建材とは?
住宅建築に欠かせない建築材料の種類や特徴を解説

建材とは、建築工事に使われる材料のことで、木材から金属、石や粘土など、さまざまな種類があります。またそれぞれの建材は、建造物や工事の種類によって適性が異なるため、建物に応じて適切な建材を使うことが大切です。

日本の建築物では、元来木材や土、粘土などを多く利用してきました。しかし、現代ではさまざまな建材や建築方法が取り入れられるようになっており、お客様の好みに応じて多種多様な住宅を建てることができます。

今回は、そんな住宅建築の工事で使用される建材について、住宅建材の種類や特徴を詳しく解説します。また、建材屋・建材店と建材メーカーの違いについてもご紹介します。

建材とは

建材とは

建材とは、建築工事で使われる材料のことを言います。一般的には、建築工事で使われる材料を全て建材と呼びます。
建材には、木材やコンクリート、金属や石など多種多様な種類があり、それぞれの特徴を活かして使用することが大切です。まずどのような建物を建てるかによって適切な建材がかわります。それぞれの建材の持つ特徴を理解することが大切です。
特に四季のある日本は、気温や湿度、天候の変化が激しく、自然災害が多い国です。そこで耐久性や気候の変化に強い、優れた建材が建材メーカーによって開発されています。

下地材と仕上げ材

下地材と仕上げ材

建材にはさまざまな種類がありますが、大きく分けると次の2つに分類できます。

  • 下地材
  • 仕上げ材

それぞれ解説します。

下地材

下地材とは、人目に触れない部分に使用される建材を言います。わかりやすくいえば、家の柱や土台などの基礎工事で使われる建材です。

日本家屋で一般的に使われる代表的な下地材には「構造用合板」があります。構造用合板とは、ある程度薄くした板を何枚も重ねた合板です。
この構造用合板を壁や床などに使用すると、耐震性の向上も期待できるため、地震の多い日本の建築物でよく利用されています。
もっとも身近な構造用合板は「ベニヤ板」と呼ばれる合板です。ただし、洗面所や台所などの水をよく使う場所では、ベニヤ板をそのまま使用すると水分により腐食する恐れがあることから、防水性に優れた耐水合板や耐水ボードが主に利用されています。
その他にも、内壁の下地としてよく利用される建材として、軽くて加工がしやすく、さらに断熱・耐火性の高い石膏ボードなどがあります。

下地材は、建物が完成すると目に触れることがほとんどないため、施工時にしっかりと使う場所やメリット・デメリットを把握しておく必要があります。お施主様には、どのような建材をどこに使い、どのように安全と安心を担保しているかを詳しく説明することで、信頼関係が強まるでしょう。

仕上げ材

仕上げ材は、外装や内装など、直接人目に触れる部分に使われる建材のことです。外装の仕上げ材には、屋根に取り付ける「屋根材」や、建築物の壁となる「外壁材」などがあります。

屋根材や外壁材には、非常に多くの種類があります。それぞれに耐久性やコスト、見た目にも大きく異なるため、相性の良い組み合わせや、お施主様の目的や好みによって最適な建材を選びましょう。

主な屋根材として、以下のような建材があります。

  • スレート
  • 鋼板(金属性の板)

また、主な外壁材としては、以下のような建材があります。

  • モルタル
  • サイディング
  • タイル
  • 木材
  • 石材

見た目やコストだけでなく、メンテナンスの必要性や耐久性など、今後長く住み続けるにはどの組み合わせが良いか等、お施主様が満足できる提案が重要です。

一方で、内装には壁紙や漆喰(しっくい)などの「塗り材」や、板やタイルなどの「壁材」、フローリングやカーペットといった「床材」などがあります。
こちらも、洋風家屋や和風建築で使用する建材が大きく変わります。現在では和洋折衷の家屋が多いため、さまざまな建材を使用することが多いのが特徴です。そこで、コストやお施主様の好みを聞き、いくつかの組み合わせを提案するのが一般的です。また新製品はデザインや機能性が高い場合がありますので、お施主様への提案に取り入れると良いでしょう。

建材に使われる木材の種類

建材に使われる木材の種類

建材として最も多く使われる木材の種類には、主に次の2種類があります。

  • 無垢材
  • 集成材

それぞれ解説します。

無垢材

無垢材とは、伐採した一本の木をそのまま建材として利用する建材です。無垢材は、森林から切り出した木材を数年間寝かせて乾燥させ、切り出したり、皮を剥いてそのまま使用するケースもあります。木の香りや温かみを感じられることから人気が高いものの、近年は木材が高騰しているため、太い無垢材は貴重となっています。

