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DAIKEN Architect News vol.3 | 採用事例インタビュー

オーナーと建築士が語る 図書館から発信する地域産材の良さ。 宮城県 大崎市図書館

国産材の需要の落ち込みにより林業が衰退しつつある中、DAIKENでは地域産材を床材などに加工し地元の建築物に役立てて頂く取り組みを行っています。
今回ご紹介するのは、地元の杉材を活用した『コミュニケーションタフDW』と、『ダイライト不燃パネル』を内装にご採用頂いた、宮城県 大崎市図書館。
採用の経緯や使い勝手についてお話を伺いました。

飯柴 耕一 氏(左) 田口 新一 氏(右)

お話を聞いた人 株式会社佐藤総合計画
副所長 一級建築士
CASBEE 建築評価員
飯柴 耕一 氏(左)
大崎市教育委員会
大崎市図書館
館長
田口 新一 氏(右)

図書館という開かれた場で
地元の木の良さを発信したい

宮城県大崎市は、2006年3月に旧古川市と6町が合併してできた新しい市。新市合併プロジェクトの一環で、生涯学習施設として新図書館が建設されることになりました。実は大崎市は市の総面積の約54%が森林で、かつては林業が盛んな地だったことから、公共施設には地元の木をできるだけ使うというのが市の方針でした。
また、図書館は誰もが利用できる開かれた場。そういった空間で地域産材を使うことで、地域の人をはじめたくさんの人に〝地元の木の良さ〞を知ってもらい、将来的な林業の発展につなげたい、という思いから、建設計画がスタートしたのだそうです。

「床に杉材を使いたい」
耐久性が大きな課題に

「床に杉材を使いたい」耐久性が大きな課題に
樹齢約70年の立派な原木を25本使用して作られた床材。赤みと白みのコントラストによって、表情豊かな温かみのある空間に。

「床に杉材を使いたい」耐久性が大きな課題に
床材に加えて、エントランスの壁と天井にも地域産材を使った不燃壁材を活用。来館者を柔らかな表情で迎え入れる。

設計を担当されたのは、多くの公共施設を手がけられている建設設計事務所の飯柴様。地域産材を活用するにあたり、大崎市の森林の多くを占める杉を床材に、と考えました。ところがここで大きな課題がありました。
「杉は柔らかいため傷や汚れに弱い。まして図書館はハイヒールの女性、活発に動くお子さん、車椅子やベビーカーの方など不特定多数の人が利用されます。寒冷地なので、冬には滑り止め付きの靴を履く人も多いですし、雪の持ち込みもあります。床材に、いかに傷・汚れに負けない耐久性を持たせるか、が課題でした。そんな時、DAIKEN さんに出会ったんです」(飯柴様)

DAIKEN の技術力で
強さと美しさを実現

DAIKEN の技術力で強さと美しさを実現
床材は147㎜の幅広サイズにすることで、大空間の広がりとゆったりとした居心地の良さが感じられるようになっている。

DAIKEN の WPC 加工技術があれば、天然木の風合いはそのままに耐久性を持たせられることを知りました。これならハードな環境でも耐えられるのではと、実際にサンプルをつくって事務所の一部に敷き、強度と手入れのしやすさを厳しくチェックされました。
「私たちが希望する地元の木に耐久性を加えられ、かつコストが膨らみすぎない建材を提供できる会社は DAIKEN さん以外ありませんでした。また、デザイン性を高めるために床材の幅を大きく加工して欲しい、天然木の風合いを活かした質感に仕上げて欲しいという要望にも、きめ細かく応えてくれました。とてもよい雰囲気に仕上がったので、『これを壁や天井にも使えないか』という話になり、不燃化処理を施した壁材・天井材もお願いすることになったんです」(飯柴様)

一日2000人が利用しても、
傷も汚れも見当たらない

2017年7月のオープンから約1ヶ月。以前の図書館では一日500人程度だった来館者数が、新図書館ではその4倍の2000人になりましたが、傷も汚れも見当たらない、と大崎市図書館の田口館長は言います。この夏は天候に恵まれず、毎日雨が降り続きましたが、濡れた傘や靴による汚れの染み込みもありません。
「本当に、お手入れのしやすさを実感しています。それに汚れだけでなく傷にも強い。実は私自身、施工中に『杉材だと、爪で凹むんじゃないの?』と半信半疑だったんです。すると『じゃあ館長さん、やってみてください』と言われて。やってみると傷一つ付かなくてびっくり!この床材の強さは実証済みです」(田口館長)

木の温かみに包まれ、
誰もがくつろげる場に

来館者数が増えただけでなく、来館者一人ひとりの滞在時間も長くなりました。床や壁にふんだんに木が使われていることで「癒される」「温かい雰囲気が気に入っている」と来館者から喜びの声を聞くことも多いと田口館長はにっこり。書架にも同じく大崎市の鳴子産材を使用し、空間いっぱいに爽やかな木の香りが広がっています。
「旧図書館ではほとんど姿を見かけなかった中学生や高校生が長時間過ごすようになりました。お孫さんと来られるご高齢者も増えましたね。小さいお子さんから大人までくつろげる場所にしたい、という建設計画当初からの願いが叶いました」(田口館長)

一日2000人が利用しても、傷も汚れも見当たらない
思い思いのスタイルでくつろげる大崎市図書館。空間全体を満たす木の香りも来館者をリラックスさせる。

地元の木を活用することは
林業の発信・発展につながる

地域産材を活用した図書館には別の自治体からも多くの見学者が訪れています。そんな中、田口館長は「図書館は市民の財産だからこそ、蔵書だけでなく建物そのものも価値のあるものにすべきだ」と感じることも多いそうです。
「私たちは幸運にも地域産材を利用できましたが、自治体の限られた予算では難しい場合も多いでしょう。しかし〝開かれた場〞である公共施設で地域産材を使うことは、地元林業の発展だけでなく材木を使った産業の発信にもつながります。実際、来館者の喜びの声は徐々に広がりつつある。公共施設に地域産材を使うことはとても意義のあることだと思います」(田口館長)

公共事業から、
木材活用の需要を生み出していきたい

公共事業から、木材活用の需要を生み出していきたい
本を読むための机やイスが、館内のいたるところに設置されており、来館者の滞在時間が大きく伸びている。

公共施設への地域産材活用には、設計を担当された飯柴様も大きな可能性を感じているといいます。
「公共事業で地元の木材を使ってその良さを示せれば、実際に使ってみたいという人も増えるはず。とくに木材は一生懸命使っていくことで、林業の需要をつくることが必要です。民間企業ではリスクがあって難しいですが、公共施設なら挑戦できる。実際、当社で現在設計に携わっている官公庁建設では地元産のヒバ材を使う予定です。他にも、学校や病院など地域産材を活かせる場所は多く、大きな可能性を感じています」(飯柴様)

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