海と緑を感じさせる「スカイロビー」に長く美しさを保てる木目突板ダイライトを

木目突板ダイライト

なんばスカイオ|大阪府

海と緑を感じさせる「スカイロビー」に
長く美しさを保てる木目突板ダイライトを

大阪難波の新しいランドマークとして生まれた「なんばスカイオ」。
31階建て超高層ビルの10階、オフィスフロアへのエントランスとなる「スカイロビー」の天井に、木目突板張りダイライトが採用されました。 選ばれた経緯やデザインのポイントなどについて、設計を担当された大林組の三谷氏に伺いました。

  • お話を聞いた方

  • 三谷
  • 株式会社大林組 大阪本店 建築事業部 プロジェクト設計部 課長
    三谷 勝章 氏

関空につながるゲートウェイ「なんばスカイオ」

2018年10月17日に開業した「なんばスカイオ」は、南海電気鉄道(株)が旧本社跡に建てた、南海なんば駅直結の都市型複合施設です。
「受注後、南海電鉄さんと何度も話し合いをする中で、関西国際空港につながる関西のゲートウェイとして、難波のフラッグシップとなる施設をつくろう、と話がまとまりました。これまでの、どこか親しみやすい下町的な繁華街としての難波と、空港と接続しグローバルな環境へと変化していく、これからの難波をつなぐような施設にしたい、というのが全体のコンセプトです」と設計を担当した三谷氏は振り返ります。

海と緑、自然を感じさせる要素を空間デザインに反映

木目突板ダイライト

10階スカイロビーの全景。木質天井材、タイル貼りの壁、石の廊下で構成された「自然」を感じさせる空間は、訪れる人々に落ち着いた印象を与える。

南海電鉄のなんば駅は、関空や和歌山方面へ向かう南海本線と、和歌山県の高野山へ向かう南海高野線の出発地となる駅(上記コラム参照)。海沿いを南下するルートと山側へ向かうルートの起点となることが、設計のコンセプトづくりのきっかけになったと三谷氏は語ります。

「海に近いエリアと緑が多いエリアをつなぐ場所がなんば駅であるということで、海と緑の要素をデザインに取り入れたいと思いました。隣にあるなんばパークスなどは、都市の中にしてはとても緑が多い施設です。街でありながら緑と融合している。そういう思いを、このなんばスカイオでもできるだけ建物の中に組み込んでいきたいと思いました。例えば、商業空間とオフィス空間の境目となる『スカイロビー』の周辺には緑を採り入れ、空間全体も素材の質感を楽しめるようにしています。また、誰でも出入りできる公共空間と、オフィスとしてのプライベート空間の区切りとして、厳かな品格が求められる場所でもあるので、そのバランスをとった設計を目指しました。」

木と石とタイルで構成された幻想的な空間に

木目突板ダイライト

オフィスゾーンへ向かう時の気分を切り替えるため、エレベーターホールには、ダークなエボニーの木目柄を採用。オープンスペース側のチークとの対比が印象的。

そして今回、その「スカイロビー」の天井材として、DAIKENの木目突板張りダイライトが採用されました。

「金属的な冷たい空間ではなく、自然を感じられるものを纏ったデザインにこだわりました。壁面に張っている青みがかったタイルは、日射しを浴びると表情が刻々と変化します。これは海をイメージさせる要素で、難波の雑踏とは離れた落ち着いた空間をつくりたくて採り入れました。石の床や、壁面の装飾なども、空間全体の調和を考えて選んでいます。天井材は、当初シンプルなパネル天井を張る予定でしたが、スカイロビーの在り方を考え、自然を感じさせる木目天井に変更することにしました。

天井の木材は、オープンエリアとエレベーターホールで変えています。これは、用途の異なる空間にヒエラルキー(階層)を持たせたいと思ったからです。カフェなども入り、一般の方も利用されるオープンエリアにはやや明るめのチーク。オフィスゾーンへ向かう場所エレベーターホールは、落ち着いたエボニーを使っています。壁面のタイルの色ともうまく調和できたと思っています。」