無垢材は、日本で最も多く使われてきた建材で、寺社仏閣などの建造物にもよく使われています。無垢材のメリットは、耐久性に優れているだけでなく、断熱性や調湿作用、防腐や防虫性といった機能性が高いところです。
一方で無垢材には、木材が変形しやすく、材質自体が柔らかいため傷付きやすい、コストが高いといったデメリットがあります。
そのため最近では仕上げ材の一部として目に見える部分にだけ使用するケースもあります。

集成材

集成材とは、複数の木材を接着剤で貼り合わせて製造される建材です。
集成材には「構造用集成材」と「造作用集成材」の2種類があります。構造用集成材は住宅の柱や梁などの下地材として使われ、造作用集成材はカウンターや階段などの内装に仕上げ材として使われています。

集成材は加工性に優れているため、無垢材では作れない幅や厚み、長さの調整が可能です。また、湿気による木材の割れや反りなどが起きにくいため、寸法が変化しにくいという点が大きなメリットとなります。

無垢材と比較すると、複数の木材を組み合わせて作るため、比較的細い材木からでも建材として利用しやすくなります。その分コストも安く、好みのサイズをオーダーしやすいためおすすめです。

注目の新建材「CLT」や「LVL」とは

注目の新建材「CLT」や「LVL」とは

CLTやLVLは、ともに木材を加工して作られる積層材です。人口増加や森林の伐採など、さまざまな問題で木材不足が深刻化しているいま、国内外で注目されている建材になります。

CLT(クロス・ラミネイテッド・ティンバー)

CLTとは「Cross Laminated Timber」の略語で、厚めの木の板を直角に何枚も積み重ね、接着加工して作る木質系の厚型パネルです。
厚みがあるため、建材としての利用だけでなく、土木工事や家具などにも幅広く使用されています。
CLTの特徴は、構造躯体としてRC造と比較して軽量で扱いやすく、さらに耐熱性や遮音性、耐震性などの機能が期待できることです。
その軽さは、鉄筋コンクリートの1/5以下と言われており、輸送コストの削減にも繋がります。またCLTパネルをあらかじめ工場で加工してから現場に搬入することができるため、工事現場での作業効率が上がり、施工期間の短縮にも繋がるでしょう。

LVL(ラミネイテッド・ベニア・ランバー)

LVLとは「Laminated Veneer Lumber」の略語で、丸太を「桂剥き」の要領で皮を剥くように薄くスライスし、繊維が平行となるように積み重ねて接着した木質系のパネルです。
LVLとCLTでは繊維の向きや、元の木材の厚みが異なります。LVLは薄くスライスするのに対し、CLTは比較的厚めです。また繊維を直角にして積み重ねるCLTに対し、LVLは繊維を並行に積み重ねます。
CLTやLVLは、用途に応じて厚みや長さなどの寸法を自在に変えることができます。近年は木材が非常に高騰しているため、新しい建材としてCLTやLVLの使用が増えていくものと考えられます。メリットの多い建材ですので、提案の1つとして検討してみるのも良いでしょう。

建材の種類

建材の種類

建材は使う部位によって屋根材・壁材・床材・建具など、さまざまな種類があります。それぞれの部位によって、使用される材料や使い方が異なるため、お施主様への丁寧な説明が重要です。
以下では、大まかな部位別の建材を解説します。

屋根材

屋根材は、大別するとスレート系・金属系・粘土系・セメント系に分類できます。
スレート系には、以下のような建材があります。

  • 化粧スレート
  • 天然石などの高価な天然スレート

また、金属系には、以下のような建材があり、強度が高い割に安価なのが特徴です。

  • アルミ
  • ステンレス
  • チタニウム
  • ガルバリウム鋼板

粘土系・セメント系には、以下のような建材があります。

  • 和瓦
  • 洋瓦

壁材

壁材は、仕上げの建材として、建築構造の外側(外壁や内壁など)に取り付けられます。
外壁材には、以下のような壁材があります。

  • モルタル
  • サイディング
  • タイル
  • レンガ
  • 石材
  • 木材

また、内壁材には、以下のような壁材があります。

  • 壁紙
  • 漆喰
  • 化粧板
  • タイル

床材

床材は、リビングや廊下などのエリアと、お風呂場の脱衣所などの水回りエリアで使いわける必要があります。それぞれお施主様のイメージと用途などを加味して選ぶことが大切です。
床材には、以下のように多種多様な建材があります。

