DAIKEN Architect News vol.9 | 特集2 「音」のお悩み、ご相談ください

住まいや様々な施設における音に関する問題を一手に引き受け、よい音空間を提案しているDAIKENサウンドセンター。
なかなか重要性が理解されにくい遮音や吸音といった問題に関して、どのような取組みをしているのか、同センターの井上直人氏にお聞きしました。

音響製品部 サウンドセンター長 井上 直人 氏

お話を聞いた方 音響製品部 サウンドセンター長 井上 直人 氏

音の響きを良くする
空間づくりをサポート

 DAIKEN サウンドセンターは1987 年に設立されました。そのきっかけとなったのは、木質繊維板「インシュレーションボード」を使った天井材です。この天井材を使うと室内の響きが抑えられ、声が聞き取りやすくなります。ただ「良い響きにするにはどれ位使用したらいいのか」という問い合わせが増えたのです。そこで必要な量と効果を数値化するだけではなく、実際に体感していただけるよう、ショールームも生まれました。
 サウンドショールームには、音響体感ルームや防音ルームがあり、当社の防音建材を使った時の音の響きや防音レベルを実際に耳で確かめていただくことができます。

音の響きを良くする空間づくりをサポート

音に対する悩みを
研修会や相談会で解消

 防音や吸音に関する相談は、お電話でいただくことが多く、毎月約1000 件のお問い合わせがあります。音に対して相談窓口を設けている企業はほぼありませんので、駆け込み寺のような存在になっているのかもしれませんね。また、具体的な案件があればメールなどで図面を送っていただき、解決策を講じた提案書を作成するサービスも行なっています。ただ、どの程度の効果が見込めるのかを事前に体感したいというオーナーさんが多いので、ショールームに防音室をご用意しているのです。
 建築に携わっておられる方なら、皆さん音に関する苦情はお受けになったことがあると思いますので、重要性は認識されています。しかし、どこに相談すればいいかわからない。そこで当社では、地道な作業ですがPR のために全国で「研修会」を年間50回ほど開催しています。また、お客様が求めている防音、吸音のレベルをより細かく伺うことが必要なケースでは、「相談会」の場でお受けしています。その方の潜在的なニーズがどこにあるのかをお聞きして、体感していただきながら最終的な仕様を決めていきます。こちらは現在、年間600 件ほどお受けしています。(2019年度実績)

音の問題を治療する
「医者」の役割

 公共建築物の音に関する相談は、住宅に比べて建築後の場合が非常に多いです。施主様から苦情が来てはじめて問題になるんですね。また、建てる前には音の環境に対してコストをかけることが理解されにくいという実情もあります。
 そして、解決しようにも「どのように対処したらよいのかわからない」という声も多いです。例えるなら、病気になったけれどもどうやって治療したらいいかわからない。薬があっても、どの薬をどれぐらい飲めばいいのかわからないという状態です。そこで、私たちにご相談をいただくのです。サウンドセンターでは、まずお困りごとにどんな問題が潜んでいるのかを問診して、それを解決するお手伝いをします。処方箋を出して、効用の説明をし、結果どうなったら完治です、という判断基準まで示します。いわば音の問題に対する医者のような役割です。
 現在、住宅防音に対しては様々な要望に対応できる防音建材を取り揃えております。ただ公共施設向けに対してはこれまで対応できておりませんでしたが、ここに来て公共施設向けの防音建材のラインアップも増え、処方箋を出して「うちの薬どうですか」と製品提案ができるようになりました。

専任スタッフが最適なご提案

専任スタッフが最適なご提案 部屋の大きさから最適な音の響きを算出する「残響シミュレーション」など、数値による裏付けとともに、これまでの豊富な経験をベースに、お客様のご要望や好みを十分考慮した、最適なプランをご提案いたします。

音の
設計ポイントについて

 設計前であれば配置計画で多くの音の問題は解決できます。例えば、音が聞こえては困る部屋と音を出す部屋の間に空間を設ければいいのです。そのうえで、声が聞き取りやすいことなどを考え、響きを抑えるために当社の「ロックウール天井材」を張っておけば、8割から9割ぐらいの音の問題を解決できます。
 ただ、音楽室のように本格的な音響設計が必要な場合もあります。会議室なのか、音楽室なのか、カラオケルームなのかによって設計は全く異なります。例えば会議室なら、人の声の周波数だけを考えればいいですが、音楽室なら低音から高音まですべてが気持ちよく聞こえなければならないからです。

多くの人にとって
「いい音環境」とは?

 ところで、いい音環境とはどのよう響き方でしょうか。京都などの「お寺の和室の響き」といえば、多くの方に共感いただけるのではないでしょうか。全くの無音ではなく、鳥の鳴き声など自然の心地よい音があり、室内の音がスーッと消えていく感じです。
 音は人の成長にも大きくかかわっています。最近は幼稚園や保育園を鉄道のガード下などに設けることがありますが、そのような環境では大きな声で話すしかないため、騒がしい子になりがちといいます。また、音がワンワン響く室内は耳の発達にもよくありません。学校建築では、音環境の指針がありますが、幼稚園や保育園にはまだ指針がありません。部屋の静けさや音の響きに関するアカデミックスタンダードをつくるワーキンググループに大建工業も参加しています。子どもたちへのいい音の基準ができれば、よりよい音環境を求める流れがさらに加速すると期待しています。
 今後は、私たちの発信力をより高めて、上質な音環境がある空間を増やしていきたいです。特に公共の施設においては、潜在化している問題が多いので、解決できる建材の開発と、その効果を提示できるサウンドセンターのサポートの両軸で展開を広げたいですね。

「防音建材は、数値だけでは感覚的にわかりにくいものです。どれくらい入れれば効果があるのかは秋葉原のショールームで体感していただけます」

「防音建材は、数値だけでは感覚的にわかりにくいものです。どれくらい入れれば効果があるのかは秋葉原のショールームで体感していただけます」

DAIKEN 音響製品 採用事例

幼稚園/保育施設

認定こども園 リーチェル幼稚園
認定こども園 リーチェル幼稚園 天井:キントーン、クリアトーン12SⅡ

音が響きすぎるというお悩みに、天井用吸音パネル「キントーン」を吊り下げて配置し、音環境が改善しました。入口付近に施工したクリアトーンは、吸音性能と調湿性能を合わせて持っています。

天井:キントーン、クリアトーン12SⅡ

商業施設

株式会社エーワンオートイワセ 本社ショールーム
株式会社エーワンオートイワセ 本社ショールーム 天井:キントーン(特注品)

音が響きやすい大空間の自動車ショールームに、響きを抑えるキントーンを施工。意匠性の高さが空間のアクセントになっています。

天井:キントーン(特注品)