“人の暮らし”と
Daiken Designと

富山県で木材メーカーとして出発したDAIKENは、
「天井材」「壁材」「床材」「室内ドア」「収納」へと
内装建材の総合メーカーへと成長を遂げてきました。
DAIKENのモノづくりの歴史に「空間コーディネート」の視点が加わったのは、
1986年『DUSIC(ドゥーシック)※』の打ち出しから。
その日から今日に至るまで、デザイン視点からの開発提案が続けられています。
Daiken Designが本格始動した1980年代後半からこれまでのあゆみを、
日本の住宅、空間コーディネートの変遷とともにたどります。

※DUSIC : DAIKEN UP TO DATE STYLE & IMAGE Coordination

1980s「単品」から「空間」へ。

1986年には製品ごとにバラバラに提案するのではなく、ドアや床材などを組み合わせて提案する初のインテリアコーディネートシステム『DUSIC(ドゥーシック)』を打ち出しました。「誰もが簡単にインテリアコーディネートできる」ことを目指し、5色の基本カラーを軸に、内装建材を選定するコーディネートのサポートシステムです。
5色のカラーにはそれぞれ「くつろぎ」「優雅」「洗練」「重厚」「格調」といったイメージワードを設定しており、単純なカラーコーディネートよりも一歩先を行く考えでした。

ウッディナチュラル系

DUSIC(ドゥーシック)「ウッディナチュラル系」

1990s「応接間」から「LDK」へ。

1980年代から1990年代にかけて、日本の住宅は、和室中心の住宅や、居間と応接間からなる住宅から、ハウスメーカーが提案するLDK(リビング・ダイニング・キッチン)による住宅プランが一般的になっていきました。住宅の内装建材も、例えば室内ドアは、町の建具屋さんから、弊社のようなメーカーの工業製品へとその作り手が変貌していった時代。大工さん、工務店にとっては工業製品をいかに組み合わせて、住宅を構成していくか、つまりコーディネートの重要性が増してきていました。そんな中、開発されたのがトータルコーディネートシステム『DIXE(ディグゼ:DAIKEN Interior×Exterior)』です。

『DUSIC(ドゥーシック)』で提案したカラーによる「イメージ」コーディネートを発展、カラーだけでなく、形状でまとめる、材質、グレードといった基準で「イメージ」を可視化した、コーディネートのためのデザインサポートスケールです。これは(株)日本カラーデザイン研究所の感性マッピングツール「イメージスケール」を使って開発されたもので、このスケールによって色柄や素材を外装から内装に至るまで統一したコーディネートが可能となりました。今でこそ当たり前の理論といえますが、建材業界ではDaiken Designが先駆けて開発したものです。

DIXE

DIXE(ディグゼ)イメージスケール
(IMAGE SCALE PAT. 1106334 (株) 日本カラーデザイン研究所)

インテリアの11イメージ

※イメージスケールは(株)日本カラーデザイン研究所が研究、開発し、特許を取った感性マッピングツールで、現在は原著作権で保護されています。人が色に対して抱く共通イメージを、イメージの判断基準であるWARM-COOL、SOFT- HARDの座標軸上に、単色、形容詞、形容詞を表現した配色を配した基本スケールをベースとしています。

2000~2004 よりシンプルで“フリー”なデザインの追求。

2000年、住宅性能評価制度が誕生し、空間づくりにバリアフリーという要素は、もはや欠かせないものとなりました。Daiken Designでは、バリアフリーの先をいくユニバーサルデザインを追求し、ドアの敷居の段差解消や新しい開閉の仕方を展開しました。

ドアノブの画像
手摺の画像

国内のインテリアデザイントレンドとしては、90年代の好景気に支えられたラグジュアリー傾向から一気にシンプル&モダンへと移行していきます。Daiken Designでも、デコラティブな装飾部分をそぎ落としシンプルデザインを表現した室内ドアシリーズ『モダンセレクトシリーズ』や収納シリーズ『I-noma(イノーマ)』を発売、カラーもモダンデザインを演出する、ホワイト・ブラックの木目柄を追加しました。特に「D5デザイン」は象徴的なデザインとしてヒットしました。

ドア

D5デザイン

また、2002年には、TDYでのアライアンスが発足。TOTO、DAIKEN、YKK APの3社が住宅リフォーム分野で商品企画・開発や販売支援体制などで業務提携したもの。キッチン・洗面・トイレといった水まわり(TOTO)、フローリングや内装ドア(DAIKEN)、ウインドウやエクステリア(YKK AP)と、それぞれの分野での強みを持つ各社との連携で、Daiken Designも新たな知見を積み重ねていきました。その成果ともいえるのが、トイレ空間でのTOTOの知見を活かした鏡面調大理石のフローリング『ハピアフロア石目柄II』です。大理石調の質感を木質フロアで再現した点、他社にない鏡面性で、この後、しばらく続いていく、スケルトンやアルミフレームなどの未来を感じさせるデザインから影響を受けたモダンテイスト、非木質素材の人気へのきっかけとなりました。

