ドアのぶつかりを防止
安全性を高める方法やタイプ別のグッズを紹介

現代の住宅や店舗では、そのほとんどにドアが設置されています。日本家屋の襖や障子のような引き戸とは違い、内と外の両側から同時にドアを開けようとしたり、ドアの向こう側に人がいることに気付かずに、ドアを開けようとすると引き手側の人にドアがぶつかる可能性があります。

不意に大きく開けられたドアにぶつかると、大人でも怪我に繋がる可能性があります。万が一その相手が小さなお子様や高齢者の場合には、もっと深刻な事故につながる場合もあります。

また、大きく開けたドアが反対側の壁やモノなどにぶつかって、壁やドアに傷がつくこともあるでしょう。

そこで今回は、ドアのぶつかりを防止するためのおすすめグッズや、安全性を高める方法について詳しく解説します。

小さなお子様や高齢者がおられるご家庭はもちろん、家や店舗等のバリアフリー化をお考えの方も、ぜひ参考にしてください。

ドアのぶつかりの防止には2種類ある

ドアのぶつかりの防止には2種類ある

ドアのぶつかりを防止する際は「人体とぶつかる」場合と「壁や家具などの建材にぶつかる」場合の2種類が考えられるでしょう。
まずは、この2種類の原因について考察します。

人体へのぶつかり

これは、大きく開けたドアが反対側にいる人の体に当たる場合です。
もしぶつかった人が、急にドアが開くことを予期していなかった場合には、顔や頭に勢いよくドアがぶつかることもあり得るため、非常に危険です。
特に玄関ドアや店舗などの金属製のドアなどの重たいドアの場合には、思わぬ怪我につながるケースもあります。また、小さなお子様や高齢者にぶつかった場合には、その拍子に転倒するかもしれません。
このようにドアの開け閉めに際しては、反対側に人がいないかどうかを確認するか、人がいることを想定して静かに開けるなどの注意が必要です。

壁や家具などの建材へのぶつかり

ドアを開ける際に気をつけたいもう1つのことは、開けたドアが壁や家具などにぶつかる場合です。
このケースでは、ドアを急に開け閉めしにくいようにする「ドアクローザー」がついていないドアを思い切り開けた時に起こりがちです。また、急な突風によってドアが急に開いて壁にぶつかったり、勢いよく閉まった拍子にドアやはめ込んだガラスが破損するといったケースもあります。

このように、人へぶつかる場合や壁などの建材にぶつかる場合は、怪我や建材の破損などの原因となるため注意が必要です。
そこで以下では、ドアが人にぶつかったり、壁などの建材にぶつかることを防止する対策について解説します。

ドアのぶつかりを防ぐ対策について【人体編】

ドアのぶつかりを防ぐ対策について【人体編】

ここでは、ドアのぶつかり防止対策として、人へのぶつかりを防止する方法から解説します。

ぶつからないような設計にする

ドアのぶつかりをなくす対策としては、「引き戸」にドアそのものを変更する方法があります。
現在は、バリアフリー施設のほとんどで引き戸が使われています。これはぶつかり防止だけではなく、風などで急にドアが閉まったときに指詰めの危険性が少ないことや、開口部を大きくできるからです。開口部が広くなることで、車椅子などの出入りに対応しやすいというメリットがあります。
また、指つめや衝突する心配も少ないため、安全性の高い扉として保育園や介護施設などでも広く採用されています。
最近では、一般住宅でも開き戸から引き戸に変更するといったバリアフリー化へのリフォームが増えています。リフォームには費用がかかりますが、要介護者がいらっしゃるご家庭ではリフォーム代金の一部が介護保険の対象となる可能性があるため、担当のケアマネージャーなどに相談してみると良いでしょう。

緩やかに閉まるドアにする

ドアを大きく開閉できないように取り付けるのが「ドアクローザー」と呼ばれる装置で、多くが玄関ドアやガラスの入ったドアなどに採用されています。

ドアクローザーがあることで、人の腕力で開閉する際はある程度のスピード調整が可能です。しかし風の影響などを受けると、かなり激しく開閉することもあるなど、完全にコントロールすることはできません。そのため、ドアクローザーがあるからと言って油断すると、ぶつかりだけでなく手や指を強く挟んでしまい大怪我につながることもあります。お子様や高齢者がいるご家庭においては十分な注意が必要です。

ドアのぶつかり対策【壁や家具などの建材】

ドアのぶつかり対策【壁や家具などの建材】

ドアのぶつかりは、人だけではなく、反対側の壁に傷をつけたりドア自体の故障の原因にもなるため注意が必要です。
以下では、ドアが壁などにぶつからないようにするための対策について詳しく解説します。

ぶつかり防止グッズを購入する

ぶつかり防止グッズとは、開いたドアが壁などにぶつからないようにするために、クッション材やドアストッパーなどを取り付ける方法です。
室内のドアや玄関ドアに、もともと採用されている場合もありますが、ない場合にはホームセンター等でも簡易的なゴムクッションなどを販売しているため、購入してご自分で付けてみるのも良いでしょう。
ただし簡易的なものでは、風の影響などで思わぬ力がかかった時に、ドアストッパーや簡易グッズ自体が故障する恐れもあります。特に風が通り抜けやすい部屋などの場合には、開け放すと危険性が高くなりますので、基本的に開けっ放しは控える方が良いでしょう。

