駆動音などがこの範疇 (はんちゅう)に含まれます。
このうち1つめの「空気伝搬音」については、開口部から外に漏れるため、防音対策はドアや窓に施すのが効果的です。
例えば窓は二重サッシにする、防音カーテンをプラスするなどの対策が考えられます。
玄関ドアは防音ドアに換えることで音の漏れを軽減させることができます。
窓やドアのほかにも意外な開口部としては、換気扇や給排気口があります。対策としては換気扇のフードを防音性能の高いものに交換する、換気口にサイレンサーを設置するといったことが可能です。室内の音を外部に漏らさない効果とともに、外部の音が侵入するのを防ぐことも期待できます。幹線道路沿いや保育園・幼稚園が近い家に適しています。
2つめの「固体伝搬音」に関しては、床にカーペットを敷く対策が効果的です。足音や物を落としたり引きずったりする音を軽減します。
ゴム製の防振マットは、オーディオ機器や家電のモーターなどの振動を吸収し、防音に役立ちます。
室内の音の響きも見直そう

在宅勤務で子どもと過ごす時間も増えたという方も多いでしょう。それ自体は喜ばしいことでもありますが、子どもと長い時間を過ごす中で些細なことから口論になる、以前は何とも思わなかった子どもの生活音が気になって集中できないといった声も聞かれます。
ここまでは、外から入ってくる音、中から外へ漏れる音について考えてきましたが、ここからは室内で発生する音が室内で響く「反響音」についても考えてみましょう。
現代の住宅は密閉性が高く、内装材も吸音性が低いものが多いため、音が反響しやすいといえるでしょう。
音というのは空気の振動です。表面が緻密で硬いものにぶつかった時、音は反射して再び空気を振動させます。発生した音が止んだ後も、音の反射による空気の振動が残ります。これが残響です。天井や壁など平行した平面の間で反射を繰り返すと、いつまでも残響が消えないという現象が起こります。残響がひどいと話し声も聞き取りづらくなり、必要以上に大きな声で話すという悪循環に陥ることがあります。
不快な残響を減らすには柔らかいものや表面の粗いもの、表面に小さい穴がたくさん空いている多孔質のものを置くという対策が有効です。例えばカーテンやタペストリー、クッションを置く など。他にも、表面が硬い家具の扉などが向かい合わせにならないように位置を調整すると、残響時間が短くなったように感じられるでしょう。
また、天井材には凸凹や穴の空いた意匠にすることで、音を吸収し残響を逓減 (ていげん)させる機能を持つものがあります。壁面に凸凹をつけたり、多孔質のものを設置したりして音の反射を防ぎ、残響時間を短くする壁用の吸音材は、音響室の反響を調整する場合などによく使われます。
リフォームで快適な音環境に

「防音」の方法には、空気の振動で音が伝わるのを遮断する「遮音」と、振動を吸収させて減らす「吸音」の2つがあります。音漏れを防ぐことは「遮音」であり、柔らかいものや多孔質のものに振動を吸収させて残響を減らすことは「吸音」にあたります。
快適な音環境を作るには反響をすべて無くすのではなく、適度な反響が必要ですが、音が反響し続けてしまうと不快な残響を発生させることになりかねません。吸音力を上げて残響時間を調整し、室内の音環境を快適なものにしましょう。

たくさんの子どもが長時間過ごす保育園や教育現場でも、吸音性能のある天井材を採用して反響音対策をしている施設が数多く見られます。
子どもの声を「騒音」にしないために、ご家庭でも 室内の音が外へ漏れないように対策を整え、反響音を抑えて室内の快適性に配慮したいものです。
窓、壁、天井、床、開口部のすべてにおいて、リフォームでも可能な防音対策があります。音の性質を知って、子どもと暮らす場所の音環境を見直しましょう。
※ここに掲載されている情報は2023年1月17日時点のものであり、ご覧いただいている日と情報が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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