ダイライトのメンテナンス性や施工性を高く評価

木目突板ダイライト

木目天井材のスリットから排煙する仕組みをとっている天井面。排煙口のない天井デザインが、美しい大空間を構成。

施主である南海電気鉄道(株)様は、メンテナンス性を重視されており、維持管理も含めて美しさを長く保てる素材にする必要がありました。

「天然木の無垢材も候補に挙がりましたが、ねじれや変形が予想されるため、突板で候補を絞ることにしました。また、今回は天井懐の中を排煙用チャンバーにするため、天井仕上げ面とすき間を開けて施工する必要もあったのです。天井板だけ浮いているような状態で施工でき、形状が安定しているものということで、突板を貼る基材としてダイライトを選択しました。公共の大空間ですので、もちろん不燃性の高さも採用のポイントでした。

また、このフロアにはカフェも入るため湿気対策も行う必要がありました。実際に施工してみると、表面の平滑度はとても高く満足しています。開業後、約1年経ちますが特にメンテナンスが必要になったこともない、と聞いています。」

意匠性と省メンテナンス性に施主やテナントから高い評価

木目突板ダイライト

スカイロビーに繋がるエレベーターのある、1階オフィスエントランスにも同じ天井材が採用された。ホテルのような品格のある空間を演出している。

竣工後、施主様やテナントからの評価も非常に高かったといいます。

「施主様は、スカイロビーの空間を非常に気に入ってくださいました。天井素材も非常に安定していて、維持管理がしやすそうだ、との声もいただいています。また、テナントに入られる予定の皆様をご案内した際、スカイロビーを見て〝おお?という驚きの声が上がっていましたので、機能面だけでなく空間としても高い評価をいただけたと感じています。」

オフィスフロアには「ハイブリッド天井」を採用

木目突板ダイライト

オフィスフロアに採用されたダイケンハイブリッド天井。省施工・短工期で高い耐震性を叶える天井工法は、オフィスで働く人たちの安全を守ります。

オフィスフロアには、「ダイケンハイブリッド天井」もご採用いただきました。

「『ダイケンハイブリッド天井』は、天井裏の部材が少なく空調設備などが自由に配置できるので、設計担当として有難いですね。天井材としても素晴らしいので、今後も使っていきたいと思っています。ただ、施工の時もっとカスタムできると良いと思います。商業施設などでは店の入れ替えもよくあるので、後で改修する時に継ぎ足したり、部分的に補強できたりするなど、施工の自由度が高まると更に良いですね。」

お客さまの記憶に残る場所が、結果的に街の景観につながる

最後に、三谷氏自身の素材に対する考え方や、公共・商業施設の空間づくりの方向性について伺いました。

「私自身の設計スタンスで言うと、長く使って味わいが出てくるものをできるだけ使っていきたいんです。今回の天井も経年変化で少しアメ色がかってきたりして、そういう材料をできるだけ使っていきたいですね。

今後も大事にしていきたいのは、そこで過ごす人にとっての快適さ。日当たりや風通しという物理的なものもありますが、もっと心理的な部分も考えたい。

例えば、今後の公共・商業空間は『物を買う』『用事を済ませる』というだけでなく、お客さま自身がその場所を他の人たちと“共有”することに価値が向かっていくのではないかと思っています。

そこに滞在したことが、居心地がいいとか、みんなとの思い出になる…といった、記憶に残る場所づくりですね。それが結果的に街の景観や魅力につながっていく。自分が携わったポイントが、連鎖的に街につながり、街の雰囲気そのものを創っていく存在になればいいなと思っています。」

今回担当されたなんばスカイオも、難波という街の一部となり、訪れる人たちの記憶に残り続ける施設になるでしょう。

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