2005~2009 カラー・素材の多様化。

インテリアデザインのモダン傾向は続いており、建材のカラー展開では「より白く、より黒く」というスタイリッシュさが追求されていきました。一方で、素材では非木質であるタイルや石などの異素材にも注目が集まるように。Daiken Designでは2006年発売の『マテリアート』を開発。当時としては斬新なレザー調の立体感ある質感で表現することにこだわりました。このころから、単純なカラーだけでなく「素材」での提案が展開していきます。また、シンプルなデザインが普及する一方で、木目も色合いだけを追求した時代から、ウォールナットやチェリーといった銘木と呼ばれる、それぞれの樹種本来の色や柄を再現したものが求められるようになりました。そこでDaiken Designでは、『リビングドアnewR3銘木調タイプ』を発売、銘木の質感が映えるシンプルなG1、G5デザインのドアを提案、ヒットしました。

ドア

G5デザイン

2010~2014 木質感重視のコーディネートへ。

シンプルなモダンデザインが継続・拡大する一方で、2008年のリーマン・ショックを経て、2011年の東日本大震災以降、スローライフ、ナチュラルライフなどのライフスタイルの転換が進んでいきました。インテリアにおいては、原点回帰ともいえるナチュラルテイスト(明るめ)を中心に、素朴なデザインのソフトカントリー調も人気を集めました。
本物志向の傾向が強まる中、2013年の発売の『日本の樹』シリーズ開発でDaiken Designが追求したのは、より本来の木目や木肌感といった日本の樹ならではの「木らしさ」をいかに出すかということ。色調だけでなく手触りについても「生っぽさ」にこだわり、まるで塗装をしていない「かのような」表現をすることで、木目感がくっきりと感じられました。

木目の床の画像

日本の樹 杉(すぎ)

住宅向けの開発を中心としていたDaiken Designが公共施設、商業施設への提案を増やしていったのも、この時期からです。ユニット収納やドアなど、住宅向けで蓄積されたノウハウを生かし、2012年発売の『おもいやりシリーズ』での収納製品の開発につなげています。高齢者住宅向けに、共用の靴箱に引き出しを付け、椅子がわりに座って靴の脱ぎ着ができるようにしたデザインは、普段は引き出しを内部に収納できるため空間の有効利用にもつながると高い評価を受けました。

収納の画像

おもいやり玄関収納

2015~ テイスト重視の空間コーディネートへ。

これからの世界が直面する課題として、SDGs(持続可能な開発目標)に対応することは、全企業の使命でもあります。木材加工を祖業とするDAIKENにおいては、国産木材・地域木材の活用は重要なテーマ。その取り組みのひとつに、国産木材・地域産材を活用した木質化空間『ウッドキューブ』があります。2015年、三井不動産(株)が手掛けた大型商業施設「ららぽーと海老名」キッズプレイエリアに設置された『ウッドキューブ』にはDaiken Designのこだわりを詰めました。施設の通路も木質化し、空間全体で国産木材が持つ温かみが伝わるように当社とパワープレイス(株)で空間開発を企画。そこへ三井不動産(株)が施設に木のおもちゃを使った場の提供を東京おもちゃ美術館と検討しました。この取り組みが評価され、同年のウッドデザイン賞、2016年のキッズデザイン賞を受賞しています。今後も公共施設や商業施設に木質化空間を提案し、より多くの人に国産木材・地域木材の持つ魅力を伝え、地域林業の活性化に寄与していきます。

ウッドキューブの画像

ウッドキューブ

一方、住宅のインテリアデザインに目を向けてみると、いよいよインテリアの「テイスト」をいかに表現するかが重要視されるようになっています。エンドユーザーにおいても、「ヴィンテージ」、「シャビ―シック」、「インダストリアル」など、テイストを表現する言葉が一般的になりました。また「塩系インテリア」といったSNS由来の言葉が話題になるなど、エンドユーザーとインテリアの距離が狭まっているのが現在の傾向です。流行だから、ではなく自分の個人的な好みにあわせてスタイリングする、まさにファッションのようにインテリアのテイストを選ぶエンドユーザーが増えているといえます。
そうした傾向を受けてDaiken Designでも個別の建材提案でなく、空間全体の「テイスト」の提案を強化しています。2018年に発表した『hapia 11taste』では、今のデザイントレンドに見合った11のインテリアテイストを提案。エンドユーザーが言語化しにくいものも、空間全体の雰囲気で理解できるようなサポートツールとなっています。

hapia 11tasteの画像

hapia 11taste

同時に、「私らしい」インテリアを表現するためには、より多様化し、よりカスタマイズしやすい色、素材提案が重要となります。2018年発売の壁材『GRAVIO EDGE(グラビオエッジ)』では、まるで石のようなテクスチャーでありながら、大判タイルのように壁面に貼れるという壁材を提案。さらにタイルよりもシャープな凹凸で、かつ間接照明に映える「雰囲気を出せる」壁材として人気が高まっています。

GRAVIO EDGE

GRAVIO EDGE

Daiken Designでは、家族が暮らす住宅から、多くの人が集う公共・商業施設まで、「人のくらし」に寄り添いながら、デザインの提案を続けていきます。