ぶつからない建具にする

風や人の手によって開閉する際に、ぶつかりを防止したり、ぶつかっても傷や破損したりしない建具や建材はなかなかありません。
学校などの防火扉やコンクリート壁の場合には、少々の傷は気になりませんが、自宅などではそうもいかないでしょう。
もしぶつかりなどの破損や傷などが気になる方には、引戸の取り付けがおすすめです。
引き戸であれば、風通しの良い部屋で開け放しにしても、勝手に閉まることはありません。また、指つめや衝突する心配も少ないため、安全性の高い扉として保育園や介護施設や医療施設などでも広く採用されています。
上記のように、建具の交換によって安全性を担保するのが中長期的にみれば最適な方法と言えるでしょう。

ドアのぶつかりを防止する際の注意点3つ

ドアのぶつかりを防止する際の注意点3つ

ドアのぶつかりを防止する際には、次の3つの点に注意することが大切です。

  1. 自身の老後や子どもへのバリアフリーを考えた設計にする
  2. 防止器具に依存しすぎない
  3. 費用対効果を考慮する

それぞれ解説します。

1.自身の老後や子どもへのバリアフリーを考えた設計にする

家を新築したり改築したりする際には、自分自身の老後やこれから生まれてくるお子様のことを考えた設計にすることをおすすめします。
基本的な住宅の内装では、ドアや扉の建具が高価なケースが多く、後から買い替えると思わぬ費用がかかります。そこで新築や改築を行う際は、自治体や保険などの補助を受けやすいこともあり、このタイミングに計画的にバリアフリー化をするのが良いでしょう。
バリアフリー建具は、基本的に引き戸での使用が多く、高齢者や小さなお子様にも配慮されているため安心・安全です。
バリアフリー化をお考えの際は、できるだけ安く取り付けられるタイミングで導入しましょう。

2.防止器具に依存しすぎない

仮に衝突を防ぐ器具などを取り付けた場合でも、器具がいつも万全とは限りません。
例えば、電池式で反対側にいる人物を感知するグッズがありますが、電池が切れれば当然反応しません。そのほかにも、簡易的なぶつかりを防ぐアイテムや衝突グッズの場合には、強い力に耐えきれずに破損するケースもあるでしょう。
このように、グッズを使えば安心という考えが油断につながる可能性もあるため、注意しましょう。

3.費用対効果を考慮する

ドアのぶつかりによる建材や建具の劣化には、高額な修繕費用がかかります。また家族の誰かが怪我でもすれば、お金ではすまないケースもあります。
もちろん、ちょっとした不注意などで勢いよくドアが開いた場合には、ホームセンター等で販売されている安心グッズでも対応可能です。しかし、思わぬ事故や怪我を防ぐためには、ドアを引き戸にしたり、バリアフリー化するといった対策が必要です。
近年は、高層マンションなどの風が非常によく通る部屋もあるため、あらかじめ防風対策をしている部屋もあります。そのような部屋を参考に、老若を問わず、新築や改築時にドアのぶつかり対策を提案してみてはいかがでしょうか。
このような安全対策は、クライアント様からの信頼を得るためにも有益な情報となるはずです。

ドアのぶつかりを防ぐ4つのグッズを紹介

以下では、ドアのぶつかり防ぐ際に役立つグッズを4つ紹介します。

ドアクローザー

ドアクローザー

ドアクローザーは、ドアの開閉を比較的ゆっくりにする効果のある装置です。油圧式のものが多く、寿命も15年〜20年ほどと長いのも特徴です。
一般的に使われているドアは、玄関やリビングなどの重たいドアやガラスなどが入ったドアで、急な開閉を防いでくれます。ただ、後からつけることも可能な場合もあるため、ドアの仕様を確認の上、後付けも検討してください。

(簡易)ドアストッパー

(簡易)ドアストッパー

ドアストッパーは、ドアを挟んだり地面に取り付けることで、直接ドアにぶつかったり、指を挟んだりしないようにするためのグッズです。比較的分厚いスポンジ状の素材でできているため、小さなお子様が顔や頭をぶつけても安心です。
比較的安価で簡単に設置できるのがメリットで、1つ百円程度で購入することができ、すぐに取り付けることもできます。ネットやクチコミのランキングを見てみて、自分好みのドアストッパーを取り付けてみてはいかがでしょうか。
ただ、装着しているときはドアが完全に閉まらず、逆に風などの影響を受けてドアが勝手に開くなどの危険性があるため、デメリットもあります。

戸あたりクッション

戸あたりクッション

戸あたりクッションは、もっとも一般的な緩衝材の1つで、ゴムやシリコン製のクッション材でできています。購入先は、ホームセンターや100円均一など幅広く取り扱われています。戸あたりクッションは、ドアが急に開いたり、大きく開けたときに、壁や建具への傷を防ぐのに効果があります。
一方で、ドアが人に当たるといった事故を防ぐことはできません。

ドアストッパー(室内・後付け)

ドアストッパー(室内・後付け)

ドアストッパーは、もっともポピュラーなドアを固定する器具です。ドアを開けた状態か、任意の場所で固定できます。ドアが風などで急に閉まるのを防ぐことができるグッズで、比較的安価でありながら、ドアを固定するには効果的です。ただし、開けたドアに衝突したり、ストッパーにつまずくといった場合もあるため、使用時は注意が必要です。

ドアぶつかり防止のまとめについて

このように、ドアのぶつかりを防ぐための対策には、簡易的なものから引き戸などの建具ごと取り替える方法までがあります。
近年では引き戸の利便性の良さが見直され、バリアフリーを目的としたリフォームの際に、洋風の部屋にも取り入れる方が増えています。
ドアのぶつかりを防ぐ対策は、小さなお子様のいるご家庭から高齢者まで、対象となる年齢が広いのが特徴です。新たに新築される方も、これから改築をお考えの方も、ぜひ対策しておきましょう。

※ここに掲載されている情報は2023年10月23日時点のものであり、ご覧いただいている日と情報が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。