ホーム > 公共・商業施設 > DAIKEN Architect News > DAIKEN Architect News vol.4 | 特別インタビュー1

DAIKEN Architect News vol.4 | 特別インタビュー1

畳で作り出す 極上のおもてなし

目まぐるしくトレンドが移り変わる観光業界。
近年ではシニアのちょっと贅沢な旅行や、外国人観光客の増加など、多様なニーズが生まれています。
そんな変化の中で、60年以上業界をリードし続ける藤田観光様。
今回は、時代の流れによる日本のホテル・旅館の変化や、2017年4月に同社が開業した高級旅館「箱根小涌園 天悠」にてこだわって選ばれた「畳」という素材の魅力について伺いました。

藤田観光株式会社 管理グループ プロパティ担当 課長 齊藤 史朗 様

お話を聞いた人 藤田観光株式会社
管理グループ プロパティ担当 課長
齊藤 史朗 様
時代の流れに合わせて
宿泊施設も柔軟に対応

かつて、創業者である藤田家が所有していた別荘地や邸宅などを、戦後の復興に取り組む人びとに広く開放するため、ホテルやレストランなどの事業を興したことが藤田観光の始まりです。
ここ箱根小涌園も藤田家の所有地で、長らく大衆路線の温泉・宿泊施設を続けてきました。昔は観光バス2台~3台でずらっと訪れる、というような団体客が主流。400畳の大宴会場やカラオケ、ディスコといった娯楽施設もある大規模ホテルが人気だったんです。
しかしその後、徐々に団体旅行は減少。当社でも日帰り温泉テーマパークを開業し、団体客からファミリー層へとシフトしました。観光業は、時代の流れとともに大きく変わるニーズに、柔軟に対応していくことが求められています。

高級旅館「天悠」の特別客室「小涌谷」。椅子・机スタイルながら純和風な畳で、西洋と和を優雅に融合した「ハイカラ」がテーマ。
高級旅館「天悠」の特別客室「小涌谷」。椅子・机スタイルながら純和風な畳で、西洋と和を優雅に融合した「ハイカラ」がテーマ。

トレンドはシンプルで和モダン
客室は全て畳敷きに

懐かしくもどこかモダンな信楽焼の露天風呂浴槽が、150部屋全てに完備。
懐かしくもどこかモダンな信楽焼の露天風呂浴槽が、150部屋全てに完備。

最近では、旅のスタイルは個人旅行がすっかり主流になりました。また、1泊あたりに2~3万円かけてでも、個性ある高級旅館やホテルなどに泊まるお客様が増えました。箱根でもここ数年で、多くの温泉旅館が高級路線にシフトしています。
こうした流れを受け、当社でも2017年4月「箱根小涌園 天悠」を開業しました。地上9階建て・150室全室に温泉露天風呂付き、客単価は一泊二食付きで約3万円からの高級旅館。「天」という名前の通り、小涌園で最も高い場所に立つ宿泊施設です。
内装はシンプルでモダンな和風。装飾品はほとんど置かず、風景を切り取った大きな窓が、絵画のような役割を果たすイメージです。客室は全て畳敷きとなっていますが、寝具にはベッドを採用しています。これは、シニア層のお客様にとって寝起きがしやすく、布団の上げ下げが不要になるというメリットもあります。今のお客様は客室に従業員に入られることを快く思わない方も増えていますから、こういったニーズも早くから捉えていました。
おかげさまで集客は上々です。利用層はシニアが多く、また約3割が外国からのお客様となっています。箱根の絶景を望める露天風呂をはじめ、くつろげる客室など施設設備の面でも高い評価をいただいています。

シックで落ち着いた、高級感漂うエントランスがお出迎え。旅のはじまりを特別なものに演出してくれる。
シックで落ち着いた、高級感漂うエントランスがお出迎え。旅のはじまりを特別なものに演出してくれる。

畳の良さは「くつろぎ」
外国の方にも味わって頂きたい

客室内を全面畳敷きにしたのは、部屋に着かれたお客さまが、まずお茶でも飲んでゴロッと横になれる和のくつろぎ感を演出したかったからです。もちろん外国のお客様への和のアピール、ということも考えましたが、やはり「日本人には和の空間がいいだろう」という想いが一番先にありました。温泉に入ったあと、部屋中どこでも足を伸ばせたり、横になったりできるのは板敷きの空間にはないスタイル。日本人の心に馴染み深いものとなっているのではないでしょうか。そして、それを外国の方にもぜひ味わっていただきたいと思っています。

