強みを活かした3つの事業
大建工業グループは、75年余の歴史の中で培った技術で、社会やお客様が求める価値ある製品を提供し続けています。
機能性に優れた多彩な製品ラインアップで、住宅から公共・商業施設まで幅広いシーンで使用されています。



2022年度の実績
2022年度の素材事業の売上高は、国内外でのMDFの販売価格の上昇や、国内の住宅市場、公共・商業建築分野向けのダイライトの販売増はありましたものの、2022年8月1日以降のPWT社連結除外に伴う減収に、米国での木材製品の市況価格下落によるCIPA社の減収の影響が加わり、減収となりました。
営業利益については、PWT社連結除外に伴う減益の影響に加え、原材料価格の上昇に対し、売価への転嫁を進めましたものの、吸収するには至らず減益となりました。上記の結果、売上高は976億81百万円(前期比2.5%減)、営業利益は117億64百万円(前期比21.3%減)となりました。
※2022年度より、各セグメントの事業をより適切に評価するため、本社等の一般管理部門に係る費用のうち、報告セグメントに直接関連するものは各報告セグメントに配賦し、直接関連しないものについては、全社費用として計上する方法に変更しています。なお、2021年度の数値は変更後に組み替えた数値で表記しています。
2022年度は、地政学リスクによるエネルギー問題、木質資源高騰、海上物流の混乱であらゆる変動費が上昇する中、業界のプライスリーダーとして価格転嫁を進めるとともに、工場の構造改革を実行することで、収益改善につなげました。2023年度は、不透明な経済環境が続くと予測しています。当事業に与える影響としては、エネルギーコストと木質資源高によるコストアップです。そして、世界の再生可能エネルギーの割合が高まるにつれて木質資源の調達難は続くと思われます。MDF事業部では、所有する植林地を再植林することで森林を活かしながら守るというサイクルをつくり、サステナブルな社会の実現と事業化を目指します。販売面では、MDF事業がコモディティー化しないように、「新規用途開発」、「新規顧客/ 市場開拓」、「新事業立案」の3つの「新」を方針に掲げ、勇気を持って挑戦します。また、国内外問わず優秀な人財の確保と、若手社員には各種研修を通じて、海外で通用するグローバルマインドセットを持った「人」を育成してまいります。MDFを含む木質ボード事業は、木材が吸収した二酸化炭素を固定化し、建材に使用され、廃材という形でリサイクルされるサステナブルなビジネスです。安定調達、安定品質、安定販売に努め、社会貢献したいと考えております。
エコ事業部では、木質系のインシュレーションボード、畳おもて、鉱物系のダイライト、ダイロートンという4つの素材を国内で製造しています。インシュレーションボードは、主に畳の芯材や建築現場での養生ボードとして使用いただいていますが、原材料にリサイクルチップを用いており、長期に炭素を固定し続けられるという環境特性から、プラスチック代替や合板代替としての用途開発を進めています。機械すき和紙を原材料とする畳おもては、耐久性が高く、またメンテナンスも容易なことから、商業施設・宿泊施設への提案を強化するとともに、畳のある暮らしの魅力を、伝統と新たな価値を交えながら積極的に発信していきたいと考えています。ダイライトについては、木造住宅の強度を支える耐力面材としてだけではなく、不燃でありながら加工性に優れるという素材特性を活かして開発したルーバーや軒天が、公共・商業物件を中心に採用され、販売が広がっています。また、天井材ダイロートンについては、室内の音環境改善に効果を発揮する吸音特性などがコロナ禍において改めて見直され、ビル・店舗向けだけではなく、住宅向けでも採用実績が増えています。今後につきましても、サステナブルで機能性豊かな素材をいくつも有する強みを活かし、新たな空間価値を提案してまいります。