  • フローリング
  • コルク
  • タイル
  • フロアタイル
  • カーペット
  • クッションフロア

建具

建具は、建築物の開口部に設けられる開閉機能を持つ仕切りのことです。主に壁の開口部に取り付けられる扉や窓を指します。

建具は木製や金属製が主な材料となっていますが、利便性や防犯機能を強化するため、ガラスなどを組み合わせて、見た目がよく機能性の高い製品が好まれるでしょう。

お施主様によっては、建具にこだわる方も多く、日本建築や洋風建築にかかわらず、家屋にかかる費用を大きく左右する建材の1つと言えます。

建材や建具の選び方

建材や建具の選び方

このように、住宅などを建築する際には、さまざまな建材を組み合わせることになります。そして、建造物のタイプや工事の仕方によって、適した建材も大きく異なります。

近年は、コストパフォーマンスの良い新建材もあるため、建材の選び方によって、住宅建築にかかるコストも大きく変化します。

建築の基礎工事では、建築の部位によって携わる技術者や、使う材料も異なります。また、建材や建築工事の種類、内容も多様であるために、建材の選び方や使い方については、工事の用途や建築場所の状況などに合わせて適切な方法を選択する必要があります。

一方、内装工事においては、お施主様の好みがそれぞれ異なることから、お施主様の好みに合わせた建材を選んで使用します。内装や外装を含め、仕上げ材となる建材は、時代の流れと共にデザイン性に優れた製品や種類が非常に増えています。

仕上げ材は使う方の目に見える部分であるため、お施主様の満足度を高めるために、使い易さや機能性などの特徴とデザイン性の両方に意識を向けた提案が大切です。

最近見かけることの多いデザイン建築には、内装や外装にもさまざまな種類の構造や建材が採用されています。このようなアート性を打ち出す建築家や、特殊なデザインをコンセプトにする建材メーカーもあるため、さまざまな情報を広く収集しておきましょう。

建材店・建材屋とは。建材メーカーとの違いはある?

建材店・建材屋とは。建材メーカーとの違いはある?

施工を担っている工務店や建築会社は、建材を使って家を建てます。その建材の仕入れ先として、メジャーなのが建材店・建材屋です。

建材店・建材屋とは、文字通り建材を扱う仕事・商社のことです。最近はホームセンターでも建材を置いていますが、DIYを行う一般人など幅広い顧客を対象にしている点で建材店・建材屋とは違いがあります。建材店・建材屋では基本的に建築業界の専門家、プロの建築会社や職人を対象に商売をしています。

建材店・建材屋は、工事ごとに必要な建材を建築現場まで直接配送することも仕事の一つです。店頭で商品を売ることがメインのホームセンターとはこの点でも違いがあります。建材店・建材屋は工程が遅れないように必要量の建材を調達した上で、時間通りに配達することも求められているのです。

建材店・建材屋にとって、現場を回って提案営業を行ったり、顧客にとって適切なタイミングでの需要にこたえられるよう各種建材の仕入れを行うのも大事な仕事です。
建材によっては、原材料がいきなり高騰して供給不足になってしまうなどのトラブルも起こりえます。施工現場としては、先を見越した仕入れを行っている建材店・建材屋を選び、供給不足を回避したいところでしょう。

なお、建材店・建材屋と建材メーカーは同じものではありません。
建材メーカーとは、建材の商品開発・設計・製造・販売を行う会社です。つまり、建材そのものを作って売るのが建材メーカーです。

大手ハウスメーカーの場合、住宅建設に当たり建材店・建材屋を通さず、直接建材メーカーから建材を仕入れることもあります。

これに対し、一般的な販売ルートは
「建材メーカーが建材店・建材屋に営業を行い、建材を仕入れてもらう」→
「建材店・建材屋が工務店・建築会社等に建材を売る」
という流れになります。

建材店・建材屋は複数の建材メーカーの建材を扱う仕事なので、各種建材メーカーと製品の特徴を知っています。そのため、施工現場に適切な建材を選択し、提供できるのです。 建材店・建材屋とは、建築会社の複雑な建材選びをサポートしてくれる存在といえるでしょう。

建材のまとめ

このように、建材には多くの種類があります。そこで建築工事を行う際は、建材の質や特徴はもちろん、使用する用途に適した機能性とお施主様の好みに合わせたデザインなど、あらゆる面を考慮しなければなりません。

また、建築物としての安全性を高めることも大切です。特に近年は、気候の変化も大きいため、暑さ対策なども提案することが必要となる地域も増加しています。このような対策をしながらも、機能性が高く見た目の良い「顧客満足度」の高い建築物を立てるためには、しっかりとした建材に関する知識が必要です。

それぞれのお施主様の好みを理解し、それに見合った建築方法と建材を提案し、安全かつ機能的で見た目の良い建物を建てましょう。

ただ、どのような建材にもメリットとデメリットがあります。高価なものが一律に良いものとは限りませんし、それぞれの建築物や建築する場所に適した建材があります。技術の向上と共に、近年は多く優れた建材も登場していますが、全てのケースで万能ではありません。

それぞれのメリットとデメリットを理解し、良い面を活かすことが重要です。

※ここに掲載されている情報は2024年3月時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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