

室内の耳ざわりな音の響きを
防音パネルや吸音建材で改善
昨今の住宅は断熱性能が向上していますが、それだけでなく断熱材を吹き付ける「吹付断熱」への移行や、プレカット工法と呼ばれるコンピューターによる材料の加工で躯体精度が上がり、気密性が高まっています。
気密性が高まると、外からの騒音を遮る防音性能も良くなる一方、人の話し声やテレビの音が室内に響き、かえって聞き取りにくいといった現象も発生します。
その原因として考えられる「残響音」のメカニズムや、対策方法についてご紹介します。
目次
室内の不快な音響の原因は

残響音というのは、室内に残る音の響きです。生活環境における「音」についての調査※では、約4割の人が自宅内の音や響きを気にしていることが分かりました。
現代の住宅には音が響きやすい理由が2つあります。
まず、気密性が高くなっていることです。開口部には気密性の高いサッシを設置し、すき間を極力なくした断熱性・防音性の高い構造を持った家が増え、また、断熱方式も断熱材を壁や屋根に吹き付ける吹付断熱が多くなったことで、すき間のない施工が可能となり、密閉性が上がったことも要因の1つとして考えられます。
もう1つは、音が反響しやすい内装材が主流になったことです。
昔の住宅に多く使われていた畳や土壁には、音を吸収する性質(吸音効果)がありましたが、昨今は和室の採用も減少し、土壁に至っては新築でほとんど見かけなくなり、一部に漆喰が採用されている程度です。
床のフローリング材や、壁・天井に使われるビニールクロスは音を吸収せず、反響しやすい性質があるため、生活音が部屋の内部にこもりやすい環境となります。
音が響きにくい工夫を施した商業施設などの非住宅

商業施設などには、ガヤガヤとした雑音が聞こえる施設と、そうでない施設があります。大勢の人がいても雑音が気にならない建物は、吸音効果のある天井材を使っていることがほとんどです。
一見、普通の天井材に見えても吸音素材の仕様によって、音が反響することを抑え、近くで喋っている声が聞き取りやすくなる設計になっています。これは一般的な住宅でも同様で、内装材を変えるだけでもテレビの音や足音、生活音が気にならないような状態にすることが可能です。
現代の住宅における音環境を考える
ただ、現代の住宅ではフローリング材やビニールクロスを採用することが主流になっており、どうしても残響音が多く発生しやすい環境となっています。
ここでは残響音がどのような影響をもたらすのか見ていきましょう。
赤ちゃんへの影響

赤ちゃんは目の届く場所に寝かせる必要があるという理由から、リビングにスペースを作って寝かせるといったご家庭も多いのではないでしょうか。
リビングの床が、フローリング・ビニールクロスの場合は特に音が響きやすく、眠っていることが多い赤ちゃんにとっては生活音が耳障りになることも考えられます。
生活音の残響が原因となって赤ちゃんが泣き出せば、その声が反響して家族全員のストレスになるという、負のスパイラルに陥ってしまうことも考えられるでしょう。
テレビが付いていると話し声が聞きにくい

テレビの音も反響してしまうと耳障りになり、同時に家族同士の会話もしづらくなってしまいます。
音が響く時間(残響時間)は長いほど、不快で聞き取りづらい特徴があり、快適に過ごすためには音の環境も大事です。こうした不快な音の響きを抑えるには、室内の「吸音力(音を吸収する能力)」を上げることが必要です。
吸音力を上げるリフォームとは
残響音を減らすための対策には、音を抑える内装建材を活用することが大変効果的です。
ただ、単純に吸音すれば良いというわけではないのが注意すべき点です。声などの聴き取りやすさを考慮した最適な残響時間は、部屋の容積や用途によって様々です。
残響音を抑えると、家族の話し声やテレビの音が小さくても聞き取りやすくなります。
場所ごとに適切な吸音材を

リビングが広ければ音の響きを和らげ、話し声などを聞き取りやすくしてくれる天井材が良いでしょう。遮音と吸音の効果を併せ持つ壁材もあるため、テレビの音が反響してうるさく感じる場合は、天井だけでなく壁も一緒にリフォームするとよいでしょう。
また、近年は在宅勤務をする方も増えてきています。寝室や個室で会議をしている場合、躯体(くたい)を伝わって音が漏れていることもあります。会議がある在宅勤務を前提にした場合、小さな部屋であれば壁・天井を吸音材や遮音材で囲うのもよいでしょう。
まとめ
一般住宅における室内の音がそこまで気にする程なのかと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
日常生活の中では気付きにくいですが、残響音が減ることで今まで雑音によって発生していたストレスも減ることを考えると、クロスの張り替え工事を行って吸音材に変更するという選択肢も悪くないでしょう。
防音室のような音を漏らさない・音を整えるといった本格的なものでなくとも、吸音材を使用することで音の反響を抑え、家族全員のストレスを低減する効果が期待できます。
雑音が気になっている方は、防音パネルや吸音建材による改善を検討してみてはいかがでしょうか。
※ここに掲載されている情報は2022年12月12日時点のものであり、ご覧いただいている日と情報が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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