2022年度の実績
2022年度の建材事業の売上高は、ウェブ会議の急増やテレワークの定着などニューノーマルな生活様式の浸透を背景に、防音や遮音といった音環境改善に対するニーズが高まる中、提案活動を強化した音響製品で増収となり、前第4四半期連結会計期間に発生したドアの納期遅延や一部床材の受注制限による販売減の影響からも回復基調で推移したことから、増収となりました。
営業利益については、合板等の原材料価格の上昇に対して、2022年4月出荷分よりカタログ価格の改定を実施するなど、売価への転嫁を進めることで、第3四半期連結累計期間までの損失計上の状況からはようやく脱したものの、大幅な減益となりました。
上記の結果、売上高は930億円(前期比1.2%増)、営業利益は1億78百万円(前期比95.9%減)となりました。
※2022年度より、各セグメントの事業をより適切に評価するため、本社等の一般管理部門に係る費用のうち、報告セグメントに直接関連するものは各報告セグメントに配賦し、直接関連しないものについては、全社費用として計上する方法に変更しています。なお、2021年度の数値は変更後に組み替えた数値で表記しています。
建材事業の主軸である床材を当社グループ5工場、協力会社4社で生産しています。2022年度は重点市場である公共・商業建築分野に対し、新たな土足対応WPC 床材の発売と生産工程の増強を行いました。その結果、店舗等への採用が進み、同分野における床材販売を拡大することができました。住宅リフォーム・リノベーション市場については、高意匠マンション用防音床材「トリニティオトユカ45 リフォーム・リノベ専用」の市場投入を行い、ラインアップの強化を図りました。環境負荷軽減活動につきましては、床基材に植林木等の循環資源材料及び国産材の利用を進めており、循環資源材料については約85%、うち国産材については約45%の進捗となりました。また、7年前から全国の地域材を用いた床材の生産に取り組んでおり、活動開始以降、28都道府県の地域材を用いて、87物件に採用いただきました。「地元の木材でできた床材」として、お客様からも高い評価をいただいております。
今後、床基材には循環資源材料の100%利用を目指すとともに、表面化粧材や塗料などについても生物由来の資源採用に向けた検討を進めてまいります。また、地域材利用床材についても取り組みを発展させ、国産材の利用拡大に寄与するなど、環境対応度を上げながら、床材事業を発展させていきたいと考えております。
住機製品事業部では、ドアや造作材、各種収納製品などを中心に提供しています。2022年度は海外ではコロナ禍によるサプライチェーンの寸断やウクライナ情勢の長期化、国内では木質ボードのサプライヤーの災害、資源価格の高騰などにより、調達面では先行きが見通せない状態が続きました。その中で、リスクも踏まえた調達先開拓を積極的に進め、安定した製品供給に努めてまいりました。住機製品事業部の強みは、今ある部材や技術をアッセンブルし新しい価値を生み出すことです。例えばカタログには多種多様な品ぞろえの製品が掲載されていますが、その大部分においてミリ単位での特注対応が可能で、かつ短納期で提供することができます。その強みは、規格サイズだけでは対応することが困難な住宅のリフォームや、高齢者施設、幼稚園・保育施設といった公共・商業建築分野向け製品の提供に活かされています。ドアや収納製品は毎日手に触れる身近なものだけに、これまで培ってきた経験やノウハウを土台にした独自のこだわりは、製品の細部に至るまで盛り込まれています。当社製品をお使いいただくことで取引先様の取り組みにどう貢献できるのか、ユーザー様のお住まいがどう安心・快適に変わるのか、その価値を丁寧にお伝えしていきたいと思います。

