騒音対策に役立つ防音材の使い方|防音材の種類や特徴も解説 騒音対策に役立つ防音材の使い方|防音材の種類や特徴も解説

騒音対策に役立つ防音材の使い方
防音材の種類や特徴も解説

居住空間の騒音対策の1つとして、防音や遮音性能のある建材を導入しようとお考えの方も多いのではないでしょうか。

集合住宅で周りの生活音に悩まされたり、幹線道路や電車の線路沿いの家屋の場合には、屋外の騒音が気になったり、また逆に自身で発生させた音が周りの騒音となるケースも少なくありません。特に昨今、防音や騒音対策に関するリフォームも増えてきており、住宅建設やリフォームの際に防音対策も検討しておくことをおすすめします。

そこで注目したいのが、吸音材や遮音材などを使って騒音を小さくする方法です。ただ「吸音」や「遮音」など、それぞれの特徴を生かした活用法があるため、注意が必要です。

今回はそんな騒音対策について、防音材を中心に効果や対策方法を解説します。

目次

壁による騒音対策

壁による騒音対策

騒音対策を考えるうえで、その空間を1つのハコと考えて、天井・壁・床の全てに対策を打つ必要があります。1ヵ所でも対策が出来ていないと、その部分から音が入ってしまい結果的に空間自体の防音効果が満たされない場合があります。それを踏まえて、まず壁をみていきましょう。

壁の防音性能については、建物の建材や構造、壁そのものの厚みなどによって大きく変わります。

そこで「壁」による騒音対策に関しては、対象となる物件や目的に合わせた防音材を選び、対策することが必要となります。

また賃貸物件の場合には、勝手に工事や防音対策できないケースも多いため、まずは大家さんに相談することをおすすめします。あまりにも騒音がひどい場合には、家主側で対処してくれる可能性もあります。

壁の防音構造

壁の防音構造

防音対策を施す際は、音の伝わり方や特徴に合わせて工事をしないと、せっかくの防音工事が無駄になる可能性があります。

そこで防音効果を上げるために、音が伝わる仕組みとして、音の伝わる種類や特長を理解していきましょう。

壁や天井などへの音の伝わり方には、主に下記の4つの種類があります。

  • 入射音:音源から壁や天井にあたる音
  • 反射音:壁や天井などから跳ね返る音
  • 透過音:壁や天井などを透過する音
  • 吸音:壁や天井などに吸収される音

これらの音を防音するのが『防音壁』と呼ばれる外壁や内壁です。この防音壁には『遮音性能』と『吸音性能』という2つの性能があります。確実に音を軽減するためには、この2つを組み合わせる必要があるため、特徴をしっかりと理解しましょう。

遮音性能

遮音性能とは、「入射音」と「透過音」の差で、どの程度遮ることができるかを表した性能です。遮音壁が利用されている場所としては、音楽ホールや音楽室などがあります。

吸音性能

吸音性能については、入射音を反射せずに吸収する性能を指します。

音楽室や音楽ホールだけではなく、一般的な家屋でも壁の内部に「吸音材」と呼ばれる綿やスポンジ状の建材を用いるケースがあります。吸音材には保温や断熱にも役立つ特徴があるため、上手に使うことでさまざまな効果を期待できるでしょう。ただし、湿気などに弱い特徴があるため、使う場所には要注意です。

遮音と吸音の関係

遮音と吸音の関係

壁による防音対策をする際は、遮音材となる密度の高い構造や建材だけで施工すると気密性が高くなり過ぎてしまい、音が室内で不自然に反響してしまいます。このような現象は、RC構造(鉄筋コンクリート造り)やSRC構造(鉄骨鉄筋コンクリート造り)などで起こりやすいのが特徴です。

そこで、このような構造の場合には、吸音材と呼ばれる「音を吸収する」効果のある建材を壁に貼り付けるなどの処置を行い、音響の調整をするのが一般的です。

一方で、木造や軽量鉄骨などの遮音性の低い構造の建造物に対し、吸音材のみで防音対策を行った場合には、吸音しきれなかった音が簡単に外へ漏れてしまう可能性があります。そこで防音対策をする際は、吸音材でできるだけ音の響きを抑え、さらに遮音材で音の透過を防ぐことが重要です。

使い方としては、壁の外部に吸音材を設置するケースと、内部に吸音材を設置するケースがあります。一般的には、建築工事の際は内部に設置し、あとから施工する場合には、外部に設置するケースが多くなります。