客室は和を基調とした、モダンなインテリア。畳と座椅子で、景色を眺めながらゆっくりとくつろげる。
客室は和を基調とした、モダンなインテリア。畳と座椅子で、景色を眺めながらゆっくりとくつろげる。

宿泊施設の畳に求める品質は
メンテナンス性と風合いの良さ

オープンから1年。多少のこすれなどはあるものの、目立つ汚れやキズは無く美しさが保たれている。
オープンから1年。多少のこすれなどはあるものの、目立つ汚れやキズは無く美しさが保たれている。

当社では「ホテル椿山荘東京」で料亭を経営しており、そこではイ草の本畳を使用しています。たしかに香りはいいのですが、キズや汚れに弱く、毎年おもて替えなどのメンテナンスが必要になります。「天悠」は150室あるので、さすがに本畳は手間・コスト面で無理がありました。そこで、初めは樹脂製の畳を選んでいたのですが「なにか工業的でおもしろくない」と感じていました。そんな時に、DAIKENさんの和紙畳を紹介いただいたのです。検討時には、実際に工場まで出向いて製造工程まで見学させてもらいました。
採用の決め手となったのは、やはり肌ざわりや風合い。はじめに触れた時に、樹脂畳よりも風合いがいいと感じ、採用に至りました。やはり元が和紙※1だからでしょうか。

インテリアに合わせた若草色の畳。室内にあまり色を使わないのは、箱根の絶景を楽しんで欲しいという意図が。
インテリアに合わせた若草色の畳。室内にあまり色を使わないのは、箱根の絶景を楽しんで欲しいという意図が。

色味については、客室のインテリアに合わせた若草色を採用しました。主張しすぎないカラー、しかも縁なしにしているので、シンプルな客室によく馴染んでいると思います。「天悠」が開業して1年ですが、それほどキズや痛みは目立っていません。通常の汚れであれば、拭き取るだけで済んでいます。
普通のホテルとの差別化を考えた時に、やはり「和の文化」で勝負がしたかった。そう考えた時に一番ふさわしいと思った素材が「畳」でした。ダイケン畳に出会えたこともあり、美しいと評判の客室に仕上がったと思います。

※1 機械すき和紙です。(コウゾ・ミツマタ等を使用した手すき和紙ではありません。)

時代は『モノからコトへ』
多様なニーズに応える施設を

藤田観光株式会社 管理グループ プロパティ担当 課長 齊藤 史朗 様

これからも、時代のニーズを取り込みながら新たな事業をご提案していきたいと思っています。
例えば、現代の旅行者の嗜好は「モノからコトへ」といわれています。施設を作るだけではなく、そこでどんな体験ができるのかといったことが問われています。当社でも、今後は大規模施設だけではなく「グランピング※2」「古民家再生」など小規模であっても個人のニーズを満たすことができる施設が注目を浴びるのではないかと考え、積極的に参入していく予定です。
また、2020年の東京オリンピックもあるのでインバウンド需要もまだまだ伸びると思います。外国人観光客向けには、当社では新たに宿泊特化型の低価格帯ホテルブランドを展開します。気軽に日本観光に使っていただける安さと、都内という立地の利便性を備えました。
ただ、やはり彼らも安さだけではなく「日本の文化体験」を求めている部分があります。だからこそ、「天悠」も外国人客から人気なのです。そんな需要に対して、畳という素材は魅力的に使うことができるでしょう。前述の古民家は、元々日本古来の建物なので畳が似合います。ホテルなどでも、畳があることで「日本らしさ」の体験になるのではないでしょうか。そういったニーズも想定しながら、これからも人々に癒しをもたらす施設づくりを続けていきます。

※2グランピング…グラマラス(魅力的)とキャンプを組み合わせた造語で、豪華なリゾートキャンプの意味。

箱根小涌園 天悠

箱根小涌園 天悠 2017年4月20日開業。
『自然と和のおもてなし』をコンセプトにした
全室温泉露天風呂付き高級旅館。
客室内の畳に、DAIKEN製品である
「健やかおもて 清流〈16 若草色〉」
をご採用いただきました。

PAGE TOP