〈施工事例〉









マンションリノベーション









2022年度の実績
2022年度のエンジニアリング事業の売上高は、オフィスビル等の内装工事の需要回復や、首都圏で手掛けるマンションリノベーションが好調に推移したことにより増収となりました。営業利益については、建設資材価格や労務費の上昇などにより減益となりました。
上記の結果、売上高は247億56百万円(前期比22.2%増)、営業利益は9億12百万円(前期比4.2%減)となりました。
※2022年度より、各セグメントの事業をより適切に評価するため、本社等の一般管理部門に係る費用のうち、報告セグメントに直接関連するものは各報告セグメントに配賦し、直接関連しないものについては、全社費用として計上する方法に変更しています。なお、2021年度の数値は変更後に組み替えた数値で表記しています。
エンジニアリング事業では、施工・工事を手掛ける7つのグループ会社を擁し、オフィスなどの内装工事、住宅リフォーム工事、首都圏でのマンションリノベーションの主に3つの事業を手掛けています。オフィスなどの内装工事では、東京五輪後に各種建設プロジェクトが再開・進行する中、首都圏、関西圏を中心に天井や壁といった建築物の内装の仕上げ工事の受注を拡大してきました。引き続き、2025年の大阪万博などの国際イベントもあり、建設業全体では2022年度から2025年度まで年平均1.2% 成長すると予想されています。工事需要が旺盛な一方、現場管理者や建設技能工の不足が大きな課題であり、これら人員を効率的に配置できるかが採算性を確保するための重要なファクターにもなっています。大建工業グループでは、半世紀以上にわたる事業活動を通じて、多くの工事業者様と信頼関係を築き、連携を深めてまいりましたが、引き続き、より強固で最適な施工・工事体制の構築に注力してまいります。また、首都圏で手掛けるマンションリノベーションについては、新築マンションの価格高騰が続く中、利便性の高い立地の中古マンションを全面改装しバリューアップして住むスタイルが広がり、これらのニーズに対し、2016年にグループ化したパックシステム社を軸に業容の拡大を進めてきました。リノベーションにおける意匠、品質のみならず、採算性を強化するため、製品開発を担う当社事業部門とも連携しながら、工期短縮や工事の騒音抑制につながる工法・製品の開発も進めています。今後も素材・建材の製造・販売だけでなく、これらを活かした空間づくりまでを手掛ける大建工業グループの強みの一翼を担う事業として、一層の強化を図ってまいります。
マンションリノベーション(中古マンション買取再販)
DAIKENの技術
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床材:WPCテクノロジー
木に「硬さ」という性能を。
WPC(Wood Plastics Combination)とは、木材組織にプラスチック樹脂を注入・充填し、硬化させるDAIKEN独自の加工技術。
天然木の自然な美しさや風合いは保ちつつ、優れた耐久性を実現します。
例えば、国産材の多くを占める杉は、材が軽軟なため、床材として使うには耐久性が低いのが課題でした。そこで、WPC加工により、杉を表面化粧材として用いた上質な味わいのある床材を開発。木が持つあたたかみを味わえる製品として、多くの施設でご採用いただいています。 -
畳:健やかおもて
和のくつろぎで、もてなす。
DAIKEN 健やかおもては、カビの発生やダニの増殖を抑え、撥水性に優れているためお手入れも簡単。
また、ひっかき傷にも強いという機能的な畳おもてです。
機械すき和紙を原料とすることでかもし出す、イ草にはない豊富な色揃え。例えば旅館など、海外からの来客をもてなすのに相応しい和のくつろぎ空間をつくります。 -
壁材:不燃壁材
美しい意匠と、優れた防火性を両立
ダイライトは、ロックウール(鉱物繊維)と火山性ガラス質材料(シラス)を原料とした「無機質エンジニアリングパネル」で、耐火性、耐腐食性能に優れた防火材料です。
ダイライトを基材として、表面に化粧仕上げを施すことで、優れた防火性能を発揮する不燃化粧壁材とすることができます。 -
天井:ハイブリッド天井
耐震性と省施工性を両立
東日本大震災後の建築基準法改正を受け、天井の耐震性能が求められている反面、既存の在来工法では施工の手間が増大するという課題がありました。
DAIKENでは、省施工・短工期で耐震化が可能な独自の新天井工法を採用。
在来天井の良さとシステム天井の良さを融合させた天井下地材です。 -
ドア:おもいやりドア
高齢者施設に我が家のくつろぎを
温かみのある心からくつろげるデザインと、バリアフリー・抗ウイルス・調湿など、ユニバーサルデザインに基づく機能の数々。
DAIKENでは、高齢者施設をはじめ、幼稚園などにもお使いいただける「DAIKENおもいやりシリーズ」をご用意しています。 -
音響:環境性能測定
最適な音環境空間をご提案
体育館や音楽室、店舗、ホテルの客室。
施設の広さや立地条件によりその空間に求められる音環境は異なります。
防音に関する豊富な知識とノウハウを揃えるDAIKENでは専任のアドバイザーが現場環境を測定し、空間に応じた最適なプランをご提示します。