壁を使った上手な防音対策

壁を使った上手な防音対策

集合住宅などにお住まいの場合に、近隣の部屋や上層階の部屋から生活音が聞こえてきて不愉快な思いをしたことがある方は多いことでしょう。

これは一般的に、音が空気や固体に伝わって聞こえてくることで起こります。そのため、これらの音を軽減するためには、音が伝達してくる「モノ」を特定して対処する必要があります。

音の伝達の仕方には、主に次の2種類があります。

  • 空気伝搬音
  • 固体伝搬音

それぞれ解説します。

空気から伝わる『空気伝搬音』

空気伝搬音は、空気が振動することにより伝わる音です。

人の声やテレビや楽器などの、耳に入ってくる音の多くが、この空気伝搬音です。空気伝搬音の特徴は、音源から離れることでどんどん音が小さくなることです。次に解説する固体伝搬音についても、最終的に人の耳に入ってくる段階では、基本的に空気伝搬音となります。

物から伝わる『固体伝搬音』

固体伝搬音とは、壁や床、窓ガラスといった、物体を通して振動して伝わる音です。

例えば、マンションなどの上層階で掃除をしている時に、コンコンと掃除機が壁や家具に当たって発せられる物音などです。また、テレビや音響設備などでも、重低音を床などに響かせ、振動させながら伝達する固体伝搬音もあります。

これらの音も、そのほとんどが空気伝搬音となって耳に入ります。また固体伝搬音を完全に消すことは難しいため、空気と固体の両方で対策することが大切です。

壁の防音方法

壁の防音方法

壁で防音をする際には、用途に合わせた防音材を選ぶことが重要です。特に内壁と外壁では、建材の使い方も異なるため、適材適所に防音建材を使い分ける必要があります。

以下では、防音材の中でも壁に用いられる「吸音材」と「遮音材」について詳しく解説します。

吸音材

吸音材は、生活のなかで気になる生活音や衝撃音といった騒音を吸収する効果が期待できる建材の1つです。

吸音材は、主に以下のような素材が使われています。

  • グラスウール
  • ロックウール
  • フェルト
  • 木毛セメント板

それぞれ解説します。

グラスウール

グラスウールとは、ガラスを繊維のように細く加工し、綿状にしたものです。ガラス繊維が綿のように絡み合うことで空気の層ができることで、吸音効果が期待できます。またグラスウールは、吸音性以外にも断熱性や不燃性が高く、軽くて扱いやすいのが特徴です。

特に中音域から高音域の吸音効果が優れているため、反響が気になる場所への使用がおすすめです。グラスウールは石膏ボードや遮音シートなどとの組み合わせにより、高い防音効果を発揮します。

ロックウール

ロックウールとは、天然の鉱物を高温で溶解して遠心力によって吹き飛ばし、綿菓子のように加工した建材です。綿菓子のように絡み合った繊維が作る空気の層により、吸音性を高めています。

またグラスウールと同様に防火性や耐火性にも優れており、古くから建物の耐火材などにも使われています。

ロックウールは、その見た目や使い方からアスベストと間違われるケースもあります。しかし、まったくの別物であり安心して使用できます。

ロックウールの吸音材としての特徴は、低音から高音まで幅広く音を吸収できることです。

フェルト

フェルトといえば一般的に羊毛を加工したものですが、建材としては羊毛以外にもポリエステルや合繊反毛ニードルなど、化学繊維を材料とした物もあります。

フェルトを吸音材として利用する場合は、吸音効果を高めるために繊維を細かく密集させる必要があります。フェルト素材の吸音材の特徴は、特に高音域の吸音効果に優れ、音の振動や反響を抑えられる点です。

木毛セメント板

木毛セメント板は、リボン状に細長く加工した木材の繊維と、セメントペーストを圧縮して成型した板状の建材です。

国内でも、古くから燃えない建材として知られ、ヨーロッパでは100年以上前から使われています。

木毛セメント板の特徴は、木材を主原料としながらも腐りにくく、シロアリにも強いという点です。

吸音材としては、残響を減らす効果があるため、コンサートホールなどの音響効果の高い建物でも利用されています。

遮音材

遮音材とは、音が壁や天井を通過して、反対側に響かないように遮る材質です。遮音材は、出た音を跳ね返し、内部や外部に音を通しにくい構造をとなっています。

特に重低音ほど遮音効果が高くなる建材が多いです。床材から壁材、天井まで全てに遮音材を用いると、室内に音が響きやすくなるため、室内には調音材と呼ばれる室内の音の反響を抑えたり、音の響きをコントロールする建材を併用します。

防音材を使用する場所

防音材を使用する場所

一般的な住宅の防音材は、壁はもちろんのこと、以下のような場所でも利用されています。

  • 天井
  • 開口(ドアや戸)部

それぞれ遮音と吸音に分けて解説します。

天井や壁の遮音

天井や壁の遮音性能を高めるためには、外壁や内壁の下地空間に吸音材を詰めるのが一般的です。

通常、マンションなどの内壁には、下地が石膏ボードだけの壁を用いるケースが多いため、音が響いたり漏れたりするのが欠点です。しかし、遮音性能が高い処理を施した内壁の場合には、室内外を静かな環境にすることができます。

ただ、遮音材にはそれぞれの特徴があり、用途によって音を消すものから跳ね返るものまであります。そしてそれぞれの特徴を活かし、上手く組み合わせることが大切です。

音を消して静かな環境を作りたいときは吸音材を下地に詰める。また、シアタールームや音楽スタジオを作りたいときは、遮音材でその室内だけ音を綺麗に反響させる仕組みを利用します。

開口部の遮音

防音で忘れてならないのが開口部となるドアの部分です。防音ドアの多くは、廊下や他の部屋への音漏れを防ぐために遮音材を使用しています。

防音ドアを採用する際は、音漏れを防ぐためにドアと壁の間の隙間を無くすためのパッキンを使い、グレモン錠(レバーハンドルがロック機能を兼ねるドアノブ)を使用すると遮音効果がさらに向上します。

また、壁と同等の遮音性能のある防音ドアを採用することも、遮音効果を高めるために重要な要素です。

床の防振と遮音

一般的にRC建築物(鉄筋コンクリート)やSRC建築物(鉄骨鉄筋コンクリート)の床は、構造上防振が求められることが多いのが特徴です。一方木造建築物の場合は、材質の特性から遮音対策が必要となります。

RCやSRC建築物はコンクリートの比重が重く、遮音性能が高めですが、木造建築物はRCやSRC建築物と比較すると遮音性能が格段に下がります。

そこで、遮音と防振性の高いゴム製の遮音マットが多く使用されています。

吸音材を使う場合の注意点

吸音材を使う場合の注意点

吸音材は、使えば使うほど防音効果が期待できますが、使い方を間違えると不自然な環境となるケースがあります。

以下では、吸音材を使用する際の注意点を解説します。

湿気に注意する

吸音材には、綿菓子やスポンジのような多くの空気層があります。そのため、湿気が多い場所に設置すると空気層が水分を吸収し、防音効果の減少や、カビなどの衛生上の問題が起こるケースがあります。

そこで、吸音材を使う際は、部屋の湿度調整や設置場所などに注意する必要があります。

吸音材の量に注意

吸音材を使用する場合には、床や壁、天井などの材質や、部屋の用途によって使う量を加減する必要があります。使いすぎると、全く音が反響しない不自然な環境になる可能性があるため、注意が必要です。

吸音材を貼る場所に注意

シアタールームや楽器などを楽しむ部屋では、音源を設置する場所によって吸音材の貼る位置を調整しなければなりません。

吸音材は、音の反響を調整するために使用します。そのため、貼る場所が適切でなければ、意図する音と違って聞こえる場合があります。吸音材を貼る位置や量については、十分に計算した上で工事を行いましょう。

家具の配置や量に注意

部屋に家具を置いたり人がいるだけでも、部屋の防音効果が変化します。

特にRC構造やSRC構造の部屋は、音が響きやすいという特徴があります。しかし、家具や人が入ることによって音が響きにくくなる可能性があります。

そこで音響効果を高めたい部屋の場合は、家具や吸音材の配置場所、分量を正しく計算することが大切です。

吸音材の設置方法に注意

吸音材に使われる建材の特徴は、繊維状の柔らかい材質のものが多いところです。そのため吸音材を壁などに固定する場合には、ただテープで留めるというわけにはいきません。固定する場所にも配慮をしながら、しっかりと工事を行いましょう。

騒音対策と防音材のまとめ

このように防音材を用いて騒音対策するには、遮音材と吸音材のどちらかだけでなく、上手く組み合わせることが大切です。また、材質だけでなく貼る場所や量も考慮することが大切です。

※ここに掲載されている情報は2022年9月2日時点のものであり、ご覧いただいている日と情報が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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